天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

Entries from 2020-01-01 to 1 year

【イタリア語・映画】L'italiano:色彩と「落下の王国」

もう何回目かわかんないけど、また「落下の王国」を観てしまいました。 題名:The Fall 監督:Tarsem Singh 制作:2006年 The Fall ターセム・シン監督の作品は2000年のThe Cell(邦題はそのまま「ザ・セル」)があまりに衝撃的だったので、それからずっと観…

【イタリア語・美術】Tutti i Giorni❣️L'italiano:ere動詞とルネサンスの栄光と頽廃

leggere 読む Pontormo e Brongino 先にamareでare動詞を紹介しました。 イタリア語の動詞の末尾は -are -ere -ire の三つです。 圧倒的にare動詞が多く、しかも規則的に変化します。(このブログの「愛について」を見てね) ere動詞は歴史的に古く数は多く…

【イタリア語・美術】Tutti i Giorni❣️L'italiano:女を指す言葉

前回はuomo(男)の単語を巡って書きました。今日はdonna(女)を巡りたいと思います。写真は女性を扱った美術作品で、作品に興味を持ってくださった方のため、作者と現在存在する場所を示しました。 Donna ドンナ 女(微妙だけど、どんな女?って覚えやすく…

【イタリア語・ドラマ】Tutti i Giorni❣️L'italiano:ヒューマンズ

先のブログで andare con Dio(神と共にゆけ「ほっといてくれ」)という使い方を書きましたが、イタリアの若い友人から「結構使うよ」とメッセージが来ました。彼は大学生です。日本の学生が「仏ほっとけ、神かまうな」とか言ったらびっくりしますよね! 今…

【イタリア語・キリスト教】Tutti i Giorni❣️L'italiano:andare  神と共に行く

andare con Dio! andare col cavallo di S.Francesco 聖母に戴冠する神 今日はandareと言う動詞を覚えます。 andareは最重要動詞の一つで、だいたい英語のgoに相当します。 日常的で頻度の高い動詞ほど不規則変化なので、これも不規則です。 andare(原形)…

【イタリア語】Tutti i Giorni❣️L'italiano:言葉は神か

In principio era il Verbo,e il Verbo era presso Dioe il Verbo era Dio. dalla Bibbila testo ufficiale CEI,1988 In principio, c'era colui che e` "la Parola".Egli era con Dio,Egli era Dio. dal Nuovo Testamento in lingua corrente, 2009 In the …

【イタリア語】Tutti i Giorni❣️L'italiano:愛について

愛という言葉は外来語です。 十四世期に愛染明王という言葉が文献に現れるそうですが、それは性欲という意味で使用されていたと幾つかの資料で読みました。現在は愛を、大変イトオシイと思う、とても大切に感じる、という意味で捉えていないでしょうか。日本…

【イタリア語】Tutti i Giorni❣️L'italiano :二重母音と助け合い

aiutare アユターレ(助ける) 二重母音はイとウを区別して発音しないで混合した音にする。 厳密にはユと完全に一文字で発音するのとは違うけれど、イゥを早口で発音するとユに近い音になる。日本人はそこまで気にせずユで大丈夫。十分通じます。 それではコ…

【イタリア語】Tutti i Giorni❣️L'italiano:二重子音の発音

以前から一緒に勉強してくれてる人には、とっくに知ってることも沢山あるけれど、イタリア語から離れないために、確認のためにも一緒に発音してください。 今日は文字と発音の仕方。 ●二重子音の前では詰まる。小さい【っ】をいれる。 美術史上重要な画家、…

【イタリア語】Tutti i Giorni❣️L'italiano:今日!

コロナウィルスのおかげで授業がいつ再開できる分からない 語学は様々な勉強の中でも特に毎日やらないと、最も危険!忘れてしまうってこと。 だからせめてちょっとづつアップするので授業のない間に後退しないよう頑張ろう。 もったいないから ちなみにイタ…

【美術】印象的な作品:男色と退廃?ソドマの自画像

画家:イル・ソドマ Giovanni Antonio Bazzi 年代:1506〜年 場所:モンテ・オリヴェート・マッジョーレ大修道院回廊、シエナ近郊 技法:フレスコ Il Sodoma 自画像というのは画家や彫刻家が自らを表現した作品で、ルネサンス以降頻繁にみられるようになりま…

【美術】印象に残る作品:サンタ・チェチーリア・イン・トラステーヴェレ聖堂

Stefano Maderno 前の記事でモザイクの御光の話をしました。そのモザイクがある三つの聖堂はどれも重要なのですが、中でもこのサンタ・チェチーリア・イン・トラステーヴェレは地域も含めて印象的な聖堂です。トラステーヴェレとは「テヴェレ川の向こう側」…

【美術】印象的な作品:聖人の頭についた御光は丸いだけじゃない!

