天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【美術館】ブレラ絵画館は西洋美術の最高峰

ブレラ絵画館公式ウェブサイト

https://pinacotecabrera.org/

イタリア語ですが写真も沢山あるのであちこちクリックすれば作品や様子が分かります。

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Bacio

イタリア語ではmuseo(ムゼーオ)とpinacoteca(ピナコテーカ)と大きく分けて美術に関する施設が二つある。ムゼーオはギリシャのムーサ(英語ではミューズ)に由来し、インドヨーロッパ語のあちこちで採用されている言葉だけど、本来は音楽と舞踏、さらには学芸一般の守護女神のことだから、当然美術に限ったことではない。ピナコテーカもギリシャ語由来のピナックスで、こちらは絵や描かれた物を主に指した。ヴァチカンもウフィーツィもムゼーオだから絵画だけでなく彫刻も武具も家具も変なものもあるけど、ブレラは絵画館なので純粋に美術が好きな人が行くべき場所。

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Brera

世界一の西洋美術が何かは明確ではないけれど、間違いなく世界一の絵画館の一つにブレラは入る。イギリスのように他所から集めてきたものではなく、ほぼイタリア国内の作品でできているところが全く違う。しかもあれだけの点数と高い質にも関わらず北イタリア中心。元々イエズス会のもので、17世紀の彼らがどれ程力を持っていたかが知れる。その後マリア・テレジアが購入し、ナポレオンが1809年の彼の誕生日に一般公開しました。

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Mantegna, 1480c

ブレラは大学生だった私の最大の憧れの一つでした。西洋美術史の本にしょっちゅう出て来る有名な作品を沢山所蔵しています。上のマンテーニャの「哀悼」など名高く印象的な作品たち。あまりに巨大で、ミラノの街中に位置するので外観は把握できません。だけど初めてブレラを訪れた私の印象にまず残ったのは、入館する前の記念彫刻でした。それはチェーザレ・ベッカリーアの像。ナポレオンなど世界史のビッグネームが創建したのに、入り口に鎮座するのはベッカリーア。

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Cesare Beccaria

チエーザレ・ベッカリーアはイエズス会で数学と人間科学を学び、1762年にはミラノ国の貨幣の混乱とその治癒策について」をルッカで出版。友人らと雑誌「カフェ」を創刊し、ミラノ大学で法学と経済学を教え始めます。アダム・スミスマルサスなど当時最先端だったイギリス経済学者と通じています。私の父は経済学者だったので、子供の頃から彼の名を知っていました。でもベッカリーアの名を世界に知らしめたのは1764年の「犯罪と刑罰」で、ここで彼は世界で初めて拷問と死刑に反対する論考を展開します。フランス革命に先駆けること25年。封建的刑罰の非人道性を激烈に批判したこの本は、啓蒙君主たちを始め世界を揺るがし近代法制度の精神の礎となるのです。あまりにも具体的で恐ろしい事実が克明に表わされ読むのは辛いが、彼の主張自体は人間精神の高貴と善に溢れたものだ。犯罪の抑止は、拷問と刑罰ではなく教育によってなされるべきだという彼の一貫した姿勢は、現代社会、日本にも最も必要なものに、私には思えます。ちなみに現代イタリア語の基礎を築いたアレッサンドロ・マンゾーニは彼の孫で、代表作「婚約者」はイタリア人なら嫌でも知っている小説。

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Raffaello Sanzio

あー!入館前にすっかり時間を使ってしまいました。ベッカリーアの名を知ってる日本人が全然いないのは心から残念!!とともに絵画館入り口に設置されているのを見て、イタリアの偉大さを痛感しました。で、二週間後、私の旅では木曜の夜にブレラを訪れます。なんと9月の木曜は18時以降たったの2ユーロで入館できる!!!!!今日のレートで243,73円!!!千分の一も所蔵作品が無い日本の美術館の入館料は百倍近い💢
そんなこと言うならイタリアへ住めと言う人がいると思うし、自分もそう考えたことがありました。でも我ながら失敗だったと思うけど、日本に少しでも良くなって欲しいのです。良くするためには改良すべきところを認識する必要があります。

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Francesco Hayez

で、美術館について残念なことですが修復の問題。これは無数に作品を所蔵するイタリアでは当たり前のことで、一年中何かは修復しています。今回も上記のラファエッロの「聖母の結婚」やボッチョーニとともにアイエツの自画像なども観られません。フランチェスコ・アイエツは近世を代表する最後の巨匠と呼びたくなるような画家です。一番最初の「接吻」はあまりにも有名であちこちで商品化されています。「接吻」はその単純化された愛の表現が普遍的なもので人気があるのですが、実は非常に複雑な作品で、歴史的、政治的意味を持っています。いつか授業でも取り上げたいと思います。

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Giorgio Morandi

ブレラにはこういった抽象画もあり、モジリアーニのように日本人にも馴染みの画家の現代の作品もあります。彼はエコール・ド・パリの画家として知られていますがイタリア人です。

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Piero della Francesca

イタリア美術や中世〜ルネサンス美術を勉強している人には、このピエロ・デッラ・フランチェスカの作品が目的かもしれません。個人的には、ピエロは他の作品の方が好きですが。

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Cima da Conegliano

この画家を知ってたら通ですが、作品はしばしば目にするもので、ヴェネツィア派らしい色彩感覚と筆使いで、こういった作品群はブレラの中心をなすものです。私は、頭にナタ(斧、ナイフ)が刺さった殉教者聖ドメニコ主題に取り憑かれて、いっぱい観ていますが、この作品は実にまとまった典型的なものです。

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Pellizza

この作品は美術史に加え、イタリア史を読むと出くわす作品です。1901年に描かれた大画面の作品は、ピエモンテの労働者が、彼らの置かれた悲惨な状況に対し蜂起した史実を描いたもの。画家ジュゼッペ・ペッリッツァはこの運動を見て心を打たれ、画家もまた社会に対して表現すべきと感じたと書いています。労働運動を率いるのは、彼女の夫なのでしょうか、幼子を抱いた女性が心配しているようにも見えますが、彼とは個人的には無関係の彼女も自ら運動に参加しているのかもしれません。この作品の評価は非常に高く、様々な研究もあります。「労働者よ連帯せよ」というメッセージは明確で、世界中の労働運動の象徴となりました。作品としてはディヴィジョニスタとして出発した彼らしく、近くで見ると線点描方のようにぼやけた色の集合で描かれ、顔など全くはっきりしません。離れればそれが返って空間や時間の広がりを感じさせるし、顔が明確でないことがむしろ全ての労働者を象徴しているようにも見えてきます。感動しました。

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Bellini

感動したというか、圧倒されたのはジェンティーレとジョヴァンニのベッリーニ兄弟の作品。フレスコでもないのにこんなに巨大。無意味に巨大な作品の多い昨今と違い意味のある巨大さです。見れば見るほど興味深く、ヴェネツィアでなければ生まれなかった作品です。彼らは一族でヴェネツィア美術の基礎を作りました。

