天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【本】西洋文化基礎知識:キリスト教

私の本棚のこの辺りにはキリスト教関連のものが並んでいます。入門書のようなものもあれば、本格的なものなど色々です。私はずっと美術史とイタリア史を軸に西洋文化関係の講義をしています。常に結構な数の生徒さん達がいて、大変幸福です。

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cristianesimo

来月も放送大学で「西洋美術の基礎知識」を受け持ちますが、定員満員の80人に試験をしなくてはならず大変頭を痛めています。なぜなら放送大学の受講者達は、首都大オープンユニヴァーシティと違い、普段全く勉強していない人から、それなりに知識のある人まで極めて差が大きく、とてもやりにくいのです。

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キリスト教の基盤を知るために、ユダヤ教を知る

私は西洋美術関係しかやりませんが、言語にしろ、文学にしろ、歴史にしろ、芸術だろうとあらゆる場面で、ヨーロッパ文化にはキリスト教が深く関わっています。例え現在、真剣に信仰している人の数は多くはないとはいえ、自然に身についた習慣や、言葉自体にキリスト教から生まれたものが多数あります。日本人がヨーロッパへ観光に行った時にもっとも感動するのは、キリスト教の遺産ではないでしょうか。

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夜の帳に浮かび上がるルッカの大天使ミカエル聖堂は古代ローマのフォーロにある

旅で感動してもっと知っていれば良かったと思い、受講してくださる方は少なくありませんし、展覧会などの作品解説にも非常に興味を持ってくれるのに、聖書は読まない。全て読めとは言いませんが、新約聖書の「福音書」の一つとか、旧約聖書の冒頭にある「創世記」とかくらい読めるはずです。非常に短いですから。聖書こそ源です。

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説明図も沢山あるイタリア語版

本棚二段目の「主の祈り」が置いてある辺りは全て聖書です。他にも持っています。イタリア語、英語、日本語も新共同訳や独自に翻訳されたものなど、一口に聖書といっても実はたくさんあるのです。特に中世を勉強するならば、現在の聖書には含まれていない文書も重要です。そういったものは一般向けではありませんから、まず現在の一般的な聖書を手にしてほしいと思います。

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私が初めて手にした父の聖書。翻訳が違う。

写真下段にある緑色の「キリストの光を」のような本はサレジオ会の神父様の著書で、いわゆる教会へ聖書勉強に行くと使われるような類です。入門者向けに書かれていて、あまりに優しいというか、正直にいうと私には大変読み辛い場合が多いのですが、宗教、信仰とは何かを考えさせられるし、こういう説明をするのだということが分かります。例えば上段右の平凡社ライブラリーはよく使うシリーズで、本格的な内容の本が多い有難いシリーズです。中でも上智大学のリーゼンフーバー神父の著書は極めて専門的な内容でいつもお世話になっていますが、神父様のキリスト教講座に出席すると、そこではまるで別人で、幼稚園児に教えるようなやり方と内容でショックを受けました。何十人も集まった人々は、研究したいわけではもちろんないし、信仰を求めているのかもしれませんがついて行けない自分がいます。私の信仰心は欠陥だらけですが、ただ、イタリアの神父様の講義はずっと面白かったのでなぜだろうと思います。相手が日本人だと、つまらなくなってしまうのでしょうか?真面目な日本人は冗談やダブルミーニングが伝わらないので難しい、と先日もルッカの客人たちが言っていました。

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Piacenzaの驚愕のマニエリスムバロック聖堂

文字の表面を読むのではなく、奥底を読むのです。

 

 

トスカーナのルッカ市と我が街国立市が友好都市になった

ルッカ市と国立市の友好都市関係が決定して、昨日調印式が行われました。ルッカの素晴らしい市庁舎と違い、国立市の極質素な市庁舎で、市長と関係者、記者の立会いの下。私が通訳するはずだったんだけど、昨日は首都大学東京OUの授業(宗教改革期のイタリア史を美術とともに紹介する授業です。熱心な受講者に囲まれて幸せです。)があったので、チェッリーニ・イタリア語学校のフランチェスコさんが代わってくださいました。ご苦労様です。

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Palazzo Pfanner

私は最後の部分に立ち会って国立市の人々と別れた後、ルッカから来た4人と会津に住んでるイタリア人のイベント・プロデューサーと夕飯をご一緒しました。市長以外のルッカの3人は驚くべき寿司好きで、毎晩すしざんまいに行きたがります。みんな傘を持ってないくせに、駅から濡れながらわざわざ渋谷のすしざんまいへ行きました。本格的な寿司屋は金額が張るけれど、もっと美味しい寿司屋はあると思うし、市長がかわいそうで違うところへ行きたかったのですが・・・。

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San Frediano

様々な話をしましたが最も印象に残ったのは、市長の教養の高さです。ハイヤーの中で質問をしました。事前に調べることなく、次々に的確に詳細な年代や名前を出し、原因や理由を明快に語りながら説明するタンベッリーニ市長の頭の良さ、知識の豊富さ、正当な思想(歪んだ右翼でなく)に感銘を受けました。

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Da Battistero

彼は紀元前から中世、ルネサンス、近代もちろん現在の、ルッカとイタリア全体に関して、歴史、芸術(美術と音楽)、哲学と宗教、現代の状況などあらゆる時代と内容の質問に、実に具体的な年代と、皇帝、教皇、有力家系の名を次々に出して答えて下さいました。こんなに短い時間に知的で有意義な時間を過ごしたのは久しぶりでした。日本では恩師故藤沢道郎先生以来です。

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Matteo Civitali ,Volto Santo ecc.

