天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【旅】2019年ロンバルディーアの旅


ロンバルディーア、特にミラノには知人が沢山いる。

知り合って長い芸術家のジョヴァンニ(自分の過去は日本だったと信じて疑わない画家 http://www.giovannizoda.com/ 彼の作品が沢山載ってるから、興味がある人は是非みて)、東京で案内したミカエラと家族や友人他。みんな働いている上、私の旅ががっちり計画されていて、なかなか会えない。今回もミカエラはずっと前から大パーティを計画してくれてたのに、仕事でイタリアにいないことが判明しちゃった。

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Giovanni Zoda

で、19日はフランチェスコの御宅でご馳走になることになりました。ミラノのRho周辺です。駅はDe Angeli(天使)だったりBuonarroti(ミケランジェロの苗字)だったりとほんとイタリアだ!私の住所、味もそっけもない、無味乾燥な新町とは大違い。とは言ってもRho(ロー)はいわゆる観光のイタリアとは全く違った場所で、国際的な展示会場など備えた近代都市。

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Rho

アレルギーやどんなビール、白、赤、ピンク・・がいいかとか細かく聞いてきたので、参加者は私に伝えてください。

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イタリア産ビール

イタリアのビールは、私の留学時代には飲めたものではなかったけど、今ではずっと美味しくなって種類も沢山あります。初期には日本のビールが一杯あったけど、今はどのくらい売れてるんだろうか?日本にはおじさんの絵で有名なモレッティがよく入ってる。

 

とにかく先発組の最終日、楽しそうでしょ?期待してね🍝

 

海外ドラマ好き、と言ったって欧米だけど

ドラマも好みが分かれるけど、私はほとんど欧米系海外ドラマ専門。

疲れた時の気晴らしなんだけど、それでもただ見るのには罪悪感がどこかあって、英語やラテン系の言語だと勉強になるという理由ができる。正直言って北欧物とか全く何言ってんだかわかんないんだけど、たま〜に「おーこれは〜〜と同じだ」とか思ったりする。あとは音楽的な理解には繋がる。

 

印象的だったのは「Bohemian Rhapsody」でいきなり有名になったけど、ラミ・マレック主演の「ミスター・ロボット」。

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ミスター・ロボット

かなり行けてた。革新的な部分が色々とあって、話の展開も期待させるものだったけど、社会批判精神と最新技術への関心などが面白かったし、特に主演のラミ(レミ?)の演技がカッコよかった。

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ユートピア

最新技術と科学に社会批判精神プラス芸術表現が揃ってるのが私の趣味で、そう言う点ではイギリスの「ユートピア」はめっちゃ面白かった。二つとも近未来小説風で、ミスター・ロボットはITと情報操作が焦点だし、ユートピアは人口問題がテーマ。直接的には無関係だけど、イギリスのユートピアはかのトマス・モアの作品を思い出さずにはをれない。有名なウルトラ個性派俳優(真っ黄色のスーツにリーゼントヘア)も出てたけど、無名の主人公らの静かな熱演が光ったし、画面や音楽がポップで、話の過激さや残酷さとの対比が印象的だった。

 

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ポーズ

今一番新シーズンを日本で放映してくれるのを待ってるのが「ポーズ」。これは近未来ものじゃなくて1980年台のゲイカルチャーが舞台。様々なマイノリティー問題、特に性的マイノリティーにテーマを絞ってる。とにかく衣装が凄い。見ないとキワドイゲテモノみたいに思う人もいると思うけど、様々な理由で社会的弱者として生きる人たちの内容は凄くまともで、むしろ健全とさえ言える。家もない程貧しいのに、ピッカピカ、キッラキラの衣装に命をかけてる価値観など、想像もつかない。お願い、早くシーズン2放送してください!

 

 

 

【旅】2019年ロンバルディーアの旅

やっと放送大学の面接授業(スクーリング)と首都大の新講座というウルトラ忙しい時期が過ぎたので、旅の計画詳細をまた書き始めます。

 

ロンバルディーアの旅では毎年一緒に旅してくれてた仲間が急に行けなくなったんだけど、交代要員がすぐ見つかりホッと一息。Mさんには本当に残念。飛行機代もパーになっちゃってすごく可哀想。日本の働き方にいつも疑問を持っている私(彼女は仕事の都合で行けなくなった)。一つ返事で参加してくれることになったTさんに感謝します。

まず宿泊場所だけ再確認。

 

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colazione

9月10日(火)Milano 到着。空港からMonzaへ。

11(水)Paviaへ2泊

13(金)Piacenzaへ2泊

15(日)Bobbio 泊

16(月)Vigevanoへ2泊

18(水)Milanoへ2泊

20日に三人が帰国し、入れ替わりで後発のグループが到着。

 

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Domus San Martino

ここで以前紹介したピアチェンツァの宿が変更になりました。ずっとグレードアップできました。よかった〜。本当は歴史中央地区のど真ん中へ泊まりたかったんだけど、どうしてもシングルベッドばかり揃えるのが叶わなくて、駅近の経済的な宿を一応取っておきました。今回の旅の中で一番イマイチな感じの宿だったんだけど、中央のずっと評判の良い、綺麗なとこに変更できた。ネットでの連絡もチャットみたいに速攻でできたし決定!