 

とても書ききれないので筆を置きます(この表現、絵を描いていた私としては好きです)が、ティントレットやクリヴェッリなど印象に強く残った作品が目白押しです、カラヴァッジョに着く頃には疲れ切っていました。

 

【西洋美術】ルネサンスの曙;知られざる最高の彫刻家たち

美術が好きだという人、西洋美術、イタリアは特にいいねとか言う人に「どんな作品が好きですか?」と質問して、答えてくれる人はほとんどいない。たまにミケランジェロが好きとか、やっぱりダヴィンチでしょ、とか言う人がいる。

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Matteo Civitali

私はそんなつもりはないのに、人を追い込んでしまう。幼い頃からそうで、母を質問責めにして嫌われた。いつも父に聞けと言うので、母は何も知らないのだと思うようになった。会話を続けるためにも、無知だと思われないためにも何事か答えるのは必要だと思う。別に美術作品なんて、誰のどの作品が好きだって自由で、答えが間違ってるなんてことも無いんだし。バロックとゴシックを取り違えていたり、たまに大間違いなことを言う人はいるけど。

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Jacopo della Quercia

中世から近世への移り変わりの時期、ルネサンスの曙期には素晴らしい芸術家が山ほどいる。中でも彫刻家に傑出した人が多い。にも関わらず一般に知られているのは盛期から後期ルネサンスのレオナルド(ダヴィンチのこと)とミケランジェロ、ラッファエッロさえ知らない人がいる。これはとても残念だ。美術好きな人にぜひ知ってほしい。今回の旅ではトスカーナを訪問するので彼らの作品に多く出会うことができるでしょう。

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Jacopo della Quercia

シエナのヤコポ・デッラ・クエルチャはミケランジェロも研究した当時最大の彫刻家で、夢のようなゴシックの街シエナを作るに大いに貢献し、最も美しいと様々な詩に読まれた墓碑彫刻をルッカに残した。このイラリア・デル・カレットの墓はその美しさのゆえに破壊を逃れた作品で、何世紀も眠り続ける彼女の足元には心配そうな子犬がいて哀れを誘う。

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Agostino di Duccio

フィレンツェ空前絶後のドナテッロを輩出したが、ギベルティ、ブルネッレスキ、ヴェロッキオなどルネサンスを起こした大立者が揃うだけあり、ここで活躍した彫刻家も多い。上のアゴティーノの作品はなんだか現代彫刻のような趣きさえあるが、古代研究を示すフィレンツェルネサンスの一例。

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Mino da Fiesole

この有名なミーノ・ダ・フィエーゾレ作コジモ・デ・メディチの胸像は、いよいよ古代ローマルネサンス。中世には考えられなかったような立体感を持ち、堂々としている。初期ルネサンスがどれだけ勢いのあった時代かが慮られる。

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Desiderio da Settignano

誰よりも繊細で脆い、儚さを表現することができたデジデリオ・ダ・セッティニャーノの作品には、珍しく子供が多い。子供が美術作品として表現されるようになったと言うこと自体、父権的封建的な古代からの脱却を感じさせる。彼が早世したのはつくづく残念だ。

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Antonio Pollaiolo

筋肉と骨格の人体解剖学に高い関心を示したポッライオーロは、格闘する男性の肉体表現で一躍人気を博したが、こんな美しい女性像も作っている。兄弟で活躍した。

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Bernardo Rossellino

美しい女性像は沢山あるが、やはり聖母子にかなうものは無い。大理石の質感を生かした優しくも威厳のある聖母子像があちこちで見られる。

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Matteo Civitali

状態は悪いが、私には大変美しく映る聖母子。もうお分かりの通り私はマッテオ・チヴィターリを愛して止まない。木彫やテラコッタなど、素朴な素材を使った作品が特に素晴らしく、フィレンツェと入れ替わりに栄華を失ってゆくルッカの反映か、より宗教的で精神的な雰囲気を持っている。

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Matteo Civitali

これは私が撮影した数えきれない作品の中で最も気に入っている写真。名刺に使ってる。マリアの優美さもさることながら、生まれたてのイエスがいきなりマリアを拝むその姿が汚れない。釈迦も生まれたてで天を指差し「天上天下唯我独尊」といったと言うから、やはり神に近い人は違うね!

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Luca della Robbia

チヴィターリも一家で活躍したが、一族で長年隆盛を極めたのがデッラ・ロッビア家。焼き物を芸術の域に高めヨーロッパ中へ作品を送った。何人も一流の美術家がいるが、時代とともに雰囲気も変わる。私は初期のシンプルな力強さに満ちた作品が好き。

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Benedetto da Maiano

最後に最もルネサンスらしい、中世の神からこの世の人間への意識の転換、を如実に表すのがベネデット・ダ・マイアーノだ。いつ見てもその迫力に圧倒される。聖人像も素晴らしいが、モデルを写した作品には鬼気迫るものさえある。

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チヴィターリの像

ルッカの街の中心、古代ローマのフォーロにある大天使ミカエル大聖堂を前にしたマッテーオ・チヴィターリの像を後ろから。

 

【西洋美術】モザイクに見る技法と分別、さらには芸術

今は展覧会へ行くと、展示作品の解説欄に「ミクスチャー」とよく書いてあります。要するに今までの定番の技法では説明できない、様々な技法の混合、さらには謎の新しい技法などを指して言います。特にエルンスト以降、油彩、アクリル、版画の様々な技法さらには立体物を貼り付けたりするコラージュまで加わるのが当たり前になります。

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エルンスト

デュビュッフェが、拾ったゴミも芸術になると証明し、精神病患者や子供の絵画などへ興味を持ち、提唱したアール・ブリュット(醜い芸術)運動以降は、益々なんでもありになっていきます。

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デュビュッフェ

ちなみに、私はエルンストもデュビュッフェも大好きです。イタリアでわざわざエルンストの大型本を買ってきたし、デュビュッフェに至っては弟のお土産にポスターを苦労して持ち帰ったほどです。正直いって、二人は大芸術家で、アンリ・ルソー以来の素人画家(ナイーブ・アート)とは比べることはできません。ルソーやナイーブ(素朴派ともいう)の人たちの作品は時に大変感動的でさえありますが、エルンストやデュビュッフェが持っている土台(素描の力、構成力や色彩表現など)となる基礎に欠けていて、私はそういったものを芸術作品と捉えることができないでいます。

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ルイ・ヴィヴァン

素朴派の画家では特にルイ・ヴィヴァンが好きで、真似して作品を描いてみたいと思ったこともあります。しかし素朴派の良さは、技法や内容ではなく、まさに魂そのものが映し出されたような純粋なところなので、真似することは最悪の事態、全く作品を理解していないことになると考え直しました。真似するならやはりデル・サルトやミケランジェロシスレーマティスのような基本ができた大芸術家に決まっています。そこからは誰もが美術を学ぶことができるでしょう。