イタリア語ではニンボ、英語ではニンブスというものがあります。もとはギリシャ神話の神様の周囲を取り巻く雲、という意味のラテン語から派生した言葉。日本語では後輪とか御光とか言い方は何種類かありますが、聖人の頭には丸い円がくっついていますよね。…

【美術】印象に残る作品:サンタ・チェチーリア・イン・トラステーヴェレ聖堂

前の記事でモザイクの御光の話をしました。そのモザイクがある三つの聖堂はどれも重要なのですが、中でもこのサンタ・チェチーリア・イン・トラステーヴェレは地域も含めて印象的な聖堂です。トラステーヴェレとは「テヴェレ川の向こう側」という意味です。…

【美術】印象的な作品:ベルニーニのメデューサ胸像

最近こもりっきりで読書したり書いたりしていたら、難しいと立て続けに言われました。思想的な問題など書いてないつもりなんだけど難しいっていうのは、私が悪文だからというのもあると思うし、自分のためのメモのようなつもりで書いた分もあるからでしょう…

【本】古代ギリシャ・11の都市が語る歴史

題名:古代ギリシャ 副題:11の都市が語る歴史 著者:ポール・カートリッジ 監修:橋場弦 訳:新井雅代 出版:白水社、2011年 クノッソス神殿遺跡 白水社も一般向けになかなか良い本を出している。個人的には編集者の態度が酷かったという思い出があるけれ…

【本】美しい書物の話:中世の彩飾写本からウィリアム・モリスまで

題名:美しい書物の話 中世の彩飾写本からウィリアム・モリスまで 原題:Fine Books 著者:アラン・G・トマス 訳:小野悦子 出版:1997年(オリジナル1967年)晶文社 Kells 晶文社は一般向けに文化程度の高い本を沢山出していたので、中学から高校にかけて晶…

【本】挿絵本とは絵の付いた本ではない

先に紹介した「西洋挿絵見聞録」を中心に自分用にメモします。 ●中世の写本 中世の写本 一点物。手書き。大型大重量、革(パーチメント・ヴェラム)、絹、宝石・貴金属・象牙。エマイユ、象嵌、モザイク 、他 キリスト教、修道士による ●1450年代に活版印刷…

【本】西洋挿絵見聞録:病跡学、鯰、エログロなど未知のもの

題名:西洋挿絵見聞録 製本・挿絵・蔵書票 著者:気谷誠 出版:2009、2010年 アーツアンドクラフツ すごく変わった本だった。忙しかったらとても読めなかったと思うけど、コロナのため収入は激減した代り時間はあるから、普段読めない本を読んでいて、その内…

【語学】語学勉強は必要か?

首都大学東京のオープンユニバーシティで講座が持てるようになってから、ただの一度も授業がなくなった事はありませんでした。それが半年以上開校されないなんて、恐ろしやコロナウィルス!因みに私の受け持ちは「西洋美術史」と「イタリア史」です。世界遺…

【美術】技法の紹介サイトと春の美術講座

首都大学東京オープンユニバーシティの3月講座では、すっかり授業ができなくなったけど、「美術と共にキリスト教を知る」授業は秋以降に引き続き行います。今回紹介しようとしてできなかった「ルツ記」やイエスの喩え話はもう用意してあるヨ。 ルドン 4月…

【美術・芸術】映画と芸術性またはルイス・ブニュエル

コロナのお陰で出かけられないから、部屋を片付けたり、本を読んだり、映画や海外ドラマを見てます。隠したいけどゲーマーにもなるので気休めに筋トレやストレッチもします。 スペイン語のポスター 日本では当初公開されなかったブニュエルの映画が2017年に…

【美術館・博物館】日本の美術館と私

コロナウィルスの影響で、兼ねてからの計画だった大塚国際美術館行きもダメになりました。3月末だったので希望は捨ててなかったんだけど、飛行機の払い戻しも今日決まり、一緒に行く人も不安を抱えたままでは、ゆっくり美術も堪能できないということで流れ…

【本】カルヴィーノ、イタリア、安野光雅

私は学生時代からイタロ・カルヴィーノの大ファンです。先日、今まで知らなかった彼の本を発見しました。それがこの「カナリア王子」です。児童書なので気付かなかったのです。でも読んでみると、流石の内容でものすごく面白かったので、ぜひ大人の方にもお…

【本・美術】異能の幻想画家ジョン・マーティン

題名:ジョン・マーティン画集 出版:2009年河出書房 初版:1995年ピナコテーカ・トレヴィル・シリーズ 私が普段授業する、首都大学東京OUもついに休校になったので、授業できない代わりに頑張ってブログ更新します。 John Martin 「異能」って言うだけでワ…

【旅】運不運と死の観念

ミラノの友人とやりとりしていて、ミラノにはまだコロナウィルスの患者が出ていない事を知った。日本のテレビを見ていると、どのニュースにもかの有名なミラノ司教座聖堂が映り出されていて、いつもはごった返す広場はがらんとして居る図だ。全くミラノはウ…

【芸術】映画とお金と芸術性

芸術全体に言えることだけれど、映画はあらゆる芸術の中でも最も予算を無視できないもの。制作に関わる人の多さだけでも他のジャンルとは異なる。よく「総予算〜!」と言ってお金のかかったことがまるで良いことのような宣伝文句を聞くけれど、これは作品の…

【芸術】永遠のテーマ

首都大学東京OUの講座「展覧会をもっと楽しく」が無事終了しました。 無事っていうより、考えていた以上に良い内容だったと自画自賛しています。 Milano, 2019 講座初日に、東京富士美術館の「ルネ・ユイグの眼差し:フランス絵画の精華 大様式の形成と変容…

Buon Anno! あけましておめでとうございます

求めよ さらば与えられん 尋ねよ さらば見出さん 叩け さらば開かれん (マタイ第7章7節より) Matteo Civitali, Lucca 去年ルッカで撮影した、マッテーオ・チヴィターリ作、救世主の大理石彫刻です。何度も撮影していますが、季節や時間、その時の私の心…

西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