もう何回目かわかんないけど、また「落下の王国」を観てしまいました。
題名:The Fall
監督:Tarsem Singh
制作:2006年
ターセム・シン監督の作品は2000年のThe Cell(邦題はそのまま「ザ・セル」)があまりに衝撃的だったので、それからずっと観ています。でも最近は初期に比較し平凡になった気がします。ま、The Cell とThe Fall でやり尽くした感がある気もするけど。それ程この二作品は独創的でした。話の内容もそうですが、何よりも映像美を追求する姿勢がすごいっ。「セル」がちょっとグロテスクで気持ち悪く、いかにもアンダーグラウンドなのに比べて「落下の王国」は本当にきれい💖 話を忘れて画面にうっとりしてしまう。色彩と構図が完璧な美しい画面が印象的です。
なぜハドリアヌスの別荘の写真かと言うと、この場面から始まるから。この映画のために25ケ国で13の世界文化遺産を撮影しまくったのが非常に効果的に使われていて、それだけで私なんかは何度でも見たくなっちゃう。出てくる世界遺産は以下のブログで確認できます。
http://thefall-locations.blogspot.com/
構想26年、4年をかけて撮影されただけあります。その割に話はどうなのよって、言う見方は確かにあると思う。社会派の真剣な良い映画ってわけじゃない。美術に関心のない人は寝ちゃうかもしれない。でも石岡瑛子の衣装もかなり面白い。
1981年のブルガリア映画Yo Ho Hoが元になっていて、ブルガリア語だから全然わからないんだけど、病院で寝ている男と少年、彼らの会話から生まれる異次元の物語と言う設定はそっくりそのまま。モスクワ国際映画祭で特別賞をとっています。「落下の帝国」では少年が少女になって、中年のおっさんが若いイケメンになり、異次元のお話部分の映像が格段に美的になってる。ただ世界遺産で撮影するだけじゃなくて、様々な芸術家や作品に対する高い関心が現れていて、ポスターを見れば、美術好きの人ならすぐにダリを思い浮かべるし、建造物だけじゃなくメブラーナのような伝統的な舞踊(本当は宗教儀式だけど)などもあちこちに現れる。
もう一つが映画に対する愛で、白黒のトーキー映画がルーツとなっているのも映画ファンからすると楽しい。写真は私が子供の頃から持っている分厚いポストカードで、裏には1967年ニューヨーク、五番街って書いてある。多分父の家にあったもの。1923年の映画H.LloydのSafty Lastの最も有名な場面。祖父が機械好きだったので家には16ミリの映写機とフィルムがあって、小さい頃はカタカタ言う音とともにいろいろ見ました。家族や風景を撮影したものとか漫画とかもあった中に、ハリウッドものもあってハロルド・ロイドの映画は特に楽しいものでした。「落下の王国」の主人公はロイって言うんだけどロイドから取ったんだろうなと思いながら見てる。でもこの映像はより直接的に「ヒューゴーの不思議な発明」を思い出す。こっちは家族みんなで誰もが見られるまともな映画って言うか、変わったところは全然なく、映画愛が語られます。
で、やっとイタリア語のお勉強タイム。The Fallから色と美しさに関する言葉です。
名詞 bellezza ベッレッツァ 美、美しさ
形容詞 bello ベッロ bella ベッラ belli ベッリ belle ベッレ
形容詞は名詞に合わせて男女単複で変化
una bella scena 美しい場面
名詞 colore コローレ 色、色彩
colori a olio / a tempera / ad acquarello / a pastello
avere un bel / brutto colore
良い色を持つ(顔色が良い)悪い色を持つ(顔色が悪い)
riprendere i colori
色を取り戻す(元気になる)
i tre colori italiani
イタリアの三色(国旗)
cambiare colore
色を変える(主義主張、意見を変える)
vedere tutti i colori
全ての色を見る(様々な人や出来事に合う)
senza colore
色無しの(特徴のない、味わいのない、つまらない)
privo di colore
色に欠ける(生彩がない。どんよりした)
日本語でも「旗色が悪い」とか「色々」などと、色と言う言葉を結構比喩的に使います。もちろん例文の他にも色々な使い方があって、色と言う言葉は実に興味深い言葉だとわかります。ちなみに私の名前は「色」と言う意味なのでした。名は体を表すで、色が大好きです。
Il film, The Fall ”il cadere" e` ricco di colore.
映画「落下」は色が豊だ。(精彩溢れる作品)