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デル・サルト

とにかくミクスチャーのような現象は新しいもので、かつては大まかに技法や様式に分別できました。なんでも分別するのがいいとは限らないのはよく分かっています。どうしてもぴったり来ない作品や、無理に分別した感じの物、どこにも属さない新しい分野を作らないとならないように感じる場合が出てしまうからです。しかしそういった問題を意識していれば分別は大変役に立ちます。全ての作品や画家を個別に記憶するのは無理ですが、こういった様式のこんな技法のこういうテーマのいつ頃の作品と言えば、作品を想像できます。


伝統的には、西洋絵画の技法をザクっと言ってしまうと次のようになります。

モザイク、象嵌、フレスコ、テンペラ板絵、油彩(キャンバス)、水彩(紙)です。

浮き彫りや版画が入っていないのは、今は絵画に絞って考えているから。

でこの順番は①歴史が古く②高額③技術の難度が高い④堅牢さ(持続年数)とほぼ一致しているので、モザイクほど珍しくなります。高額なのでもともとどこにでもあるわけではなく権力、経済力と結びついた場所にありますから大画面にもなり、とにかく希少価値が高いのです。新しい技法ほど、経済的で小品になり個人的になるので数はいくらでもあるわけです。

 

とかいうとモザイクは高貴で豪華な代物に思えます。地中海や古代ローマの貴族の館や大聖堂を思い浮かべれば簡単です。

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ヴァチカン

ところが実際には笑ってしまうような可愛いモザイクもたくさんあります。

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チェスでズルをする人?

これはピアチェンツァの聖サヴィーノ聖堂クリプタのモザイクです。クリプタというのは地下礼拝堂で、聖堂を捧げた聖人が眠るのが基本ですから、とても重要な場所です。そんなのにこんな柄で良いの?と思うような絵がロマネスク時代にはあちこちで作られました。

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モンスター同士の戦い

こちらはボッビオのクリプタで撮影しました。暗い上、私の身長では苦しい撮影で良い写真が無いのが残念ですが、実物は白地でハッキリと図柄が見えます。頭が胸についた怪物は実際にいると信じられていました。ウルトラマンジャミラは完全にこれが原点ですね!ドラゴンと書かれているのが見えます。この床にはいろんなデザインのドラゴンがいてなかなかオシャレです。

 

こう言った、高い技術を要する職人芸とは到底思えないものが中世盛期には珍しくありません。古代の恐るべき自然主義はどこへやら、暗黒の中世美術はこんな感じです。暗黒は結構明るいものかもしれません。

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古代ローマのモザイク

確かにこのローマの作品は素晴らしく、立派な芸術でしょう。上手いことこの上ありません。職人芸といったほうがいいでしょうか。人は、なんとなく昔は下手でだんだん上手になるような錯覚を知らず知らずに抱いていますが、ヨーロッパではそれが全く通じません。しかしこのスキのない作品とゆっる〜いロマネスクモザイクとどっちが好きかと言われれば人によるのではないでしょうか。

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パレルモのノルマン王宮

これも最高に素敵なロマネスクモザイクです。西洋東洋ビザンチンロマネスクアラブキリスト教聖俗と合わさりまくった感じが楽園の風景にあっています。

結局芸術とは何かは永遠のテーマですが、私には大切なもので、それには教養と感性が関係して、人間と文化というものを考えさせる何かがあると思わせるのです。

 

【イタリアの街】中世ヨーロッパの国際的大都市ピサとルッカの重要建築

ヨーロッパ建築関連の本を手にすれば間違いなく大きく扱われているのがピサの司教座聖堂とその一帯の空間「奇跡の広場」。一番新しく圧倒的に奇妙で世界の七不思議の一つになる程有名なピサの斜塔は、その一角にある。奇跡の広場を訪問したことがある人は世界中に大勢いて、日本のツアーにもよく組み込まれている。でも多くの人からツアーで寄っただけだからちらっとしか見ていないと聞かされる。なんというもったいない話だろう。一日でもいられる程の歴史や美術が詰まった場所なのに。

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S.Michele in Foro,Lucca

一方フィレンツとピサからすぐにあるルッカを訪れる人は、その2都市に比較し物凄く少ない。私が大好きなのももしかしたら関係あるかもしれない。観光地化によって汚されていないで頑張っているから。両方へ行ってみれば一目瞭然なことがある。それは重要建造物の様式が非常に似ていること。1枚目の写真は、ルッカの街のど真ん中に位置する聖ミカエル大天使聖堂。古代ローマのフォロ上にあるのでサン・ミケーレ・イン・フォーロという。ルッカローマ帝国の歴史を変える重要会談のためにカエサル(イタリア語ではチェーザレ、英語ではシーザー)が滞在した場所で、当時の面影があちこちに残って居る。

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Duomo, Pisa

ピサはとても有名だから色んな人が結構素敵なサイトを作っています。イタリア語だけれど写真だけでも十分綺麗で分かるから以下のサイトを見てみて。

https://www.itinerariapicta.it/pisa-piazza-dei-miracoli-il-battistero-e-il-duomo/

イタリア全州を旅して辺鄙なロマネスク聖堂まで観て回っている私の感覚では、建築様式は土地によって非常に大きな差がある。ヨーロッパが初めてで何も知りませんっていう人だと、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ドイツはなんとなく違うね〜、くらいかも知れないけど。中央ヨーロッパも全然違うし、ロシアをヨーロッパと言わないならば、それにしては似ているとか、アラブやアジアにもヨーロッパ風の建造物があるねとかから始まって、なんでも知れば知るほど違いが判るようになるのは当たり前。

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S.Martino Duomo, Lucca

ルッカの聖堂写真が夜の写真なのは、ルッカで一番重要な日9月14日の光の祭典(聖顔ヴォルト・サントの祭典)の時に、夜中の12時過ぎまで町中歩いて行列を追ったりするんだけど、その時のものだからです。上の写真は、非常に残念なことにファサードの頭が未完成なまま放置されてしまったルッカの大聖堂。合体した塔、意匠の意味を紐解き始めると、オタクなので何日でも居られます。私の論文のテーマとなった聖顔の十字架はこの中に御坐す(おわしますって読む)。

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S.Maria Forisportam, Lucca

重要聖堂を見ただけで様式がそっくりなのが誰にでも判ると思うけど、より小さい聖堂にもこのピサ・ルッカ様式のロマネスクが見られます。ロマネスクってゴシックと違って、地域差が大きくこれもロマネスク様式なの???と感じる人は少なくありません。でも西欧中のロマネスクで最も華やかかつ繊細なのがこのピサ・ルッカ様式。