有難いことに大変気に入っていただけたので、ルッカでは市長自ら私と生徒をサポートしてくださるそうです。9月の旅が本当に楽しみです。一緒に行く人、期待してね💖

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Francesco Burlamacchi

写真は全てルッカのものです。現地では私が解説しますが、市長と大聖堂の人々の説明も大変楽しみです。

 

【本】読書遍歴とアントニオ・タブッキ

 

タブッキの「黒い天使」は1991年に書かれ、7年後に翻訳が出た。直ぐに図書館で読んだ本を、後に買って今日再読。

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L'angelo nero

イタリア留学をして以来ほとんど小説を読む機会が無くなった。子供の頃から本が大好きで、中学時代は毎日のように図書館に通い、大学時代もバンド活動の合間を縫って幻想小説や社会派SFを読み耽っていたのに。小説が読めないことは寂しかったが、世界史や美術史、美学、哲学、中世史、神学などの本を読み始めるととても時間が足りなかった。研究者の端くれとしてルッカトスカーナの街)や巡礼など、より専門的な内容になるともう日本語では資料が無くイタリア語で読むしか無いのだが、スピードは落ちる。だから滅多に小説に割ける時間は無い。そんな中で、長年親しんだずっしりした家具のような本棚を解体し、随分と本を処分して、一つのパイプラックを二つに改造してなんとか並べ終えた。忘れていた本や、再読したい本が目につきどうしても堪え切れずに、授業の資料作りをせず半日かけてタブッキを読んでしまった。

 

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A.T.

アントニオ・タブッキウンベルト・エーコモラヴィア、ギンズブルグ、ダリヲ・フォー、デ・クレシエンツォなど現代イタリアを代表する作家の一人だが、私が一番好きなのはイタロ・カルヴィーノとタブッキだ。イタリアにはダンテ以後、現在も読み継がれる偉大な作家が何人もいるし、特にファシズム時代、レジスタンスに関わった作家たちの迫真に迫った、恐ろしい作品は皆胸に迫るものがある。ダーチャ・マライーニ、ナタリア・ギンズブルグ始め女流作家も本格的で力強い。南米の作家にも共通する、あまりにリアルでおどろおどろしい真実を描き出す表現力は、社会や歴史、人間についての深い探求から来るもので、多くの作家に共通して感じられる。

 

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A.T.

でも私が好きなのは、生の姿を描き出す力を持っていながら、非現実的で突飛な設定や、独創的な文章の構成、そして何よりも文化的教養の深さ、芸術に対する愛だ。特にタブッキは詩のような、というより絵画的な文章が印象に残り、訳ではなく原文で読みたいという欲求を強く与えるので「ベアト・アンジェリコの翼あるもの」はイタリアで買い直した。

 

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Beato Angelico da A.T.

タブッキは様々なところで教えた大学教授でもあった。作家と呼ばれるより教授が仕事であったと考えていたようで、それは彼の作品に現れていると思う。仕事ではないからこそ、彼の作品には妥協なく、思うように創作活動ができたのではないか。文学が芸術の一つだと痛感する。

 

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表紙もいつも素敵

日本語訳も結構出ているので、一人でも多くの人に読んでほしい。西洋文化の知識が深ければ深いほど、ますます感動は大きくなるけれど、知らなくても新たな発見があるはず。

 

【本】イタリア語学習者へ:文法書

家具のような本棚を叩き壊し、パイプ本棚キット一組から二つ本棚を作り、やっと一応整理したので、本の紹介を始めます。

 

私は中世西洋美術の研究者でオープン大学では「西洋美術史」と「イタリア史」の講座を持っています。内容も当然それに関する本になるでしょう。それにしても本を整理するのにだいぶ処分したんだけど、日本では洋書は全く売れないところが多くて、ブックオフなんか驚愕の一冊5円。新品同様の英語読本だったのに。お金にならないのはわかってるけど、沢山あったからほんと誰かにもらって欲しかった。

 

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Todi, Umbria

本気で勉強するなら「辞書」と「文法書」は絶対必要。逆に言えば、いい加減になんとなくちょこっと会話したいなら必要無いよ。

 

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イタリア語文法書

英語に関しては圧倒的に解説書も多いし、なかなか良い本もあるけれどイタリア語はあまり選択肢がない。本気で勉強する人向けには坂本鉄男著「現代イタリア語文法」が古典的必読書。古典的っていうのは、まさに日本語自体も古典的で本を読み慣れていない人には日本語も難しいかも知れないけれど、日本語の勉強にもなるよ。イタリア語文法全てが真面目に解説してある。隣の「イタリア文解読法」は要らないけれど、私は語学オタクですって人にはお勧めの本。例文が多い。

 

もっと最近の新しい本も色々出てるけど、これぞって一冊は見つけていません。この二冊は相当硬い本なので、ちょっと勉強するにはイタリア語検定のための「突破」ものが出ているから、これで文法は一応勉強できる。過去問は文法解説がほとんど無いので、突破ね、間違えないように気をつけて。

 

一番左に見えるアントニオ・マイッツァ著「イタリア語、初歩の初歩」は気軽に始めるグループ授業用に用意しました。これ一冊でサブタイトルの「聴ける、読める、書ける、話せる」わけはなく、一人で勉強するにはお勧めできないけれど、誰かに教えてもらえるなら使える本です。薄くて安い。真面目な語学文法書では無いので、読み書き、フレーズや単語に慣れるのを目標にするには悪く無い内容です。ちょこっとイタリアの習慣などに関する説明もある。こういう本にはほとんどCDが添付されているので、とにかく聞きましょう。と言っても、ただ聞き流してるんじゃできるようにはならない。聞いて、自分で必ず発音しよう。

 