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Piacenza

ピアチェンツァは中世一色って言えるような中央の市庁舎広場を中心に、好みの聖堂が目白押しの場所だから、やっぱり街のど真ん中へ泊まって、歩き回りたかった。楽しみにしてーっ💒

 

国立でイタリア料理と文化交流パーティ

昨日、国立市トスカーナ州ルッカ市と姉妹都市提携する(書面作業など残ってるみたい)ためのイベントがありました。名前は堅く「第8回ルッカを知る研究会」です。私も過去に二回お話しさせていただきました。今回は初めてルッカ人料理のマエストロを招いてのイベントでした。

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ルッカを知る研究会

最初に講演会があったのですが正直言ってこれは仕切り方がダメでした。市の人もっと頑張りましょう。みんな一生懸命なのは知っていますが、意見を交わさない日本人の悪い点が出て、マエストロにお任せの2時間はキツかった。スローフードのあり方についての話を、質疑応答を入れて1時間で切り上げるべきでした。彼の主張は「とにかく地産地消」「季節物に拘る」「大量生産でなく小規模経営で質を高める」特にgiusto(正義)という言葉を使われたのが印象的です。ブラック企業とは反対に、労働者に正当に支払い搾取しないというフェア・トレードの考え、社会的教養の底上げ、など共感できるものでした。

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前菜色々の一部

6時半からはリストランテ文流での立食パーティ。これは大成功でした。有名店でも、たいして美味しくないことはよくありますが、完全に美味しかった!私の知り合いは大勢いたのですが全員感動してくれました。マリネが人気でしたが、私はズッキーニや珍しい豪華なラザーニェが特によかった。

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メニュー

でも良かったのは味だけではなく、雰囲気、日本では稀な立食パーティーの成功にあります。私が、初めてイタリアへ行った時に最も感動したのは、年齢や職種などを無関係に人々が友人関係を結んでいる点です。おじいさんと子供が親戚でもないのに友達のように話していたり、友達のお母さんと一緒に出かけたりと、東京郊外の住宅地で暮らす私には、全く未知の人間関係でした。イタリアでは街にもよりますが、基本的に非常に気軽に見知らぬ人と話します。バスを待っている時、長距離列車の中、お店やレストラン、道でも・・。これは言葉も関係ありますが、やはり社会全体の価値観の問題でしょう。日本とは正反対に、心が開かれています。大阪の人は反対するかもしれません。流石、日本のイタリアを自負する人々(大阪)で、彼らは東京人よりずっと気軽に会話します。が、大いに違うのは、イタリア人と違って社会性のある内容は話さない。

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リストランテ文流 国立

決まった人とだけ固まっているのはパーティでは最悪の態度。様々な人と交流することで世界が広がり知識も深まる。国立文流は、立地もヨーロッパの中庭形式みたいで、木も生えて、雰囲気最高です。日本にイタリアを紹介した大御所の西村先生はじめ、気さくな国立市長や、明るいマエストロ、ジャンルーカさんを中心に大勢のイタリア(特にトスカーナ)好きが楽しんだ夕べでした。

 

【サイト】読書メーター

https://bookmeter.com

私は上記サイトを利用しています。

 

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読書メーター

本をよく読む人や買う人は管理が必要になってきます。カテゴリー分けや、以前読んだ本の内容の詳細を思い出したい時には大変役立ちます。始まった当初より、かなり使いやすくなったし、勉強する人には有効だと思うのでぜひ使ってみてください。

 

私の頁の一部を貼り付けました。ネットは常にそうだけど、他の人を意識して書く人と、それほど意識せずに自分の記憶のために書く人といて、私の場合、この読書メーターには自分の読後感を記すのを1番に考えています。

 

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本棚

「歴史」「思想」「美術」「小説」など、自分でカテゴリー分けできる本棚はお気に入りです。そのほかには「読んだ本」「読んでる本」「読みたい本」などに気になる本を登録しておいて、時間ができたときに読めるのも利点です。「積読本」ってのがいまいち上手く使えてないけど。

 

最近は私のお願いが通ったのか、外国語文献も調べられるようになりました。アマゾンと提携してるみたい。みんな、本を読もう!

 

 

【イタリア語】イタリアらしい面白さでどんどん読める

イタリア語を教えさせていただき、優に百人以上の人と接して来ました。特に初期の頃は色々と迷惑をかけました。自分の実力もそうですが、事務的な問題などでご迷惑をかけてしまいました。そういった方々も含めた全ての人のお陰で続けて来られました。感謝します💞基本は個人教授なので、つくづく勉強法も人それぞれだと思うのですが、本気でできるようになろうと思えば多読が必須です。なので読本の紹介です。

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有名作家書シリーズ

Easy Readers は世界のイタリア語書店用に作られました。イタリアの実力派作家の作品ばかりを要約した内容で、600〜2500単語で4段階にレベル分けされています。私は英語勉強の時にこういった実力別読本を読むのが非常に効果的だと感じました。ただ、単語数は限られるし確かに、文章もそれほど長くないのですが、文法的に、特に描かれる内容が高度なので決して初心者向きではありません。写真はダーチャ・マライーニですが、ボッカッチョ(デカメロンから)、ダリオ・フォー(ノーベル賞受賞者で大人気の現代作家)、ギンズブルグ、カルヴィーノ、コッローディ(ピノキオ)、シローネ、S.タマーロ、ブッツァーティ、カミレッリ(日本ではシチリアの人情刑事モンタルバーノとして知られる、ヨーロッパで大人気の本格刑事ドラマ)、モラヴィアなど

 