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S.Giusto, Lucca

ロマネスク聖堂はどれも古代ローマの半円アーチを持っていますが、ルッカ・ピサ様式では、コロッセーオを思わせる円柱の回廊が何段にも重なってファサードに現れる。

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S.Paolo a Ripa, Pisa

華やかなのは化粧板に大理石の聖地カッラーラの真っ白な石を基礎にプラートの緑の石を横島に入れ幾何学的にまとめて居るため。

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Doumo, Pisa

近くからよく見ると細かい意匠が所狭しと施されています。色大理石の他にマヨルカ焼きの陶器やガラスの練り物も使われます。それでもピサのファサードルッカに比較し、ずっと落ち着いて見えます。それは柱に衣装が無いから。

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S.Martino.Lucca

これは私のデスクトップ写真ですが、ルッカ司教座聖堂ファサード一部です。空間が怖い病気ではないかと疑いたくなる程、浮き彫りや象眼細工がなされています。全ての円柱は異なったデザインで、近くから見ると統一感どころではありません。浮き彫りはいかにもロマネスクらしく、足を開いた人魚や噛みつき動物や謎の動きをする人などがいますが、どこかアラブ的、イスラム的東方的です。

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S.Michele in Foro,Lucca

中世初期、コロンブスはまだまだ現れません。そんな時代に遠隔貿易を盛んに行えていた地域は少なく、ピサやルッカは最先端な国際都市でした。ヨーロッパ最古の中世のお金はルッカのものだし、絹織物を産業にしたのもルッカが最初でした。商品は布に包まれていますが、この布の模様が職人たちを刺激し新たな文様や意匠が生まれたというのには説得力があります。日本のカステラの語源説も一つはこれです。カステラとはお城が訛った言葉ですが、あのお菓子が包まれていた布の模様だったとか(本当かな?)。

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Piazza dei Miracoli, Pisa

共通点はまだあります。イタリア語ではFacciata a salienteというのですが、上昇するファサード、飛び出したファサード、目立ったファサードなどという意味です。起源はローマの教皇座旧聖ジョヴァンニ・イン・ラテラーノですが、実際の建造物よりもファサードを大きく作る方法です。

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神田

昔は日本にもこれを真似した建物がたくさんありました。神保町辺りへ行くと未だにお店がそんな作りになっていて面白い。

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S.Michele in Foro, Lucca

この見せかけファサードとか書き割りと言ったりもする建築方法はヴェネツィアなど他の地域にもありますが特にルッカ・ピサ様式には多く、その極まった例がルッカの大天使ミカエルです。これは大天使を後ろから撮影したところ。どこかとぼけた脇の甘い天使たちは黙示録の終末を告げるため、最後の審判の笛を吹き鳴らしています。これを撮影するためには塔に登らなければなりません。

 

【イタリアの街】かつてはブルジョワの長期滞在型治療、今はエステの街のモンテカティーニ

マドンナの究極の美容ブランドの源がモンテカティーニ・テルメのものってことで、カタカナで検索するとそんな内容が出てくるけれど、ここはヨーロッパで最も有名な温泉治療地。

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MontecatiniTerme

テルメは温泉という意味なので〇〇テルメという地名はあちこちにあり皆温泉が出る場所。イタリアは火山地帯だからあちこちに〇〇テルメがある。中でもここモンテカティーニ・テルメは460,000m2の敷地面積も療養施設の数も群を抜いていて、古代ローマ時代から有名だった。

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温泉プール

ルネサンスの科学の明星時代15世紀初頭には、水の効用が公式に認定されレオポルド1世時代に大人気となる。絵を見るとなんだかモンテカティーニ・テルメの象徴的な建造物を指差しているみたいに見えてくる。

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Leopoldo

モンテカティーニの中心にある優雅な温泉治療施設に入るとすぐ目に入るのが、この柱廊と泉。円形屋根の下ではピアノ演奏がされて、緑に囲まれながらゆったりくつろぐ場所。周囲の公園をお散歩する人々がいるが、せわしい雰囲気は全く無い。

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MontecatiniTerme

60-80mの地層からくる水は地表に現れるまでに無機塩で細菌が殺されるので処理が必要ない。泥療法、水浴療法、水中マッサージ、温泉プールの運動療法などなど、全ての治療に全く天然のお湯が使われる。

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色んな種類の飲み水

特に飲む療法が基本で、この新古典主義ロココ様式が混ざった全く優雅な廊下には、ずらっと温泉水の蛇口が並んでいる。一つ一つそのお湯がどこから来るかが書いてあって、効能なども記されている。飲み比べると明らかに味が違うのが分かる。

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サロン

建物の中に入るとまた豪華だけれど、王侯貴族のお屋敷にありがちな、これでもかの金ピカとかでは無く、近世のブルジョワを思わせる落ち着いた雰囲気。いちいち家具などが重厚でカッコいい。本、お茶などちょっとしたお土産も売っている。

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木のサロン

こちらは打って変わって現代建築のモダンアートのような素敵な空間。石造建築が基本のイタリアにあって木材で森林空間を表現している読書室。図書館と読書室があるところが、私にはとても印象深かった。日本のただただあそびほうける遊園地的空間とは全く違った、真の大人の施設。遊園地は当然あってしかるべきだ。私だって子供の頃は大好きだった。子供の頃はね。肉体とともに精神と頭脳も成長するべきでしょ。

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街の真ん中の回転木馬

子供で思い出したけど小さな街の真ん中には回転木馬が置かれていて、時々子供が乗っていて可愛い。夜になると灯りが入って高い建物がほとんどない広い空間に活気をつける。他のイタリアの旧市街と違い聖堂や重要建造物が全く無いモンテカティーニ・テルメは、温泉療法に来る人たちの宿だけでできている。空間は開け、真っ直ぐな道が遠方の山へ続いている。

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可愛い登山電車

山の上モンテカティーニ・アルトへは凄く可愛い登山電車かバスで行く。行きは絶対これに乗ろう!窓が開いていて爽快!