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Duomo, Milano

なんでもそうだけど、目標を決めて最初の一ヶ月は毎日勉強して頑張る事。最初は何もかも新しく、どんどんできるようになるから面白いので、初期に一気に進もう。それが語学勉強のコツのひとつ。

 

そうそう辞書は小学館の中辞典しかない。電子辞書に入ってるのが小学館か確認してね。ちなみに私のはカシオじゃなくセイコーSIIランダムハウス搭載の英語辞典にイタリア語チップを差して使っています。電子辞書の金額は、搭載されている辞書によって値段が全然違うから自分に合ったものを探してください。ちょっとみたところ中古だと5、6千円から出てるけどSIIのプロ用はその10倍以上します。本が好きな人なら紙の辞書は本当に素晴らしい。時間があれば、関連単語が一気に目に入ってくるなど紙の方が絶対に勉強になるよ。

 

【本】本と国民性。ルッカの場合

ゴールデンウィークいかがお過ごしですか?

私は普通の働き方と違うから、みんなが出かけるときはできるだけ邪魔にならないように過ごします。要するにあんまり出かけないで、時間に余裕のある時にしかなかなかできない事をする。

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1928年の論文

今回は国立市ルッカ市(イタリアはトスカーナ州の超素敵な街)の姉妹都市提携のためにルッカから市長御一行が来国立するのでその準備も兼ねて、溜まってるルッカ関係の資料を読んでる。もちろんイタリア語プラスたまにラテン語ラテン語の読めない私にはこれがキツイんだけど、中世西欧を勉強してれば当たり前に出てくるのでなんとか読み解きながら読んでる。ルッカ関係の本はたくさん持っていて、最近の物は比較的読みやすいんだけど、写真のみたいにかなり古い資料や、地味な論文などはどうしても後回しになってる。古いものはペーパーナイフで上の頁を切り開きながら読んだりする。それだけで映画みたいでかっこ良くない?28年の論文はもちろん活版印刷で、800年から1000年(中世盛期より前)のイタリアにおける宗教生活を扱ったもの。その頃ヨーロッパはまだまだだった時代にルッカはいち早く繁栄の兆しが見えた特別な街なのだ。

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1849年のルッカ

この本はルッカに初めて行った時に買って何度か読み始めたけれど、まだイタリア語力が足りなくて読み切れていなかったので今回やっと完読。ルッカの民衆史がテーマ。1:街の起源からカストルッチョ・カストラカーニ(封建領主の英雄)まで。2:パオロ・グイニージ(街最大のルネサンス貴族)まで。3:司教座聖堂法確立まで。4:共和国の最後まで。5:イタリア建国まで。という構成。基本知識として必読。とにかくルッカでは、日本のダサい本と違って本自体がアーティスティックなものが多い。表紙がぐるっと1849年のルッカを描いた版画で、中にも様々な時代の版画が挿入されている。

 

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小型本

ルッカに特にかっこいい本が多いのは、マリア・パチーニ・ファッツィという出版社があって、そこがセンス抜群なのだ。略してMPFはつい最近歴史中央地区にすごく素敵な書店も出した。

 

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書店

ルッカには大手の有名書店ももちろんあって、そこも素晴らしい内装だったりしてルッカのお洒落度が際立つ。イタリアには地元愛に満ちた人々が沢山いて、郷土史関係の書籍が多い。日本だったら街の図書館の地味〜な一角に揃ってる資料みたいなものが、MPFでは観光客もお土産にできるような可愛くてお洒落で手頃な金額のものから、研究者向けまで色々ある。絵画に覆われたお店では、出版物関連のイベントも行われて映像も交えた知的な空間が創出される。

 

そうそう、郷土愛といえば私も一応地元を愛していて、昨日も一日国立を案内しました。来てくれる人は大抵素敵なところだと言ってくれます。また来てね💖

 

厭世的な私はモテるっ!

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San Gennaro

ナポリ司教座聖堂の写真は子供が写ってたから載せたまで。話とはほぼ無関係です。

 

今日、信号待ちで、近所の保育園の毎日遠足と出くわしました。二歳くらいの子供たちが15,6人保育士さんらと一緒に信号が変わるのを待っています。その中の女の子がじーっと私を見ていたので笑顔を返しました。すると男の子が手を挙げたので手を振り返したら、ニコニコ近づいてきてハイタッチしました。一応私にとってはロータッチでしたが・・。すると彼の後から後から他の子もハイタッチしようと寄ってきましたが、その時に信号が変わったので、可愛いグループは去って行きました。ハイタッチできなかった子たちは名残惜しそうに振り返っていました。

 

私は大変子供にモテます。昔からで不思議ですが、多分私の服装とか、雰囲気が子供に親近感を与えるのだと思います。男の人から、幼稚園の先生ですか?と聞かれたこともあります。全くそういった経験は無いし、今は可愛いと思うけれど若い頃は小さな子供にほとんど関心がなかったにも関わらずです。好感が持てるという意味で言ってくれるのですが、かっこいい研究者を目指していた私には、なんだか残念な気さえしました。

 

初めて友人とイタリアへ旅した時のこと、建造物や街の雰囲気に圧倒されながら街をゆっくり歩いていた時、突然スカートが何かに引っかかったと思ったら、小さな男の子が私のスカートの裾を握っていました!二歳にもなっていないくらい小さくて、お母さんがいないかと周囲を見回しながら男の子の方を向くと「なんて名前?」と聞かれました。その時頭の上から彼のお母さんが「ジュゼッペー!そっち行っちゃダメ!!入りなさいっ」と呼ぶ声がして、私たちは男の子を扉に向かわせ一件落着。友人は「イタリア人恐ろしいねー!あんなに小さいのに(もうナンパか!)」と言ったのを覚えています。それはシチリアシラクーサでした。