これとは別に古典文学のダイジェスト版も他のシリーズが幾つかあります。

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とにかくデザインがかっこいい

この本はあまりにデザインがかっこいいので思わず買ってしまったもので、装丁といいイラストといい、一般の教科書からは想像もできない目に楽しい本です。SFという内容も珍しく、最後に明かされる実はフィレンツェの街だと、分かる人にしか分からない書き方(欧米にはよくあるほのめかし表現)も日本的ではなく中級者向け。

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キリスト教を知りながらイタリア語勉強

私は語学好きではありません。細かい規則や、特殊な決まり文句を覚えることに楽しみを見出せません。正直いってしまえば、内容が知りたいので仕方なくイタリア語も勉強したのです。イタリア、美術、歴史、思想などによっぽど興味があるのです。時々生徒さんに英語の得意な人がいます。駐在や留学の経験者です。強く印象に残っているのは、トイフルなど有名検定試験のほとんどを満点という語学愛が極まった銀行員のこと。彼はこう言いました。海外にはパーティなどが多く、言葉に問題はないのに全く会話ができない。話していることの内容について行けず、答えることも興味を持ってもらえそうなことも話せない。駐在経験者の多くが似た経験をしています。欧米の管理職以上の人は、知識階級出身者が多く、音楽、文学、美術(政治、経済、歴史は当然)に関する基本知識が身についています。欧米の階層社会を認めるわけでは決してありませんが、現実は認識するべきです。そのためにも西洋文化の基礎知識がつく読本がお勧めです。このキリスト教書店で売っている「イエスの偉大なお友だち」シリーズは、イタリアの幼稚園児向け絵本だと思うのですが、日本人学習者には十分難しい内容です。たった1.9ユーロですからイタリアへ行く度に買って、生徒さんと読んでいます。

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文字しかないけど一番面白い

これは私が一番好きなシリーズで、表紙以外文字だけという、一般的には全く人気の出なさそうなものですが、内容は独創的で実に面白く、ウィットと皮肉、社会批判精神と言葉への愛に満ちたものです。フィレンツェの出版社にはなかなか良い内容のものがあり、流石です。これは上で紹介したものに比較し、頑張って勉強してきた人には十分読める程度ですからぜひ挑戦してほしいです。ペルージャのマンモーネ(マザコン)の話から読んだらどうでしょう。Claudio Manellaで検索すれば見つかると思います。

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入門者にお勧め

最後にこれが圧倒的にお勧めのシリーズです。Alma Edizioni の Italiano Facile シリーズは絶対簡単です。五百単語でほぼ直接法現在しかないレベルから2500単語(会話に必要な最低単語数)で一応全ての文法が出揃う5段階。日本のアマゾンでも少しはヒットします。旅行前の会話を望む人以外、私の全ての生徒さんはこのシリーズを読んでいます。

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イタリア語購読本色々

まだまだ一杯ありますし簡単には入手できないと思いますが、洋書店、海外のアマゾンなどを使ったり、イタリア語関連施設などを当たってみてください。紹介した本以外にもたくさんあるので、何年も勉強してるのにできるようにならないという人は、兎に角単語が足りない、基本文法が身についていないのが最大の要因だから、本を読むこと。近道は無いので根性決めましょう!

 

上野には国立国会図書館国際子ども図書館があり、そこも大変使えます。

https://www.kodomo.go.jp/

 

 

日傘作ちゃった:ストレス解消法

このところいつもの首都大OUやカルチャーセンターに加え放送大学の面接授業(スクーリングで集中講座)が詰まってて、仕事ストレス(マック=ファーストフードでなくコンピューターね。で資料作りが膨大で、肩、首、目が死にそう。)だったところ、駅ビルに手芸屋さんが入ってて日傘キットを売ってるのを目撃🤗

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ミケランジェロと日傘

気晴らしに作ってみたくなった。お絵描きを始め子供の頃から、何でも作るのが好きだったから美大時代は作りまくったんだけど、働くようになって時間が無くなって、最近は腱鞘炎で手術したりして、もう創作活動はできないかと思ったりもした。手の腱鞘炎は術後あっという間に良くなって、もともと極弱の握力はさらに弱くなったけどホント久しぶりに挑戦したら、1日で完成!

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作ってみた

日傘キットは2〜4千円位で何種類かあった。買った方が安いものもあるし、軽くて便利なものもあるけど、デザインに拘る人には既製品は楽しくない。生地を自由にできるから世界で一つの傘が作れるし、何と言っても個性が出せる。最初はアフリカの迫力生地にしようと思ったけど、生地ストックをひっくり返したら美大時代に買ったリヴァティプリントが出てきた。レトロな柄がお気に入りでブラウスとスカートを作ったんだけど意外に洗濯に弱いのが判明し、使わなかったのをアイロンかけまくりで再生!綿ローンのとても軽い生地って事もアフリカに勝った大きな理由。

なので手芸店の会員価格と古布で総額二千円でできた。自画自賛ですが、何倍も高く見えると思うな💖

 

簡単にできるからお勧め!

