天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【語学】語学勉強は必要か?

首都大学東京のオープンユニバーシティで講座が持てるようになってから、ただの一度も授業がなくなった事はありませんでした。それが半年以上開校されないなんて、恐ろしやコロナウィルス!因みに私の受け持ちは「西洋美術史」と「イタリア史」です。世界遺産世界一のイタリアですが、コロナ世界一で日本人に知られる事になるとは夢にも思っていませんでした😭

f:id:Angeli:20200323183701j:plain

世界遺産ピサの奇跡の広場

オープンユニヴァーシティというのは、人数が集まらないと開校されないので、多くの講座が開校されないまま閉じてしまいます。中には真面目な良い講座もあるのに残念ですが、それが資本主義というか民主主義というか大衆化というか近代化です。社会主義だったら「難しい」とか「つまらない」という理由だけで、真面目な良い内容の講座が開かれないような事はありません。と言っても公務員と同じで、どんなにしたって辞めさせられないと思えば講座の内容も低下するということも容易に考えられます。悲しきかな人間。結局、世界史的に社会主義共産主義も含め)が滅んだのは意味あってのことでしょう。と言って今、世界中で資本主義が行き着き、その弊害があらゆる点で現れています。私たちは、社会主義と資本主義のいいとこ取りの福祉国家を目指すべきだと思います。

f:id:Angeli:20200323183800j:plain

普段は入るのに何時間も並ぶフィレンツェ大聖堂

私は小学生の低学年の頃、世界にお金は幾らでもあるのか、それとも限界があって、誰かが儲かるという事は、誰かが損をするという事なのかと考えました。実際にはそんなに単純なものではありませんが、そういうことを考えない、自分の利益しか考えない人が大儲けできるのが実情です。もちろんそうで無い場合もあります。追求してきたことが、世界の要求にあって莫大な利益が出、それが社会の役に立つならば夢のような話です。特別な才能のある人も、スポーツの世界などでは極端に儲かります。タレントや俳優という一部の、収入が両極端な仕事もあります。私は極端な収入に対しては常々疑問を感じています。世界中に、生きるか死ぬかの人が幾らでもいる一方、大勢の人を救えるだけの収入を独り占めするのは、正しいことでしょうか。

f:id:Angeli:20200323183901j:plain

ドナテッロのマグダラのマリアにも祈って欲しい

すみません、つい話が逸れてしまいます。要するに資本主義では、一眼で分かる簡単な内容の事=大勢を楽しませるような内容しかお金に直結しないので、文化はどんどん低次元化します。私も体の一部のように使っているコンピューターの発展も、ある意味で人間を反知性的にしました。本を読むことが以前に増してできなくなったのは、文化の崩壊につながると思います。長い凝った文章を正確に読解するための語学力は、もはや日本人にあるのか疑いたくなります。言葉は「考える」ための道具であり、困難な問題を考えるためには必要不可欠なものです。政府がどんなに不真面目で、理屈の通らない答弁をしても無関心な人たちは、きっと言葉が分からないのだと、最近私は思うようになりました。海外では「不思議な日本人」と言われています。自分たちが住んでいる社会なのに、発言の意味を考えもせず投票する程無責任な事はあるでしょうか。

f:id:Angeli:20200323183959j:plain

12世紀の天使もどうか世界のために祈って

他国の語学を学ぶことの最大の意味は、外から日本を見ることができるようになる事です。世界には、様々な考え方や価値観があるということを、言葉を通じて理解できます。大体、文法自体、西欧文法は日本語と比較し大変合理的で正確に作られています。数学的な正確さが求められ、話者の意見が明確に伝達できるようになっているのです。それだけで、言いたいこともよく分からず、何気なく話し始めて、すっかり話が何処かへ行ってしまったというような、日本語にありがちなことは不可能です。私は、そのことを痛感し、話す前に意見を確認するように(一瞬でするのですが)頭を切り替えました。

f:id:Angeli:20200323184122j:plain

コロナでがんじがらめの世界

何が本当に正しいかは誰にも分かりません。でも情報は多いほど真実に近づけるし、真実を理解するためには、それを読み解く力が必要です。それには知識をつける必要があって、知識の基礎は言葉なのです。朝から晩まで、些末で僅かで表面的な情報を何度も何度も繰り返し流すテレビには本当にうんざりなので、ぶちまけてしまいました。(真剣に良質な番組を作っている人たちの苦労を、心からお察しします)

f:id:Angeli:20200323184323j:plain

最強の大天使ミカエルにお願いしたくなります

写真は、世界で一番ひどい目にあっている哀れなイタリアで撮ったものです。信じ難く美しい風景や、素晴らしい美術作品で溢れた国イタリア。世界に1日も早く平穏が戻りますように。そして心晴れやかに勉強できますように。

f:id:Angeli:20200323184657j:plain

穏やかなジョヴィナッツォの港の夜の社交
西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