 

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子供の作品みたいなイエスの昇天

女の子にもモテます。電車やバスの中で小学生くらいの女の子に話しかけられて鞄の番人をさせられたり、洋服が可愛いと褒められたりします。若い頃は高齢の人にもよく声をかけられました。「まーそれ(服など)どこで買ったの〜?」とか。

 

よくナンパもされました。一度など、交差点で信号待ち中、止まったダンプカーの中から「乗らないか〜?」と言われました。乗る人が居るのか想像もできませんが、丁重にお断りしました。世の中には不思議な事があるものです。

 

道もよく聞かれます。私の前に何人も人が居るのに、それらの人をすっ飛ばして私に聞いてきたり、ローマではよくイタリア語の分からない外国人に質問されます。「あなた英語わかる?」時には食品の内容説明をしたりします。

 

私は子供の頃、自閉症気味でした。一人で居るのが苦になりません。読書やコンピューターや映画を見たり・・。宮沢賢治じゃ無いけれど、世の中の全ての人が幸せでないと、心の底から幸せと感じられないので、ある意味厭世的です。何人もの人と付き合ったけれど、人に合わせるのが苦手なので当然独身ですが、これも子供の頃から考えていた通りで辛くありません。こんな私に子供たちが声をかけてくるのが、本当に不思議ですが、ありがたい事と思って、神に感謝することにしています。

 

フリーメイスンはやっぱりどこか怪しい

よくテレビなんかで「日本中が湧いた」とか「注目した」とか「感動した」って言うけど大抵嘘って、私は思ってる。日本中って何パーセントの人を指しているんだろう?そんな中、お花見と桜に対する注目度は、本当に日本中の人が悦んだり、愉しんだりするっていう印象があります。

 

私は国立(クニタチ、コクリツではありません)が近いので、毎年必ず道沿いにずらっと並んだ桜の下をお散歩します。天気が良いと最高です。大学通りだけでなく、他にも色んなところに桜並木があるので、お散歩しながら道沿いのお店や素敵なお家など見ていて、特別気になるものがあります。

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Masonic Center

それはフリーメイソン。ズ〜っと昔からあって、桜の時期に必ず通るので毎年気になる。今ではすっかり古びた昔風の公民館見たいな建物で、いつも閉まっています。ところがこの前、駐車場は高級車で一杯!フリーメイソン会員もお花見してるんだと思いました。私は純粋に歴史的、政治的、知的興味でどういったものなのか、現状を会員の方々に聞いてみたいのです。

 

入り口にこんな事が書いてある。

 

フリーメイスンの目的はより良い人間になる事です。また神の愛と人間同士の兄弟愛に就て高潔なしかも愛情のこもった生活を送り得る善良な人間となる様教え、教育活動には極めて熱心ではありますが、物質的援助を推し進めるものではありません。」

 

「真のフリーメイスンは常に自らの中に満足を見出す事ができる様心がけるべきであり、生ある限り彼自身のみならずその援助、同情を求めている人々に対してそれらを与え得る様心がけるべきであります。(できる限り良いことをしなさい、でもできないときは団結力で実行する様覚悟しなさい、って内容が続きます。)

 

フリーメイスンは宗教ではなく又ロッジ(原文はチに点が打ってあります)は教会でもありません。宗教の如何を問わず、唯宇宙創造の大神を敬愛し霊魂の不滅を信ずる人々の集まりであって宗教的な色彩を帯びている団体であります。」

 

これは宣言文の途中の抜粋です。宗教団体ではないと言いながら神は出てくるんだね。それと教育に口は出すけど、お金は出さないってことかな?霊魂不滅の信者たちは一体何をしているんだろう?モーツアルトも、レオナルドも、歴代大統領もフリーメイソンだったっていうし、気になるーっ!!

 

一度お葬式があったみたいで、その時に止まっていた車の番号は666でした!!悪魔の番号だよー一般的には・・。パンフレットをもらってお話を伺う事ができないものかと思って何十年も経ってしまた。子供の頃から不思議に思ってるので・・・

 

【旅】2019年ロンバルディーアの旅:アルベルゴ(宿)

昨日トスカーナの旅の宿と比較して、どうしても納得できなかったロンバルディーアの宿。ところが今日見たらキャンセルが入ってて、一番泊まりたかったところに泊まれることになりました!!神がまたしても味方してくださいました。(そんな風に考えてはいけないが、感謝したくなります)ということで、いくつか変更が出ました。これが最終決定です。

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Bea Ducale

9月10日 Monza ロイヤルファルコーネはそのまま

11日 Pavia ホテル・エクセルシオールもそのまま(二泊)

13日 Piacenza ルネサンス期の歴史中央地区のPalazzoから二つ星ホテルに変更。

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Hotel Aster

向こうに見える高層ビルではなく、挟まれた白壁の建物。なぜこれにしたかというと、他の場所だとどの宿でもシングルの部屋が出てしまうんだけど、ここだけ一緒に泊まれるのです。しかも駅から200メートル、司教座聖堂までも600メートル、ということで車を使わず気楽に移動できそうです。やっぱりシングルが出るのは良くない。みんな一緒の方が楽しいでしょ💗二部屋ですみました。めちゃくちゃシンプルな部屋で質素ですが、駅側で歴史中央地区内です。今回の旅ではここが一番質素かな。

 

15日 Bobbio 変更無し。ウルトラマイナーなルネサンス期のお屋敷。

 

16日 Vigevano 変更!!これが待ってましたって宿です。前の宿も最高点に近い評価だったんだけど、新しいアパートで雰囲気はなかったし、歴史中央地区ではあるけど、これほど素晴らしい場所ではありませんでした。見てください。このありえないロケーション!!