【映画】レジェンダリー(日本における言語と文化の問題)

邦題:レジェンダリー

原題:Pilgrimage

製作:2017年 アイルランド

 

例によって今頃って感じですが、書くまでに時間を要するときと、すぐ書ける時がある。旅もそうだけど、リアルタイムの印象、直後の印象、時間を経ての印象には明らかに違いがあり、ある意味でそれぞれに意味があると思っています。

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日本語付き

常に書いていますが、まずこのポスター、日本の文化程度を表すような紹介の仕方が最悪です。というか日本で解説文を書いたりしている人自体が、どこまで分かっているか疑問な場合が多いから仕方ないのかもしれないけれど、私は仕方ないで終わらせたく無い人なので。「スパイダーマン」と「ホームカミング」どちらも子供向けの映画です。私もバットマンが好きだったから「ゴッサム」観てたけど、社会派や芸術的な地味な映画も観るし、というか大人になってからは断然そういうものを見ている。個人の自由だろというかもしれない。勿論他人に押し付ける権利など無いのは当たり前ですが、いつまでも子供の頃の思い出や、単純な内容のものばかり追っていては成長でき無いし、それどころか脳も肉体同様衰えるから、どんどんバカになる。人間たる所以は、文化的な生き物であるということです。感情や欲望の赴くまま生きていたら動物と大差ない。

 

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海外版ポスターの一つ

この映画は日本ではファミリー向け映画の俳優(トム・ホランド)が出演する剣闘もの(ソードアクション)として紹介されましたが、アクションものを求めて映画館へ行った人は裏切られた気になると思う。主演のトム・ホランドは全く戦わないし・・。確かに西洋版のポスターでも戦いのイメージですが主題はキリスト教であり、それが画像のど真ん中の十字架に端的に表されています。

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ベルギーのポスター

この映画はアイルランドを中心に様々な国の協力でできていますが、主要国ベルギー版ポスターが全く違うのを見てください。日本だったらお客来ないだろうねーって感じですが、ベルギーのセンスの良さを痛感します。流石西欧北方で一番最初にルネサンス文化が花開いた国です。この繊細さは日本のポスターの対極にあるでしょう。

 

また題名問題を話しますが、本来の題名は「巡礼行」という意味で、アイルランドの僻地から教皇のいるローマへ聖遺物を運ぶというもの。映画や小説など物語の最初の場面は最後の場面に劣らず重要です。そのファーストシーンは、キリストの弟子マティアが石打ちの刑で殉教する場面です。

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石打ちの石の聖遺物

この聖遺物を巡って、三つ巴ならぬ其々の思惑が絡み、死者が続出する。死を感じ急に信心深くなった長老、権力と金目当ての残虐な兵士、信仰心と迷信が染み込んだ修道士たち、教皇のためならなんでもする狂信的なシトー会士。僻地の修道士に育てられた若い主人公が生き残るのは、唯一彼が何物にも囚われていなかったから。お金、権力、狂信、迷信などに。第二の主人公である元十字軍兵士の助修士(めっちゃ強い!一人で格闘)は暴力が必要悪かどうかという問題を表象してる。

 

この映画は、本当に日本人向けでないこと甚だしく、これを配給した人に感謝します。

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ブレンダンとケルズの秘密


アイルランド・アニメの「ブレンダンとケルズの秘密」は欧米では様々な賞を受賞した映画で、アニメを滅多に見ない私も大好きな映画です。歴史背景、アイルランド伝説、アイルランド特有のケルト文化をしっかり考証した上で素晴らしい映像に仕上げたものですが、日本では「わかんない者のことは無視かよ」みたいな書き込みがされました。これこそ日本の問題だとその時感じました。営業では5歳児にわかるように話せというそうだし、ニュースもばかばかしいほど内容が無い。一億総白痴化とは1950年代に流行語となった言葉ですが、70年後の今それが完結しようとしている恐るべき事態。文化も年齢も社会背景も異なる誰でもが分かるものしか作ってはならないのか?分からないことこそ、未来なのだと考えるべきだ。分からないことをわかろうと努めることが知識になり、世界観が広がり、ひいては社会平和への最大の源となる。

 

「巡礼行」の監督は名をブレンダンといい、アイルランド人でしかない名前で、そういう意味ではアイルランドのルーツを表現した映画と見ることもできる。しかし英語、アイルランド語、フランス語、ラテン語が飛び交う中世西欧という世界を感じることもできます。翻訳は常に問題ですが、様々な言葉の違いを字幕では感じられない上、日本にもともと馴染みのないことだらけの内容を翻訳するのは極めて困難で、言葉の点でもこの映画はハードルが高かったと思います。

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白い聖衣がシトー会士

個人的には多少中途半端な印象を持ちました。もっと本格的に描きたいことに絞ればよかったのに、客受けを考えて戦闘場面が多過ぎた。暴力と死と信仰の関係を描きたいのだとは思うけれど・・。も一つ、俳優では他の人より有名では無いシトー会士を演じたヴェベールが迫真の演技だった。結局英語圏の人じゃ無いと中々有名になれない。有名かどうかが行き過ぎて価値を決める現在の問題でもあるね。

 

イタリアの街に関する資料と旅

このさっぱり美しくない棚は、イタリアの街に関する資料専用。イタリアには20州あるので20のファイルラックには州の名前が書いてあります。以前は北から並べていたのですが重量という現実的な問題で、今では資料が少ない州が上、トスカーナのように特別多い州は特別枠になっています。カラーブリアには時間をかけられていないのですが、イタリア全州を旅して回ったので一応全ての州と州都、重要な街の資料があります。

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イタリアの街に関する資料の棚

以前に比較し、インターネットの普及で紙の資料は格段に減りました。私もネットを使いまくるのですが、紙の方が便利なことも多々あります。典型的なのは地図です。近くに来て探すなら絶対ネットですが、大きな範囲で調べたい時、全体像を把握したい時には圧倒的に紙の地図が役立ちます。

 