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MontecatiniAlto

絶対このモンテカティーニアルトで夕食。ちっちゃーい中央広場には可愛い礼拝堂や劇場もあり、中世の街があったことがわかる。私的には本当はこっちへ泊まりたかったんだけれど、宿も小さくて6人が泊まれなかったの。それもまた良い感じだ。ここからテルメの街を見下ろし、路地の聖母子や子猫に出逢ったのがとても良い思い出です。夜遅くテルメの歴史的ホテルへ戻るにはもう登山電車はないから車。

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MontecatiniTerme

翌日はエステしたい人はエステ、町歩きでお買い物したい人はお買い物にしようかな。安全極まりないところだから。

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エステの殿堂

エステには色んな種類があって当然金額も違う。正直言って、私の経験では日本のエステの方が、頑張って施術してくれる感が強い。イタリアでは基本ほっておかれる。ただ何と言っても泥だらけになったりして、塩の上だろうが生ぬるいバスタブだろうが寝転んでいる空間の広さと豪華さは雲泥の差。不安になるくらい広い空間にポツーンと一人で大理石のバスタブに浸かって、神々に見守られている。どっちが気持ちいいかは人によると思う。

 

 

【博物館】ピアチェンツァの肝臓とファルネーゼのお城

西欧史や美術史を読んでいるとよく見かける謎の物体。一昨年撮ってきたんだけれど、分厚いガラスケースに入っていたので私の腕とカメラではこれが精一杯でした。

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Fegato di Piacenza

巨大なファルネーゼ家のお屋敷は今は博物館となっていて、ボッティチェッリのトンド(円形の贈り物としてよく描かれた絵画)など、中世から近世にかけての絵画やフレスコを十分堪能した後で、打って変わって馬車コレクションが延々と続き、イタリアではつきものの考古学資料館が併設され、歩くだけで疲れる巨大な建造物の最後の最後に、全く特別な展示室があり、現代美術の部屋になるのかと思いきや、ルパン三世が盗みそうなガラスケースが部屋の真ん中にポツーン。中には燦然と輝くダイヤモンドの替わりにエトルリアの肝臓と呼ばれる青銅製の物体がある。

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Fegato di Piacenza

紀元前2世紀から1世紀末に作られ、占いに使われていたことは分かっている。キリスト教が普及して、異教的=非科学的=怪しい占いやおまじない、呪いの類が廃止されこの職業の人たちもいなくなった。よく見ると文字が書いてあって、何やら線が引かれて丸印も見える。肝臓は人間のではなくて羊の肝臓をモデルにしていて、ちょっとは一安心できる。

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Villa Giulia,Roma

ピアチェンツァの肝臓はこの類で最も有名なもので、こう言っていいのか分からないけれど、なんとなく美的で魅力的だ。実際にはもっと古いものがメソポタミアなどで排出されていて、世界の博物館にある。写真のはローマにあるテラコッタ製の紀元前4−3世紀製。

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英国

さらに古いものが大英博物館にある上の写真のものだけれど、なんか美的じゃないからか魅力を感じない。

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Fegato di Piacenza

そこいくとやっぱりピアチェンツァのはどこからみても、現代彫刻みたいな趣がある。これは裏から見たところ。エトルリア文字があちこちに書いてあるけれど、どうやって占っていたのかは文字資料が見つかっていなくて分からないらしい。もともと特別の臓器占い師が専門職としているんだから、秘密なのかもね。古代社会らしい!これも長年見たくてやっと数年前に拝めました。

 

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馬車など

馬車なども、見たことがないくらいたくさん揃ってる。有名人(王侯)が乗った赤ちゃん用の馬車とか、消防車とか特に車に興味のない私でもとても楽しめた。

 

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Botticelli

絵画部門の最大の売りはボッティチェッリのトンド(円形の額)。非常に丁寧に描かれていて、後期の作品に漂う悲壮感が見て取れる。プラートのところで紹介したフィリッピーノ・リッピの作風ととても近いのもよく分かる。親方(フィリッポ・リッピ)の弟子と息子である彼らはとても親しく、歳の近い親子か歳の離れた兄弟のようだった。私は勝手にボッティチェッリはフィリッピーノを愛していたと思っている。二人ともこれ以上なく成功した画家で社会的地位も高く、しかもイケメンだったのに結婚しないで子供も残さなかった。お父さんとなんという違いだろう!二人の画風には後期になればなるほど、悲壮で神経質な印象がつきまとう。もちろんフィレンツェという国自体の没落や社会不安が大きいけれど、個人的な悩みもあったことがボッティチェッリに関しては証言があるから。一般には「春」や「ビーナスの誕生」ばかり人気があり、あとは無視されがちだけれど(というかあとは堕落のように言われたりもする)私は、二人とも生涯を通じて大好きな画家です。

【修道院】カルトジオ会の世界で最も有名な観光修道院チェルトーザ・ディ・パヴィーア

修道院制度はプロテスタントにはありません。マルティン・ルターがヴィッテンベルクの門に95か条を打ち付けた(有名な伝説で歴史上は疑問が持たれている)のは、1517年で16世紀です。キリスト教はわざわざ言うまでもないけれど1世紀から存在します。私たちのカレンダーがキリストの誕生でできているのを、どれだけの人が考えたことがあるでしょうか?

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San Bruno

1世紀から存在するキリスト教は極めて早い時期から修道制度を持ちました。最初は砂漠に自ら修行へ行く、隠修士と言われる人々が尊敬を集めるようになり、だんだんと制度化されます。修道院制度についての本は結構日本語で読めるものもあるので興味のある人は是非読んでください。キリスト教の発祥は東方ですから当然修道院制度も東方で生まれました。西方修道制は後に確立され、その最初はベネディクト会です。

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certosa di Pavia

それが中世になりヨーロッパ中がキリスト教化されていく内に、修道士たちは隆盛を迎えます。様々な修道会ができました。乱暴に一言で説明すると、信徒たちと交わりミサを施したりお世話するのは神父様。人里離れ、世界の救済のために祈りを捧げ厳しい生活に身を捧げるのが修道士。と言うことで、本当はデブの修道士とかは居るはずがないのですが、大修道院に王侯貴族や庶民もお布施をしまくると、清貧のはずの修道会はお金持ちになってしまい堕落が始まります。するとその改革運動が起こり、より厳しい修道会が生まれる、と言うことの繰り返しで、中世最大の巨大修道院となったクリュニーや先のブログに書いた聖ベルナールのシトー会、アッシジのフランチェスコフランチェスコ会、大神学者を大勢輩出したドメニコ会、神の軍隊といわれ日本にもやってきたザビエルが属するイエズス会、近代のサレジオ会、クッキーやバター飴で有名なトラピストなどなど正直言って無数にあります。

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facciata

このパヴィーアにある今や大観光地の修道院は、最初の写真、ケルンの聖ブルーノによって作られた修道会で、チェルトーザとはイタリア語発音でカルトジオ会と言います。聖ブルーノは偉大な聖人ですが政治的な人ではなかったし(聖ベルナールはフランス王に絶大な影響を与えたし、聖人には時々かなり政治的な人もいます)イタリア人でもないし、とにかくあまり良い美術作品がありません。私が一番好きなのは、写真のヴァチカンは聖ピエトロ寺院の身廊にある大彫刻です。初めて見た時から、あの巨大バジリカに無数にある素晴らしい美術品の中でも特に好きな作品です。

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大いなる沈黙

カルトジオ会の特徴は2014年制作のドキュメンタリー映画「大いなる沈黙」にある通り、沈黙です。だから、どのカルトジオ会も非常に不便な場所にポツンとあります。なのにルネサンスの成り上がり大貴族のお墓のために作られたパヴィーアのものは、派手さこの上なく聖ブルーノの顔に泥を塗るようなものですが、それはアッシジでも同じこと。