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Vigevano

印がキャンセル待ちで今回決定した宿ですっ!ヴィジェーヴァノといえば、圧倒的にこの広場が名高いのだけれど、なんとその広場に面した建物です!!!!住所は公爵広場10番地!レオナルド・ダ・ヴィンチもやってきたミラノ公のお城に泊まります!!やったよー。興奮が伝わるでしょうか(わ〜い)1枚目の写真は、お部屋の窓からの眺め!凄い!ルネサンスバロックの劇場空間の最高峰(はローマに決まっているが)の一つに数えられる広場が丸窓から覗けます。Bea Ducaleという名は「公爵の喜び」とでもいうものでしょうか。

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Vigevano

お部屋は中世の屋敷を改造した作りで、公爵の狩の趣味を反映してか豹柄好きのようですが、ま、その辺は気にしないようにして眠りましょう。興奮して眠れなくても、一歩外へ出れば最高の広場ですから夜の散歩も楽しそうです。

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Bea Ducale

これが間違い無く、今回の最高宿になるはず。アパートを二つ貸し切りです。広くて住んでるみたいな感じが好きです。二泊。

 

18日 Milano 変更無し。

 

これが決定項ですので、トスカーナに負けない宿にできました。ロンバルディーアの旅の参加者の皆様、いかがでしょうか?質問はラインでお願いします。

 

【音楽】フランス・ルネサンスのギターとリュート

明日は、リュート奏者の櫻田享さんのコンサートへ行きます。

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Sakurada Toru

会場は東京オペラシティの中。オペラ街って名前なんだけど、私は近江楽堂へ行くことの方が多くて、全然オペラじゃない。近江楽堂って中世音楽の専門の場所で、こじんまりしたなんとなく聖堂を思わせる場所です。イタリアをやってると、断然オペラ好きかと思われるけど、実は全然オペラよりバロック音楽好き。バが抜けたやつも好きだけど。オペラもバロックだと言われると、またバロックの概念について考えてしまう。プッチーニは美しいけど、コレッリとかバッハとかの方が落ち着く。バイオリンやってたからかなー?関係ないような気もするが・・分からない。弦楽器の音の方が好きなのは確か。チェロとか良いよね〜🎶

 

明日のコンサートは、今までよりリュートっぽくない感じ、って勝手に素人の私はCDを聴いて感じました。この可愛いギターっぽい音色を目覚ましにしたら、気分良く起きられそう。レスポールの早弾きでも起きられるけど。

 

櫻田さんのオランダ時代の先生で世界的なリュート奏者佐藤豊彦さんが解説します。それも一緒に楽しみ。櫻田享さんのオフィシャルサイト(以下)には、いかに明日のコンサートが珍しくて興味深いものか、美術史家としてもワクワクする解説が書いているから、読んでみて!

http://www.lutelute.com/blog/

 

【旅】2019年トスカーナの旅、アルベルゴ(宿)

まだ破壊した本棚と、処分をどうするか悩んでいる本たちに囲まれて仕事しています。

 

トスカーナの旅はモンテカティーニの宿が思うように取れなくて遅れましたが、ようやく発表。

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Grand Hotel Duomo

9月20日 ミラーノへみんなが到着し、私は空港もしくは宿でお迎えします。クラブ・ホテル。

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Culb Hotel

マルペンサ空港行きバス停留所も中央駅も近いので選んだ普通の三ッ星ホテルです。だけど、ジョルジョーネやマサッチョの絵がかかってたり、ベスパやナポレオンの胸像も面白い😃寝るだけだけどね。

 

21日(土)朝から移動しプラートへ。アルベルゴ・ジューニ。

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Albergo Giugni

プラートでも6ベッドなかなか見つけられず、駅からちょっと離れた宿へ。B&Bからホテルに昇格してるし、ひたすらシンプルだけど歴史中央地区です。バスもタクシーも出てるというので車で到着。荷物を置いてすぐに街に出、お昼。

 

22日(日)モンテカティーニ・テルメへ。グラン・オテル・テットゥッチョ

一泊づつで忙しいけど、やっぱり宿泊すると街がずっと印象的になるので泊まります。様子を見てモンテカティーニへ。ずっと、下の温泉リゾート地テルメではなく中世の小さな村アルトへ泊まると言っていたにも関わらず、どんなに頑張っても無理でした。6人分のベッドが存在しないのが判明。ごめん!でもすごく努力したので許してください。その代り由緒ある豪華ホテルへ。

 

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Grand Hotel Tettuccio

 実際泊まることになった「天蓋」という名のホテルの奥に、泊まろうとしたアルト村が見える。二軒しか宿がなくて、4人しか泊まれなかった。

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Grand Hotel Tettuccio

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Grand Hotel Tettuccio

宿はテルメの小さなリゾート地のメインストリートに面していて、しかも緑に囲まれた気持ちの良い環境で、天気が良ければ朝食は外なんだって。

 

23日(月)ピサへ二泊します。ここは今回の中でも最高中の最高!・グラン・オテル・ドゥオーモ

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Grand Hotel Duomo

トップの写真がピサの宿からの眺め!この写真でも分かるように、屋上ベランダでパーティができるようになっていて、結婚式やイベントが行われています。このベランダにはガラス張りの食堂があって、そこでも食べられる。もーほんとに最高だ!中世ヨーロッパの奇跡と言われた、ピサの大聖堂と世界七不思議の斜塔が近いっ!やっぱり、トスカーナはイタリア中で最も人気の高い州だけあって、宿の数も質も全然違います。ここに泊まれるなんて嬉しい。一人では間違っても泊まらないので、みんなと一緒だから、夜はベランダで奇跡の広場を鑑賞してゆっくりしよう。