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mappa di Lucca

地図も街によってデザインが全然違って、見やすいものからさっぱり分からないもの、センスの良いものがあるかと思えば、ローマやヴェネツィアのようにくれない所もあります。因みにシチーリアのタオルミーナは要らないっていうのにガンガンくれる所で、ルッカのはデザインが色々あって可愛いのが印象的です。

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州のガイド地区別

フリウーリ・ヴェネツィア・ジュリア州は観光局がとても整備されていて、デザインも揃えて地図も見やすく、ガイドブックにもなり、その上無料のツアーチケットにもなっていたりして非常に役立ちました。みんなを連れて行きたいです。

 

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モリーゼ州

イタリア20州中最大の秘境モリーゼでは、観光局が古い地図を配ったりしてる反面、お金のかかる印刷物は極力やめてネット対応しているところが面白かった。

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トレンティーノ・アルト・アディジェ州

地図の他に絶対もらうのが、博物館やお城などのパンフレットです。特に写真が撮れないような場合重要な資料となります。写真に関しては、撮影許可が取れる所もありますが、そういう事務所さえないような場所もあるし、旅へ行ったらぜひもらいましょう。思い出にもなるよ。旅先での写真については、撮りたくなるのは分かるけど、帰ってから見ない人も少なくないし、なんのために撮っているのか理解不能な場合が多々あります。写真整理もしない人は、撮影するよりじっくり肉眼で観る方に時間を使った方が絶対良いので、やはり読めなくてもパンフは取ってくるのが基本です。勿論、興味のない人もいるかと思うけど、そういう人は私のサイトを読んだりしないと思うので、芸術文化に興味のある人にはお勧めです。

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建築に特化したパンフレット

無料とは思えないような、専門的で小型の本のようなパンフもあります。上はヴィチェンツァのお屋敷とルッカアール・ヌーヴォー建築についてのパンフ。ヴィチェンツァは建築の神様パッラーディオの街なので、後期ルネサンスから新古典主義へつながるパッラーディオ様式の館がたくさんあり、建築を目指す人や好きな人には特別な場所となっています。紹介されている館は、訪問不可や映画の舞台となったものも多く、全て写真付きで見やすくできています。さらに専門的なのはルッカアール・ヌーヴォー建築についての本です。私は幾度もルッカへ行っています。中世ロマネスクの街というのが圧倒的な印象なので、見過ごされがちですが、城壁の上から非常に魅力的な表紙にあるアール・ヌーヴォー(イタリアではリヴァティという)建築があり、最初から気になっていましたが、一般のガイドやツアーなどでは全く触れません。この無料の分厚い資料で初めて、色々と知ることができました。

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タオルミーナでもらったガイドブック

イタリアは昔から観光大国なので、イタリア語の他に様々な言語が用意されています。日本語版がある所はよほどの観光地だけどね。時には不思議な日本語訳があったりもします。これはタオルミーナの観光案内所でもらいました。238頁、全頁カラー写真付きのずっしりした本です。タダというのが嘘のようです。明らかな翻訳物で、おかしな日本語ですが内容はしっかりしています。日本で一般的な、お土産や食べ物屋中心の、博物館や記念建造物は一言で済ますガイドとは正反対の実に正確な内容です。買ったら何千円もしそうなものですが、一冊なぜか観光案内所に残っていたらしく、日本人だと分かると進呈されました。日本人は観光案内所へ行かない人が一般的ですが、絶対行った方がお得です。こんな良いものがもらえるし、日本のガイドブックには書いていない、様々なイベントや情報が満載です。気が向くと食事に誘われたりして、人気のレストランへ連れて行ってもらえたりもします😁

 

【本】西洋文化基礎知識:キリスト教

私の本棚のこの辺りにはキリスト教関連のものが並んでいます。入門書のようなものもあれば、本格的なものなど色々です。私はずっと美術史とイタリア史を軸に西洋文化関係の講義をしています。常に結構な数の生徒さん達がいて、大変幸福です。

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cristianesimo

来月も放送大学で「西洋美術の基礎知識」を受け持ちますが、定員満員の80人に試験をしなくてはならず大変頭を痛めています。なぜなら放送大学の受講者達は、首都大オープンユニヴァーシティと違い、普段全く勉強していない人から、それなりに知識のある人まで極めて差が大きく、とてもやりにくいのです。

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キリスト教の基盤を知るために、ユダヤ教を知る

私は西洋美術関係しかやりませんが、言語にしろ、文学にしろ、歴史にしろ、芸術だろうとあらゆる場面で、ヨーロッパ文化にはキリスト教が深く関わっています。例え現在、真剣に信仰している人の数は多くはないとはいえ、自然に身についた習慣や、言葉自体にキリスト教から生まれたものが多数あります。日本人がヨーロッパへ観光に行った時にもっとも感動するのは、キリスト教の遺産ではないでしょうか。

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夜の帳に浮かび上がるルッカの大天使ミカエル聖堂は古代ローマのフォーロにある

旅で感動してもっと知っていれば良かったと思い、受講してくださる方は少なくありませんし、展覧会などの作品解説にも非常に興味を持ってくれるのに、聖書は読まない。全て読めとは言いませんが、新約聖書の「福音書」の一つとか、旧約聖書の冒頭にある「創世記」とかくらい読めるはずです。非常に短いですから。聖書こそ源です。

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説明図も沢山あるイタリア語版

本棚二段目の「主の祈り」が置いてある辺りは全て聖書です。他にも持っています。イタリア語、英語、日本語も新共同訳や独自に翻訳されたものなど、一口に聖書といっても実はたくさんあるのです。特に中世を勉強するならば、現在の聖書には含まれていない文書も重要です。そういったものは一般向けではありませんから、まず現在の一般的な聖書を手にしてほしいと思います。