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お墓

ミラノの君主イル・モーロのお墓のため。ところが彼はフランス軍に囚われて客死するので実際は空なんだけど。

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affresco

中のフレスコには、この聖堂を聖母子に捧げる人々の姿が。超ルネサンス的です。中世ではこんな事罰当たりって感じでしょうか。製作には数百人の建築関係者が関わっていますが、彼らの多くはミラノ司教座聖堂を作った人々で、ミラノでの失敗をここでは解消し、ゴシック的=中世的古臭い聖堂を、より明るくルネサンス的にしています。

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天井の家紋

この素晴らしい天井が至る所にあるのですが、真ん中のおどろおどろしい太陽みたいのはヴィスコンティ家の家紋です。

 

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ドームの解消

この柱、ドーム、屋根の仕組みはミラノ大聖堂と基本的には似ていてもずっと快適で光が入るように工夫されています。要するに聖堂というより宮廷的になっています。

 

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僧坊と中庭

カルトジオ会の修道士にとって最も多くの時間を過ごす僧坊と中庭です。かつては薬草園で、今も当時の薬草百科辞典のような写本お土産とか売っています。カルトジオ会は何事も一人で独力で行い会話しないのが基本なの、全員の小さな僧坊があります。ドローン写真をみてください。細かいのは僧坊なのです。

 

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affresco

いくら観光地とはいえ、本来の在り方や聖人の理想も尊重して訪問したいものです。


 

【博物館】プラートが誇る聖母の腹帯と国立フィリッピーノ・リッピ芸術院

ルネサンス好きの人には大人気の、不道徳な女狂いの修道士フィリッポ・リッピ。画家としては「彼によって初めて生きた女性が描かれた」と言わせるほどの素晴らしい画家。女性が可愛くて綺麗なんだけど、お爺さんも実に生々しく描いています。そんな彼の出身地がプラートです。最大のフレスコや初期作品、重要な祭壇画など沢山あります。

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Filippino Lippi

で、その彼が大美人修道女に産ませた子供がフィリッピーノ(本当はフィリッポだけど、父と区別するために小フィリッポという)で、彼もフィレンツェや宮廷で成功した画家となり、親子共々国葬されました。10歳にもならない頃から父の作品の手伝いをしていたようで絶大な影響を受けていますが、大人になるに従って父のおおらかさが失われ、繊細で神経質な息子の画風が現れます。忘れてならないのは親子の間には、かのボッティチェッリが存在すること。彼らの作品は、優美な線の美しさと華やかさで、フィレンツェのガチンコ風(ジオット、マザッチョ、ドナテッロ、ミケランジェロを思い描けばいい)とは全く異質のもの。

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Filippino Lippi

博物館ではフレスコの壁龕が再現されています。良い展示方法です。なぜなら聖堂のフレスコは、描かれた内容とそれが存在する場所との関連が非常に重要だから、一枚の絵のように切り離して展示すると元の意味が解らなくなってしまうのです。もちろん構図や色彩の配置、光の具合など全てが計算されていますから、理想は本来あった場所に当時のような環境で鑑賞できるのが良いんだけど、聖堂が壊されたり、痛みが激しかったりなかなか思うようにはいきません。

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Filippino Lippi

中央の聖母子を礼拝する聖人たち。フィリッピーノらしい、やたらスタイルの良い美形の男女に古代ローマの大理石意匠。アンドレア・デル・サルトの「ハルピュイアの聖母子」を思い出さずにはおれません。額縁から今にも飛び出しそうな聖女の立体感が素晴らしい。流石ルネサンスの申し子です。でもやっぱり一番嬉しいのは、かしずく聖女と殉教聖人の方に身を乗り出すようにした、アンニュイな幼子イエス。全体を見ると聖母子と聖人たちの関係が明確で、二次元の絵画とはいえ建築の一部であるフレスコ壁画の良さが際立ちます。聖母子の頭上で手を合わせて祈る天使たちも、やけにリアル。

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Filippino Lippi

そんな故郷の偉人を讃えるべく、プラートには息子フィリッピーノ・リッピの名を冠した国立総合美術学院(日本語の訳は私の訳)があります。私も美大だけれど、初めてイタリアへ行った時、子供時代からこんな環境で育ったらどんなに違っただろう!デザインセンスも、人間形成も、と思ったのを今でもよく覚えているし実感しています。

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2018年の儀式

ここでこのページ最初の作品を説明します。「聖母の腹帯の祭壇画」と言います。聖母の腹帯?これはプラートへ行ったことがある人なら誰でも知ってる(知らない人は文化芸術に無関心な人)有名なもの。何しろ司教座聖堂に、普通とは全然違って端っこに不思議な屋根付きのお立ち台があります。よく見れば判る通り素晴らしく手をかけています。それもそのはずルネサンス最大の、というか私的には美術史上最大の彫刻家ドナテッロの作品です。

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Donatello

聖母が天に召される時、昇天しながらはら〜っと哀れな私たちに残してくださったのが、神の子イエスを宿しているときにお腹に巻いていた帯。肌身離さず持っていたのかとか、1348年から行われる御開帳だけどそれ以前はどうなってたの?とかは言わない。87センチの長さで大聖堂博物館に、金の枠付きで保存されているその帯を、重要な時だけ、大聖堂から皆の衆に開示します。そのためだけに中世の大聖堂に、フィレンツェで超売れっ子のドナテッロを呼んで作らせたのがあのお立ち台でした。ページ最初の作品はそれを描いた祭壇画で、中北部イタリアを中心に結構、聖母の腹帯主題の作品があります。

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Cattedrale di Prato

ちなみに私のこのページのタイトル画像はフィリッピーノ・リッピの絵の一部です。「聖ベルナールに出現した聖母子」 という有名な作品はフレスコではなく巨大な絵画作品で、フィレンツェのバディーアにあります。バディーアは中世からルネサンスにかけて非常に重要な聖堂でした。今も街の大中心部に位置するのに、フィレンツェ好きの日本人がほとんど行かない場所です。なぜだろう?とても素晴らしい建物で、丘の上からフィレンツェを眺めるとバディーアの塔が司教座聖堂に次いで目立つのに。

【博物館】モンツァが誇る西欧一古い王冠はキリスト磔刑の釘から

北イタリアはミラノからすぐの街モンツァの司教座大聖堂には、ヨーロッパ最古と言われる王冠がある。

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鉄の王冠

日本語の説明は以下が詳しいかな。ウィキを読んでもらえれば、ずっと詳しいイタリア語や英語に比較すれば量的には少ないものの、多少の違いくらいだからお勧めできると思います。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%81%AE%E9%89%84%E7%8E%8B%E5%86%A0

 