 

25日(水)ルッカへ二泊。アル・トゥスカニ

本当はルッカ最高の宿へ泊まりたかったんだけど、やっぱりベッド数の関係で最高はならず。残念!だけどここだってなかなかです。ルッカはイタリアでも稀に見るロマネスクの街なんだけど、宿も、床や天井など微妙に中世の香りを残した雰囲気です。

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Al Tuscany

正直言って、壁にかかってるフェルメールが気にくわない(プンプン)。ルッカ最大の芸術家の作品を飾って欲しかったけど、仕方ない。街のど真ん中で、気軽に帰ってこられるから、町中歩き回りましょう。

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via cenami

宿のある通りは、最大のフィッルンゴ通りのように、大勢の人でガヤガヤしていないのにおしゃれなお店が軒を連ねる素敵な場所。これはお隣の食堂。宝石店や洋服屋さん、最もイタリアらしいのは写真にあるような画廊です。古地図、近世の版画、油絵など、こんな物が掛けられるような家で暮らせたら素晴らしいのに・・。

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Daniele Squaglia

28(土)フィレンツェへ。

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Soggiorno Isabella De Medici

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Soggiorno Isabella De Medici

最後の晩はフィレンツェへ泊まります。「イザベッラ・デ・メディチの宿」という、名前だけ貴族的なB&Bは何が何でも駅に近い!無駄に時間を使いたくなかったので、ルッカから入ってすぐに、行動できるよう駅近どころか駅前です。

 

全体を見ると、グランの付くホテルが二つもあって、どうしてもロンバルディアより良い宿が揃っています。これは何と言ってもトスカーナの力です。しかもトスカーナ三大都市フィレンツェ、ピサ、ルッカ)なのでこういう結果になりました。ロンバルディアは巡礼度が強く質素なのに対して、トスカーナは派手な明るい印象です。

 

お待たせしたし、モンテカティーニでは嘘つきになりましたが、むしろゴージャスなところに泊まれるようになったので、お許しください。何かあったらラインしてね。旅がワクワクしてきたでしょ💖

 

 

 

本と家と人生と

一昨日、伸ばし伸ばしになっていた本棚を買いました。兎に角本が増えて、家が潰れそうになるので、如何に必要な本だけ残して捨てるかとか、どうやって整理するかが重大問題です。私立大学の教授になってテレビにでも出れば、書庫が作れたりするんでしょうが、貧乏講師には永遠にできません。なのでひたすら軽くすることを目標にしました。

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一応並べた

古い本棚を猛然と叩き壊して、昨日は1日身体中筋肉痛でした。その本棚は私よりもずっと年上で親族に伝わる物。自分の部屋を緑基調に変えた時に、合わせて塗りました。大変お世話になったので全部壊す前に一応写真を撮りました。完全に自分の為に。

 

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壊しかけ

壊してる時に実感したのですが、物凄くしっかり出来ていて、とても今は作れない頑丈さと丁寧さで、釘の打ち方から、裏の板の仕上げまで、中世の職人仕事が生きているのを感じました。

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抜きまくった釘の一部

歴史の勉強をしていたり、毎年ヨーロッパへ出かけていると、如何に現在の日本の様々な物がチャチか痛感します。軽くて小さい方が便利で現実的な上、大量生産品が当然経済的なので、そういった代物が増えるのはごく自然なことです。でも、本棚一つ作るにも、昔は職人さんの誇りがあったろうなと思いました。今は、そういった人は極めて限られた人達で、そういった物を使える人も本当に一握りでしょう。かつては全てが手作りだったのだと思うと、ウィリアム・モリスでなくともアーツ&クラフト運動を起こした人々の気持ちが理解できると同時に、それが失敗したのが当然だということも残念ながら解ります。

 

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こういうの結構好きです

ぶち壊すのに使った道具は、ハンマーと巨大釘抜きなど。これから電鋸が登場して、捨てられるように小さく切らなければなりません。私は、いろいろ自分でやるのが好きなので工具も子供の頃から慣れています。

 

古い本棚を壊して、新しい本棚を組み立てるのは簡単でしたが、問題はそこへ並べる本。できる限り処分しようと必死に減らします。生徒の皆様、イタリア語や英語の読み物などいりませんか?貰ってください。中上級の綺麗なテキストが何冊もあるよ。多少イタリアのファッション誌とかもあります。お料理の本は皆無だけど車の本がある。イタリアの地図や観光案内パンフなども。ロックの本もある。そんなとこかな。

 

可笑しかったのは、初めてイタリアへ留学した時に買ったペーパーバック。中世の巡礼に関するものを当時から読んでいたので「巡礼」という題名で買ったんだと思うんだけど、初期にはイタリア語では読めないから英語ですが、読み始めたら難しいので、?????となってほったらかしていました。今日久しぶりに見つけて、パブロ・コエーリョの作品だと気づきました。これは中世史の本ではなく幻想文学だから、分からなかったのは当然だと自分を笑ってしまいました。南米の幻想文学も大好きなので時間があったら読みたいけれど、先に読むべき本が沢山あります。

 

自分に関するもの、写真やノート、手紙などもどうやって捨てるか考えるのが面倒。初めてイタリアへ行った時の写真など見ると、いつだって自分はデブだと思っていたのに、今見るとちっとも太ってなくてびっくりです。当時は体重はなかったけど、丸顔なのでいつだって写真が嫌いでした。今は、本棚叩き壊すのに、体重が役に立つ次第です😂