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私が初めて手にした父の聖書。翻訳が違う。

写真下段にある緑色の「キリストの光を」のような本はサレジオ会の神父様の著書で、いわゆる教会へ聖書勉強に行くと使われるような類です。入門者向けに書かれていて、あまりに優しいというか、正直にいうと私には大変読み辛い場合が多いのですが、宗教、信仰とは何かを考えさせられるし、こういう説明をするのだということが分かります。例えば上段右の平凡社ライブラリーはよく使うシリーズで、本格的な内容の本が多い有難いシリーズです。中でも上智大学のリーゼンフーバー神父の著書は極めて専門的な内容でいつもお世話になっていますが、神父様のキリスト教講座に出席すると、そこではまるで別人で、幼稚園児に教えるようなやり方と内容でショックを受けました。何十人も集まった人々は、研究したいわけではもちろんないし、信仰を求めているのかもしれませんがついて行けない自分がいます。私の信仰心は欠陥だらけですが、ただ、イタリアの神父様の講義はずっと面白かったのでなぜだろうと思います。相手が日本人だと、つまらなくなってしまうのでしょうか?真面目な日本人は冗談やダブルミーニングが伝わらないので難しい、と先日もルッカの客人たちが言っていました。

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Piacenzaの驚愕のマニエリスムバロック聖堂

文字の表面を読むのではなく、奥底を読むのです。

 

 

トスカーナのルッカ市と我が街国立市が友好都市になった

ルッカ市と国立市の友好都市関係が決定して、昨日調印式が行われました。ルッカの素晴らしい市庁舎と違い、国立市の極質素な市庁舎で、市長と関係者、記者の立会いの下。私が通訳するはずだったんだけど、昨日は首都大学東京OUの授業(宗教改革期のイタリア史を美術とともに紹介する授業です。熱心な受講者に囲まれて幸せです。)があったので、チェッリーニ・イタリア語学校のフランチェスコさんが代わってくださいました。ご苦労様です。

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Palazzo Pfanner

私は最後の部分に立ち会って国立市の人々と別れた後、ルッカから来た4人と会津に住んでるイタリア人のイベント・プロデューサーと夕飯をご一緒しました。市長以外のルッカの3人は驚くべき寿司好きで、毎晩すしざんまいに行きたがります。みんな傘を持ってないくせに、駅から濡れながらわざわざ渋谷のすしざんまいへ行きました。本格的な寿司屋は金額が張るけれど、もっと美味しい寿司屋はあると思うし、市長がかわいそうで違うところへ行きたかったのですが・・・。

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San Frediano

様々な話をしましたが最も印象に残ったのは、市長の教養の高さです。ハイヤーの中で質問をしました。事前に調べることなく、次々に的確に詳細な年代や名前を出し、原因や理由を明快に語りながら説明するタンベッリーニ市長の頭の良さ、知識の豊富さ、正当な思想(歪んだ右翼でなく)に感銘を受けました。

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Da Battistero

彼は紀元前から中世、ルネサンス、近代もちろん現在の、ルッカとイタリア全体に関して、歴史、芸術(美術と音楽)、哲学と宗教、現代の状況などあらゆる時代と内容の質問に、実に具体的な年代と、皇帝、教皇、有力家系の名を次々に出して答えて下さいました。こんなに短い時間に知的で有意義な時間を過ごしたのは久しぶりでした。日本では恩師故藤沢道郎先生以来です。

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Matteo Civitali ,Volto Santo ecc.

有難いことに大変気に入っていただけたので、ルッカでは市長自ら私と生徒をサポートしてくださるそうです。9月の旅が本当に楽しみです。一緒に行く人、期待してね💖

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Francesco Burlamacchi

写真は全てルッカのものです。現地では私が解説しますが、市長と大聖堂の人々の説明も大変楽しみです。

 

【本】読書遍歴とアントニオ・タブッキ

 

タブッキの「黒い天使」は1991年に書かれ、7年後に翻訳が出た。直ぐに図書館で読んだ本を、後に買って今日再読。

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L'angelo nero

イタリア留学をして以来ほとんど小説を読む機会が無くなった。子供の頃から本が大好きで、中学時代は毎日のように図書館に通い、大学時代もバンド活動の合間を縫って幻想小説や社会派SFを読み耽っていたのに。小説が読めないことは寂しかったが、世界史や美術史、美学、哲学、中世史、神学などの本を読み始めるととても時間が足りなかった。研究者の端くれとしてルッカトスカーナの街)や巡礼など、より専門的な内容になるともう日本語では資料が無くイタリア語で読むしか無いのだが、スピードは落ちる。だから滅多に小説に割ける時間は無い。そんな中で、長年親しんだずっしりした家具のような本棚を解体し、随分と本を処分して、一つのパイプラックを二つに改造してなんとか並べ終えた。忘れていた本や、再読したい本が目につきどうしても堪え切れずに、授業の資料作りをせず半日かけてタブッキを読んでしまった。

 

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A.T.