この王冠は西洋美術史の本には必ず載っていて、聖遺物としても、歴史やまつわる伝説という意味でも、本当に貴重な物💗

イタリアに留学して間もない頃、初めてここを訪ねた時はまだイタリア語がそれほどできなかったし、歴史や美術史の知識も少なかったのですが、この王冠のことは当然知っていました。でも司教座聖堂にあるってことは分かってたけれど、なかなか見つからず、秘密の場所に隠してあったと知った時は驚かされ、益々印象に強く残りました。キリストが磔刑にされた時の釘が使われたのが真実かどうかは、問題ではありません。そういう理由で大勢の人々がこの王冠に関わったという歴史的事実や、社会のあり方が面白い。

 

それにしてもモンツァはミラノからあまりにも近いためか、逆にすっ飛ばされてしまって観光地ではありません。観光地嫌いの私には嬉しいのですが、小さな町の規模にしては、驚くほど立派な司教座聖堂です。塔なんか高過ぎて写真に撮れないくらいです。

 

イタリアらしからぬあまりにも整然とデザインされたファサードは、私がモンツァへ行くって決めたら途端に修復に入ってしまって(泣)、残念ながらまだ終わっていません。でも王宮もあるし、司教座博物館には美術史に燦然と輝く、初期中世のお宝が揃っているので、時間削減でき良かった、とか良いように考えるようにします。何しろモンツァは初日だけで時間を取っていないからね。

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7世紀の十字架

とにかく一番重要なのは大聖堂博物館。5〜6世紀の中世キリスト教世界で最古の素晴らしい美術品がここで見られます。

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7羽のひよこ

テオドリンダはバイエルン公の娘でランゴバルド王妃となり、アリウス派と戦って聖堂を建てまくった。世界で最も有名な洗礼堂の一つ、フィレンツェの洗礼もその一つ。モンツァ大聖堂も修復するのは当たり前だね。

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テオドリンダと鉄の王冠

聖堂内部、15世紀のフレスコには、一千年前のお姫様の物語が描かれてる。ひっさしぶりに楽しみだ〜💗

(写真は大聖堂博物館のサイトから)

【映画】世にも怪奇な物語

原題 Histoires extraordinaires

制作 1967年 イタリア・フランス

昨日は一日放送大学の青山昌文教授の「美学・芸術学研究」を読んでいたんだけど、笑ったり納得できなかったりしながらも、芸術とはなんだろうかと考えました。これは私のライフワークだから一年中考えてるけどさ。でそんなところへ休憩に映画を探してみたら芸術っぽいのが見つかったので鑑賞。さすが60年代!1970年代にかけてのこの辺りの映画は、今では考えられない類の面白さがあって好きな作品が沢山ある。っていうか、「すきっ」って簡単に言えないところが面白い。いいんだか悪いんだかわんないんだけど、ゲ・イ・ジュ・ツなんだろうな〜???みたいなのが目白押し。

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DVD

当時のポスターが物凄い迫力なのに対して、最近出たDVDは至極平凡でつまらない表紙。アラン・ドロンブリジット・バルドーの二大スターを持ってくるという芸のなさ。この映画は3部作のオムニバスで、二人は真ん中の作品に出てくる。3部作の2番目って、誰が考えても一番ダメってことじゃない?最初と最後は大事だし、最も印象に残るから良い作品を持ってくるのが普通で、確かに一番平凡な内容だし、主演のアラン・ドロンがそりゃーイイ男だけど他の人より演技が下手。

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日本版

ヲーッ!日本版もおどろおどろしい!今回は珍しく題名はほぼ原題どおり。BB(ブリジット・バルドー)って最大のスターだったのか、どこでも大きく扱われてるけど実際にはジェーン・フォンダの方が断然主演。ポルノかと思われるような思い切った、ある意味カッコいい衣装で大活躍するし、とっても綺麗。実弟ピーター・フォンダ演ずる伯爵に恋して狂っちゃう役。中世とSFが合体したみたいな1960年代チックな衣装は、いつも楽しい。それに壁にかかったゴブラン織りはパオロ・ウッチェッロの絵の3流作品って感じなのも興味深い。

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ポーの原作

独特な幻想ホラー画家フュスリの表紙の小説。もともとこれはホラーの生みの親エドガー・アラン・ポー江戸川乱歩の名前がここから来てるのは周知の事)の小説「黒馬の哭く館」「影を殺した男」「悪魔の首飾り」が元になっている。中学生の頃、学校の帰り道必ず図書館へ寄って毎日いろんな本を読んだ。そこでポーや乱歩も読んだんだけど、少年探偵団と違ってエログロ小説が多い乱歩は、気持ち悪いわ怖いわで夢に出てきて大嫌いになったのに反して、本家本元のアラン・ポーの作品は不思議な感じが強く、絵画や映画ではできない文字の力を痛感した。しっかり書いてあるのにそれがどんな場面なのか、必死に想像するのにできない。それは一体どんなものなのだろう?どうなっちゃったのか?怖い詩みたいだった。

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Fellini

そんな幻想的な映像では説明できないポーの作品を映画化すると、ああいう風になるのか、などと考えさせられた。個人的には第3部のフェッリーニ作品が一番興味深い。自分のお金で初めて行った映画館、その作品はフェッリーニの「81/2」だったし、彼の映像美と批判精神にテレンス・スタンプも熱演だった。

 

あの悪魔の化身の少女はダリオ・アルジェントの「サスペリア」が引き継ぐことになるんだね。B級ホラー帝国イタリアの誕生だ!

 

【本】最高の旅行ガイド

旅に行く前に絶対お勧めするのは、訪問地について何冊か本を読んでから行く事。海やサッカーには興味あるけど、歴史も文化も一切興味がないという人は私のサイトを読んでくれないだろうから、読んでくれている知的関心の高い人には絶対に絶対にお勧めします。言っておくけど、私はサッカーやラグビーが好きだしボクシングを愛してる。

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イタリアのガイドブック

でガイドブックも千差万別と言いたいところだけど、基本的に日本語で読めるガイドブックに質の高い本は無い。なんて残念なんだ!!日本で発売されているガイドブックはほとんどが旅行社的観点に立っていて、飲食店、お土産屋、アウトレットにほんのちょこっと博物館や聖堂などが載ってるだけ。あれじゃ書きようが無いとは思うけど、作品説明なんか役に立つんだろうかと思う内容だ。歴史知識ゼロの人にいきなり貴族の名前や、美術様式を説明してもどういう意味があるのだろうか。って事で、今度はいきなりイラストだらけの、おいしい、かわいいに終始した物に。

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Le guide Mondadori

比較して欧米のガイドはずっと内容がしっかりしてるものがある。ミシュランは地図が本当に正確で素晴らしい。何十年も前だけど地球の歩き方に、存在しない場所へ連れて行かれた経験のある私は、ミシュランロンリープラネット、ツーリングクラブなどのガイドにある地図の正確さに感激した。最終的に行き着いたのは写真にあるモンダドーリのガイドブック。紙が良すぎて重いのが難だけど、あとは最高です。