【講座】2019年春期首都大学東京オープンユニヴァーシティ:イタリアと美術

私のライフワークとなっている首都大学東京オープンユニヴァーシティの講座が開講決定しました。毎年長年連続で開講してるから当たり前のような気もするけれど、毎期で開講するかどうかが決まります。なので万一人数が足りないと開講できないから、どうか登録してください。よろしくお願いします🙇‍♂️

 

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Petrellatifernina

飯田橋校舎では常に西洋美術史を基本に授業しています。この前の冬季は「西洋美術基礎知識」として、古代から現代まで扱い様々な素材に注目して、非常に広く美術を紹介しました。

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中公新書

それとは一転この春は去年、大変親交を深めたモリーゼの研究者との結果、私のロマネスク美術への知識もかつてなく深まったので、日本では紹介されていないマイナーなロマネスク美術を紹介します。この聖堂は池田健二著「イタリア・ロマネスクへの旅」に紹介されています。しかしそこでの解説とは全く違った解説を行います。地元研究者の詳細な研究と、その資料や文献を紹介しながら、ロマネスク美術の持つ読み解きの面白さ、造形の自由闊達さなどが生き生きと伝わると思います。

Petrellatifernina

いかにモリーゼの美術が特徴的であるかを理解するために、当然定番のロマネスクも紹介します。比較研究は基本ですから。

 

Santa Maria della Strada

それと参加者の希望があれば、東京で行われている西洋美術関連の展覧会についての解説にも時間を取ります。

www.ou.tmu.ac.jp

 

一方、南大沢キャンパスでは歴史を中心に見ていますが、このところ数年かけて宗教改革ルネサンスに関連する内容となっています。と言うことは、イタリア史とはいえ、ドイツが半分を占めるのではと言うほど話の中心になってきます。要するにヨーロッパ全体に関わる大問題なので。教科書がありますから、参加者は授業の前に「ルネサンスの歴史」下巻をよく読んでおいてください。

Pisa

私は美術が専門なので、当然美術に現れる宗教改革の時代を、作品を持って紹介もします。この時代はドイツ美術の最盛期でもあり、イタリアとの違いが明確になるでしょう。

www.ou.tmu.ac.jp

 

一人でも多くの参加者を持っています。美術や歴史の好きな方、ヨーロッパへ旅に行くのに、ただ美味しいとか、表面的に綺麗とか言うのではなく、もっと深い楽しみを望む方、ぜひお願いします。ちゃお!

 

【旅】2019年ロンバルディアの宿

毎年恒例の「イタリア美術の旅」で、今年の宿がほぼ決まったのでお知らせします。

 

2019年9月

10(火)Hotel Royal Farcone, Monza

モンツァへは飛行機でミラノから直に向かうので 夜中に宿入りです。

大きなバスルームでゆっくり休み翌朝は高級ホテルの定番朝食、各種パン、チーズ、果物、ケーキに飲み物。クッキーが季節毎に可愛く飾られるらしい。

駅近。

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Hotel Royal Farcone

11(水)Hotel Excelsior, Pavia

駅近の三ッ星ホテル。普通に綺麗で移動には最適。二泊だけど、カルトジオ会修道院へバス乗り場すぐだし、荷物運びにストレスが無いので選びました。

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Hotel Excesior

13(金)Palazzo Malaspina, Piacenza

ピアチェンツァには二泊するので、駅近ではなく歴史中央地区のど真ん中。しかも歴史建造物。部屋は現在できたての真新しい内装です。この辺はよく知ってるけれど、全くど真ん中で素晴らしすぎる立地。天蓋付きのベッドなどもおかしいです。

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Palazzo Malaspina

15(日)Palazzo Tanburelli, Bobbio

これぞ一般のツアーでは絶対に泊まれない、歴史建造物の巡礼宿。中世後期〜ルネサンス期にかけての住人だった貴族の家具などが残っています。天井のフレスコも良い状態です。私たちだけで館を借り切ります!

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Palazzo Tanburelli

16(月)唯一私が行ったことがないヴィジェーヴァノですが、宿自体が少なくて選択の余地がない中、中心広場のすぐ裏で最高点のB&Bです。清潔さでは特に点数が高いので、ま、いいか。名前も気に入ってるし。本当は広場に面した超ゴージャス宿を狙っていたのですがベッドが確保できていません。万一空いたら変更するかも。二泊。

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Locanda San Bernardo

18(水)最後のミラノはマルペンサへのバス発着場と列車の中央駅に近いということで、ゴージャスとか素敵とか言ってられませんでした。普通の三ッ星ホテルですが、それでも壁に巨大なジョルジョーネがあるところなど流石です。

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Culb Hotel

ここは各人日数が違いますが、私は三泊して後発のトスカーナ組もここで迎えます。

ボッビオの宿以外は普通の旅行サイトなどで簡単に調べがつくと思いますが、ボッビオだけイタリア語のコムーネがやっているサイトがあるくらいです。質問あったらいつでもラインしてね。

 

【本】ある巡礼者の物語

題名:ある巡礼者の物語 イグナチオ・デ・ロヨラ自叙伝

訳・注解:門脇桂吉

出版:岩波 2000年

 

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Ignacio de Loyola

写真は当然岩波のではなく、スペインで2017年に公開された映画から取りました。岩波の本は昔ながらの装丁で、青です。岩波文庫ほど売れ線と無関係に出してくれるところはないので、本当に感謝しています。岩波が素晴らしい所は、日本人の解説ではなく原文の訳を出してくれる所。解説、概説はもちろん役に立つし、最初はそこから入るべきとも思うけど、やはり当人が書いた物が当然、最も真実に近い。因みに私はほとんど青か桃色です。岩波文庫は色によって内容が違うんだよ。