アントニオ・タブッキウンベルト・エーコモラヴィア、ギンズブルグ、ダリヲ・フォー、デ・クレシエンツォなど現代イタリアを代表する作家の一人だが、私が一番好きなのはイタロ・カルヴィーノとタブッキだ。イタリアにはダンテ以後、現在も読み継がれる偉大な作家が何人もいるし、特にファシズム時代、レジスタンスに関わった作家たちの迫真に迫った、恐ろしい作品は皆胸に迫るものがある。ダーチャ・マライーニ、ナタリア・ギンズブルグ始め女流作家も本格的で力強い。南米の作家にも共通する、あまりにリアルでおどろおどろしい真実を描き出す表現力は、社会や歴史、人間についての深い探求から来るもので、多くの作家に共通して感じられる。

 

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A.T.

でも私が好きなのは、生の姿を描き出す力を持っていながら、非現実的で突飛な設定や、独創的な文章の構成、そして何よりも文化的教養の深さ、芸術に対する愛だ。特にタブッキは詩のような、というより絵画的な文章が印象に残り、訳ではなく原文で読みたいという欲求を強く与えるので「ベアト・アンジェリコの翼あるもの」はイタリアで買い直した。

 

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Beato Angelico da A.T.

タブッキは様々なところで教えた大学教授でもあった。作家と呼ばれるより教授が仕事であったと考えていたようで、それは彼の作品に現れていると思う。仕事ではないからこそ、彼の作品には妥協なく、思うように創作活動ができたのではないか。文学が芸術の一つだと痛感する。

 

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表紙もいつも素敵

日本語訳も結構出ているので、一人でも多くの人に読んでほしい。西洋文化の知識が深ければ深いほど、ますます感動は大きくなるけれど、知らなくても新たな発見があるはず。

 

【本】イタリア語学習者へ:文法書

家具のような本棚を叩き壊し、パイプ本棚キット一組から二つ本棚を作り、やっと一応整理したので、本の紹介を始めます。

 

私は中世西洋美術の研究者でオープン大学では「西洋美術史」と「イタリア史」の講座を持っています。内容も当然それに関する本になるでしょう。それにしても本を整理するのにだいぶ処分したんだけど、日本では洋書は全く売れないところが多くて、ブックオフなんか驚愕の一冊5円。新品同様の英語読本だったのに。お金にならないのはわかってるけど、沢山あったからほんと誰かにもらって欲しかった。

 

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Todi, Umbria

本気で勉強するなら「辞書」と「文法書」は絶対必要。逆に言えば、いい加減になんとなくちょこっと会話したいなら必要無いよ。

 

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イタリア語文法書

英語に関しては圧倒的に解説書も多いし、なかなか良い本もあるけれどイタリア語はあまり選択肢がない。本気で勉強する人向けには坂本鉄男著「現代イタリア語文法」が古典的必読書。古典的っていうのは、まさに日本語自体も古典的で本を読み慣れていない人には日本語も難しいかも知れないけれど、日本語の勉強にもなるよ。イタリア語文法全てが真面目に解説してある。隣の「イタリア文解読法」は要らないけれど、私は語学オタクですって人にはお勧めの本。例文が多い。

 

もっと最近の新しい本も色々出てるけど、これぞって一冊は見つけていません。この二冊は相当硬い本なので、ちょっと勉強するにはイタリア語検定のための「突破」ものが出ているから、これで文法は一応勉強できる。過去問は文法解説がほとんど無いので、突破ね、間違えないように気をつけて。

 

一番左に見えるアントニオ・マイッツァ著「イタリア語、初歩の初歩」は気軽に始めるグループ授業用に用意しました。これ一冊でサブタイトルの「聴ける、読める、書ける、話せる」わけはなく、一人で勉強するにはお勧めできないけれど、誰かに教えてもらえるなら使える本です。薄くて安い。真面目な語学文法書では無いので、読み書き、フレーズや単語に慣れるのを目標にするには悪く無い内容です。ちょこっとイタリアの習慣などに関する説明もある。こういう本にはほとんどCDが添付されているので、とにかく聞きましょう。と言っても、ただ聞き流してるんじゃできるようにはならない。聞いて、自分で必ず発音しよう。

 

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Duomo, Milano

なんでもそうだけど、目標を決めて最初の一ヶ月は毎日勉強して頑張る事。最初は何もかも新しく、どんどんできるようになるから面白いので、初期に一気に進もう。それが語学勉強のコツのひとつ。

 

そうそう辞書は小学館の中辞典しかない。電子辞書に入ってるのが小学館か確認してね。ちなみに私のはカシオじゃなくセイコーSIIランダムハウス搭載の英語辞典にイタリア語チップを差して使っています。電子辞書の金額は、搭載されている辞書によって値段が全然違うから自分に合ったものを探してください。ちょっとみたところ中古だと5、6千円から出てるけどSIIのプロ用はその10倍以上します。本が好きな人なら紙の辞書は本当に素晴らしい。時間があれば、関連単語が一気に目に入ってくるなど紙の方が絶対に勉強になるよ。

 

【本】本と国民性。ルッカの場合

ゴールデンウィークいかがお過ごしですか?

