コロナウィルスの影響で、兼ねてからの計画だった大塚国際美術館行きもダメになりました。3月末だったので希望は捨ててなかったんだけど、飛行機の払い戻しも今日決まり、一緒に行く人も不安を抱えたままでは、ゆっくり美術も堪能できないということで流れました。
美術館のサイトです。
サイトの頭にコロナで閉館のお知らせが載っています。1日も早く通常のサイトに戻れることを祈っています。
東京に住んでいると、展覧会に行く機会は無数にあります。上野のように国や都の大美術館が集まっている場所の他、結構区や市にも良い美術館があるし、小規模な専門化した美術館も沢山あります。ブリジストンや三菱のように企業の美術館も、かなり高い質で観甲斐があります。なのでついつい東京から出ないのですが、この大塚国際美術館はできた当初から行ってみたいと思いつつ、時間が経過しました。徳島って私には遠くて、ヨーロッパへ行くのとあんまり変わらないんです。もちろんヨーロッパへ行くときは出来る限り長い時間を固めてとるしそれなりにお金もかかるんだけど、でも日本の方が、食費とか交通費とか入場料とか、とにかくコストパフォーマンスを考えると高くつきます。それに私にとっては、なんと言っても直接仕事と結びつかないので、なかなか行けずじまい。それが、今年ついに飛行機も宿もとってすごく乗り気だったのに、本当に残念です。今年中にリベンジしたい。
大塚国際美術館は1998年に開かれた新しい美術館です。えーっ!20年以上前だよって言う人もいるかもしれませんが、ルネサンス期からやっているイタリアの美術館に慣れている私には、もうめっちゃくちゃ新しい!神社仏閣で時々ご開帳があるのが習慣だった日本の美術館の歴史は浅く、奈良と京都の国立美術館が東京より先にでき、西洋美術に関しては1930年の大原美術館が最古参。日本の歴史において岡山がいかに文化先進地域だったかを物語る。日本の国内なら岡山を旅したい❣️
大塚国際美術館に話を戻すと、なかなか行かなかった理由はこの美術館の特殊性にもあって、本物が一点も無い、全て複製、しかもそっくりではなく陶器で再現(?)と言う普通ではなかなか思いつかない内容にもあります。美術を楽しむ時、本物かどうかは非常に重大だし、それ以上に作品の質感が失われることは信じ難い大問題です。さらに原寸で再現するため、大きな作品にはいくつものタイルの線が入ることになり、最初はとても行きたいと思いませんでした。その上世界一高いとなれば・・・ね。
世界一本物が揃うイタリアでは、美術館自体が大作品です。聖堂のフレスコ など決してその場でしか見られない、歴史を背負ったオリジナル作品が山ほどあるのです。でも大塚美術館は開館後大勢の人が訪れて、当初は悪口もあったけれど、今では好評を博しているし、何より世界中の有名作品、重要作品を原寸でこれだけ一挙に見られるところは世界でここしか無いので、やはり意味があるでしょう。
それに2020年の大塚美術館のテーマはイタリアだそうで、まさに私のためにあるようなと独りよがりに考えて、美術史の生徒をみんな連れて行きたい。と言っても、今は4月以降開講できるかどうかさえ怪しいけど・・エ〜ン。
大塚美術館の創立者大塚氏は、イタリア文化を広めたお礼に前ローマ教皇から勲章もらってる程、イタリア好きなんだと思うけど、それなら一言苦言を呈したい。美術館の最大の売りであるローマはヴァチカン宮殿内のシスティーナ礼拝堂再現は、酷い!酷過ぎる!!だってシスティーナを再現してるんじゃなく、ミケランジェロのフレスコ 部分だけを再現してる。あんなの全く歴史無視だし、本物無視だ!フライヤーにはボッティチェッリを使っているけど、システィーナではボッティチェッリも凄く頑張ってるのに、全く無視され全部消されてる。ローマ教皇庁はヨーロッパ世界の美術家が競い合う最高の舞台。ミケランジェロが中世の美しい天井画や先にあったラッファエッロの師匠ペルジーノの優美なフレスコ をぶち壊して、天上の空間を地獄の空間へ作り替えて以来、現代の美術を見る目の無い人や、何より有名好きな売れさえすれば良い人たちが、システィーナはミケランジェロの作品のように言うけれど、それは完全に間違いだ。あれは長らく嫌がられた作品だし、ミケランジェロの最高傑作は彫刻であって絵じゃ無いのは、まともに美術を見る目を持っていれば明白な事実。ミケランジェロだってかわいそうだ!だから是非、今、まるで何も無いようになっている大塚美術館の壁を、システィーナを正しく再現したように修正して欲しい。みんなの大好きなボッティチェッリ、ミケランジェロより先に裸体の地獄図を展開したルーカ・シニョレッリ、レオナルドの数少ない友達だったコジモ・ロッセッリ、フィレンツェ中の聖堂に巨大フレスコ を展開したギルランダイオ、最も愛されたペルジーノ等の、非常に手の込んだ壁のフレスコ を再現して欲しい。ロマネスク愛好家からすれば内装のミーノ・ダ・フィエーゾレ等の大理石もあれば言うことないけど。お願いしまーすっ
ヴァチカンはシスティーナ礼拝堂の解説です。英語だけど、あちこちクリックすれば普通には見られないフレスコ の解説画などあります。本物を見てね。
http://www.museivaticani.va/content/museivaticani/en/collezioni/musei/cappella-sistina.html