 

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Ignacio de Loyola

出てすぐに読もうと思って後回しになっていました。私の授業(イタリア史と西洋美術史)でずっと宗教改革期を扱っているし、世界的に不寛容な庶民的国粋主義傾向が続く中、宗教改革の只中で世界に打って出たイエズス会創始者が気になっていました。読む前は、正直言ってつまらないのを我慢して読むかもしれないと思っていて、頁を開いたら冒頭で訳者が、これは大変読み難い本で・・云々といきなり言い訳のようなことを言ってくるので、そ〜か〜、と思ったのもつかの間、どんどん読めた。感動した。

 

誰でもどんどん読めて感動するとはとても思えないけど、とにかく私は大変感動しました。薄い本で、解説は日本のニュースみたいにただ同じ事をなぞるだけ、みたいな内容が多いので、すっ飛ばしてイグナチオの書いたもの(口述だけど)だけ読めば本当に薄いから、西洋史を勉強する人は絶対に読んで欲しい。

 

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Loyola

まずロヨラの人となりをリアルに感じられ、神の軍隊と言われたイエズス会の大雑把なイメージを修正し、イメージが持てた事。でも何より考えさせられたのは、彼が生きた時代は、西洋史で言うところの宗教改革真っ只中、ルネサンスの合理精神で良くも悪くも近代化された時代。なのに、スペインは全く状況が違ったようで、中世盛期の聖フランチェスコや聖ドメニコにむしろ近いと感じられる、ただひたすらな神への愛を実践し、教皇他権力に逆らわない服従の精神。ペンと言葉で激戦したルターやカルヴァンとは何世紀も違った時代に生きているようなのだ。スペインやフランドルではみんなが恵んでくれるが、イタリアでは誰も恵んでくれないなど、イタリアは近代化されていたのだろうと思う。やたら厳格だったプロテスタントと対照的に改宗ユダヤ人のために家を建てたり、各地へ宣教するに土地の言語を勉強したり、ある意味恐るべき寛容の精神。ザビエルも日本人に感服して、地球の裏側からやってくる気合の入れようだ。とにかく、世界史で習う(学校の世界史なんて入り口でしかないが)西洋史とは随分同じ時代でも、地域により差があることが明確になった。以前から南米に関して、古代に感じられるが実はルネサンス期だったりと、時代感が異なる事を認識していたが、ヨーロッパの中でもかなり差があったのだと実感できた。歴史を勉強する上で、縦軸と横軸の関連は最も重要で一律には説明できないのを、肝に銘じたい。

 

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3

続けてこれを読みたいと思ってる。ロヨラと、最初のイエズス会士ファーヴル、それにロヨラと同時に聖人となった、日本人には最も馴染みのあるザビエルの本。

 

 

 

【本】ベルニーニ その人生と彼のローマ

非常に面白かった!

 

 

素晴らしい。圧倒的な天才芸術家ベルニーニを、美術史的な視点での作品解説ではなく人生と時代を、末息子ドメニコやローマのゴシップ誌などを資料として描く。大芸術家らしくルイ14世、八人の教皇たちのような歴史を形成する権力者たちとの関係はそのまま西洋史の知識に繋がる。が家族や愛人など個人的な問題はリアルで彼の性格を慮ることができる。問題は、英語で書かれた初めてのベルニーニ伝ということで、イタリア語の個人名が誤っている事が多々あり気になった。作品は読む前に知っておくべき。

 

読書メーター使ってます。読書整理にお勧め。

 

 

この世界一有名な建造物、ヴァチカンの聖ペテロとパウロのバジリカも彼が内外共に大きく関わっている。実は塔があったのを知っている人がどれだけいるだろうか。今も聖堂入り口にその痕跡を見る事ができる。

 

 

彼が華々しくローマの芸術界にデビューしたこの作品には、実はかなり弟子の手が入っている。職人技が圧倒的なだけではなく、大勢を使う美術監督としても、問題はあれども非常な才能があった。その点はラッファエッロと似ている。

 

 

この女性はベルニーニの弟子の妻で愛人。弟に彼女を寝取られたベルニーニは怒り心頭に達し、彼女の顔を切りつけさせる(弟を殴れっ!と言いたくなるが)という恐ろしいことまでしている。そんな彼女を事件後に製作した心境はどういうものだったのだろうか?それとも製作年代が間違って伝えられているのか?

 

 

ローマでの巨大な成功は大勢の敵を産むことにもなり、有る事無い事言われて大きなプロジェクトから外されるという、彼には受け入れ難い状況をどうやって乗り越えたのか?それはひたすら制作に励むことだった。「真実は時が明かしてくれる」というこの像には、時の翁はいない。女性の裸体(この像はチェーザレ・リーパの図像学辞典に載っている「真実」の像)だけが作りたかったように見えてしまう。

 

 

自分は最大の天才だと自認していても、自らの作品を決して褒めることはなかったというベルニーニが唯一傑作としたのが、聖アンドレーア聖堂だった。妻の死後篭ったのも、馬車馬の如く働き詰めの人生で、ほっと一息つくときもこの聖堂へ来た。この聖堂はローマに無数にある絢爛豪華な巨大聖堂の中で、訪問順位はかなり低い聖堂だが、私も初めてここを訪れた時その美しさに驚いた。知らない内に舞台に上がってしまったような感覚に襲われる。空間の全てをデザインした、まさにバロック芸術の宝石箱。

 

ローマへ行く前に読みましょう。断然印象的に街が見えてくるはず。

 

 

ローマの街自体がベルニーニの巨大な記念碑なのだから。

 

 
西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