私は普通の働き方と違うから、みんなが出かけるときはできるだけ邪魔にならないように過ごします。要するにあんまり出かけないで、時間に余裕のある時にしかなかなかできない事をする。

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1928年の論文

今回は国立市ルッカ市(イタリアはトスカーナ州の超素敵な街)の姉妹都市提携のためにルッカから市長御一行が来国立するのでその準備も兼ねて、溜まってるルッカ関係の資料を読んでる。もちろんイタリア語プラスたまにラテン語ラテン語の読めない私にはこれがキツイんだけど、中世西欧を勉強してれば当たり前に出てくるのでなんとか読み解きながら読んでる。ルッカ関係の本はたくさん持っていて、最近の物は比較的読みやすいんだけど、写真のみたいにかなり古い資料や、地味な論文などはどうしても後回しになってる。古いものはペーパーナイフで上の頁を切り開きながら読んだりする。それだけで映画みたいでかっこ良くない?28年の論文はもちろん活版印刷で、800年から1000年(中世盛期より前)のイタリアにおける宗教生活を扱ったもの。その頃ヨーロッパはまだまだだった時代にルッカはいち早く繁栄の兆しが見えた特別な街なのだ。

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1849年のルッカ

この本はルッカに初めて行った時に買って何度か読み始めたけれど、まだイタリア語力が足りなくて読み切れていなかったので今回やっと完読。ルッカの民衆史がテーマ。1:街の起源からカストルッチョ・カストラカーニ(封建領主の英雄)まで。2:パオロ・グイニージ(街最大のルネサンス貴族)まで。3:司教座聖堂法確立まで。4:共和国の最後まで。5:イタリア建国まで。という構成。基本知識として必読。とにかくルッカでは、日本のダサい本と違って本自体がアーティスティックなものが多い。表紙がぐるっと1849年のルッカを描いた版画で、中にも様々な時代の版画が挿入されている。

 

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小型本

ルッカに特にかっこいい本が多いのは、マリア・パチーニ・ファッツィという出版社があって、そこがセンス抜群なのだ。略してMPFはつい最近歴史中央地区にすごく素敵な書店も出した。

 

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書店

ルッカには大手の有名書店ももちろんあって、そこも素晴らしい内装だったりしてルッカのお洒落度が際立つ。イタリアには地元愛に満ちた人々が沢山いて、郷土史関係の書籍が多い。日本だったら街の図書館の地味〜な一角に揃ってる資料みたいなものが、MPFでは観光客もお土産にできるような可愛くてお洒落で手頃な金額のものから、研究者向けまで色々ある。絵画に覆われたお店では、出版物関連のイベントも行われて映像も交えた知的な空間が創出される。

 

そうそう、郷土愛といえば私も一応地元を愛していて、昨日も一日国立を案内しました。来てくれる人は大抵素敵なところだと言ってくれます。また来てね💖

 

厭世的な私はモテるっ!

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San Gennaro

ナポリ司教座聖堂の写真は子供が写ってたから載せたまで。話とはほぼ無関係です。

 

今日、信号待ちで、近所の保育園の毎日遠足と出くわしました。二歳くらいの子供たちが15,6人保育士さんらと一緒に信号が変わるのを待っています。その中の女の子がじーっと私を見ていたので笑顔を返しました。すると男の子が手を挙げたので手を振り返したら、ニコニコ近づいてきてハイタッチしました。一応私にとってはロータッチでしたが・・。すると彼の後から後から他の子もハイタッチしようと寄ってきましたが、その時に信号が変わったので、可愛いグループは去って行きました。ハイタッチできなかった子たちは名残惜しそうに振り返っていました。

 

私は大変子供にモテます。昔からで不思議ですが、多分私の服装とか、雰囲気が子供に親近感を与えるのだと思います。男の人から、幼稚園の先生ですか?と聞かれたこともあります。全くそういった経験は無いし、今は可愛いと思うけれど若い頃は小さな子供にほとんど関心がなかったにも関わらずです。好感が持てるという意味で言ってくれるのですが、かっこいい研究者を目指していた私には、なんだか残念な気さえしました。

 

初めて友人とイタリアへ旅した時のこと、建造物や街の雰囲気に圧倒されながら街をゆっくり歩いていた時、突然スカートが何かに引っかかったと思ったら、小さな男の子が私のスカートの裾を握っていました!二歳にもなっていないくらい小さくて、お母さんがいないかと周囲を見回しながら男の子の方を向くと「なんて名前?」と聞かれました。その時頭の上から彼のお母さんが「ジュゼッペー!そっち行っちゃダメ!!入りなさいっ」と呼ぶ声がして、私たちは男の子を扉に向かわせ一件落着。友人は「イタリア人恐ろしいねー!あんなに小さいのに(もうナンパか!)」と言ったのを覚えています。それはシチリアシラクーサでした。

 

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子供の作品みたいなイエスの昇天

女の子にもモテます。電車やバスの中で小学生くらいの女の子に話しかけられて鞄の番人をさせられたり、洋服が可愛いと褒められたりします。若い頃は高齢の人にもよく声をかけられました。「まーそれ(服など)どこで買ったの〜?」とか。

 

よくナンパもされました。一度など、交差点で信号待ち中、止まったダンプカーの中から「乗らないか〜?」と言われました。乗る人が居るのか想像もできませんが、丁重にお断りしました。世の中には不思議な事があるものです。

 

道もよく聞かれます。私の前に何人も人が居るのに、それらの人をすっ飛ばして私に聞いてきたり、ローマではよくイタリア語の分からない外国人に質問されます。「あなた英語わかる?」時には食品の内容説明をしたりします。

 

私は子供の頃、自閉症気味でした。一人で居るのが苦になりません。読書やコンピューターや映画を見たり・・。宮沢賢治じゃ無いけれど、世の中の全ての人が幸せでないと、心の底から幸せと感じられないので、ある意味厭世的です。何人もの人と付き合ったけれど、人に合わせるのが苦手なので当然独身ですが、これも子供の頃から考えていた通りで辛くありません。こんな私に子供たちが声をかけてくるのが、本当に不思議ですが、ありがたい事と思って、神に感謝することにしています。

 

西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