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日本へ来るイタリア人向け

勿論日本のガイドブックと同じで大まかな「イタリア」みたいなのもあるけれど、私の愛用は州別や街別。サルデーニャ、プーリア、トスカーナ、ロンバルディーアみたいに。ローマ、フィレンツェ、ナーポリなどの大都市(フィレンツェは文化的には間違いなく大都市)は街ごとにある。

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頁下方に歴史年表

モンダドーリの素晴らしいところは地図だけではありません。サマリー(総合説明)に歴史が続く。イタリアの場合多くの場所が古代から素晴らしい歴史を持っている。古代ローマどころか場所によっては鉄器時代とかから始まって現代まで何頁も続く。

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トスカーナ州の建築

流石なのは、それぞれの地方の建築の特色を紹介した頁。様式や年代、地方色など様々なことが最初に分かるので、素人でもその後に出てくる建築物の説明について行ける。

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サルデーニャ

建築だけでなく必ず自然の特色も説明される。気候や風土、そこに生息する動植物、典型的な風景から、最近の発見や研究結果まで。

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ルッカの歴史中央地区の中心

現実的に最も役立つのは、いわゆる地図の他に上のような、特に重要な地区を非常に正確に映したイラスト地図。一目瞭然で司教座聖堂や博物館、貴重な作品の位置が把握できる。

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ピサの奇跡の広場説明図

特に知名度が高い、もしくは貴重な物事に関しての図説は驚くほど正確で、それ自体が作品的に美しい。

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サルデーニャのロマネスク聖堂図説

ピサの斜塔フィレンツェ司教座、コロッセーオなどはどこにでも載ってるけれど、例えばこのサルデーニャのロマネスク聖堂などまず掲載されない。ここには無名の小さな聖堂がいくつも紹介されていて、この図説と解説を見て何が何でも行きたくてたまらなくなり、バスも無い場所へたどり着いた時の感動はひとしおだった。専門的な草分け的イタリア旅サイトhttp://www.japanitalytravel.com/ に掲載した時も編集長に最も感動してもらえたのはこのサルデーニャロマネスク記事だった。http://www.japanitalytravel.com/arte_romanica/top.html

その時の記事、綺麗だから見てみて!

 

勿論、食や伝統工芸、四季の重要イベントなど皆解説がある。私のはイタリア語版だけれど、英語版は簡単に手に入るし、かなり難しいしめっちゃ高いけど日本語版もあるにはある。ぜひネットで探してみて。le guide mondadori 

【美術】メスキータ

http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201906_mesquita.html

東京ステーション・ギャラリーへ「メスキータ展」を観に行ってきた。

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展覧会チラシ

私がメスキータを知ったのは何十年も昔の話で、当時日本ではほぼ全く知られていなかった。彼を知ったきっかけは明確に覚えていて、エッシャーの画集を読んでいるときにメスキータの作品が掲載されていたが、その画集に載っている全ての作品の中で最もインパクトがあったのが、エッシャーではなく、メスキータのたった一枚の素描だったことだ。非常に簡単なシンプルな線描きの二人の人物は、心に突き刺さった。後にキリスト教絵画を勉強しイタリアへ留学してからは、その作品は「御訪問」というマリアとエリザベツに見立てた二人なのでは無いかと思った。

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噂話をする人々

メスキータは家族共々ナチに抹殺されたというのも、初めてこの作品を観た時にエッシャーの本の中で知った。その思い出の作品があることを期待していったけれど、それは残念ながら無かった。今改めて観てみると、ポーランドユダヤ人であるが故に、惨殺される運命にあった彼らが、置かれている社会を表していると思う。彼の作品は版画が中心だが、発表することを気にしないで自由に描かれたと思われる線描きの小品が沢山残っている。私が彼を知ったのも、そういったもののうちの一枚で、これが最も印象的で謎と深い悲しみに満ちた部分だ。

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動物シリーズの梟

明快な生きた線が際立つ、モノクロの版画は、どれも彼のデザインセンスの良さを物語っていて、動物シリーズや植物など壁にかかっていると非常にオシャレだ。あり得ないかっこよさの雑誌表紙なども素晴らしい。

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先取りパンク

本当に何十年も気になっていた、悲劇の才能ある画家の作品がこんなに沢山観られたことに感激している。ステーションギャラリーは東京駅の改築工事を巧みに利用して作られていて、会場の雰囲気もさることながら、点数も多く、質の高い展覧会に是非多くの人に足を運んで欲しいと思う。彼らのように、全く罪なくして殺される人が大量に出るのが戦争なのだから、選挙が迫った今、あらゆる暴力に反対する意志を強く持つべきだと思う。京都のアニメーションスタジオの悲劇にこれだけショックを受ける私たちは、本質的に平和主義だと思うし、政党もそうあって欲しい。

 

【旅】2019年ロンバルディーアの旅


ロンバルディーア、特にミラノには知人が沢山いる。

知り合って長い芸術家のジョヴァンニ(自分の過去は日本だったと信じて疑わない画家 http://www.giovannizoda.com/ 彼の作品が沢山載ってるから、興味がある人は是非みて)、東京で案内したミカエラと家族や友人他。みんな働いている上、私の旅ががっちり計画されていて、なかなか会えない。今回もミカエラはずっと前から大パーティを計画してくれてたのに、仕事でイタリアにいないことが判明しちゃった。

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Giovanni Zoda

で、19日はフランチェスコの御宅でご馳走になることになりました。ミラノのRho周辺です。駅はDe Angeli(天使)だったりBuonarroti(ミケランジェロの苗字)だったりとほんとイタリアだ!私の住所、味もそっけもない、無味乾燥な新町とは大違い。とは言ってもRho(ロー)はいわゆる観光のイタリアとは全く違った場所で、国際的な展示会場など備えた近代都市。

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Rho

アレルギーやどんなビール、白、赤、ピンク・・がいいかとか細かく聞いてきたので、参加者は私に伝えてください。

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イタリア産ビール

イタリアのビールは、私の留学時代には飲めたものではなかったけど、今ではずっと美味しくなって種類も沢山あります。初期には日本のビールが一杯あったけど、今はどのくらい売れてるんだろうか?日本にはおじさんの絵で有名なモレッティがよく入ってる。

 

とにかく先発組の最終日、楽しそうでしょ?期待してね🍝

 

海外ドラマ好き、と言ったって欧米だけど

ドラマも好みが分かれるけど、私はほとんど欧米系海外ドラマ専門。

疲れた時の気晴らしなんだけど、それでもただ見るのには罪悪感がどこかあって、英語やラテン系の言語だと勉強になるという理由ができる。正直言って北欧物とか全く何言ってんだかわかんないんだけど、たま〜に「おーこれは〜〜と同じだ」とか思ったりする。あとは音楽的な理解には繋がる。

 

印象的だったのは「Bohemian Rhapsody」でいきなり有名になったけど、ラミ・マレック主演の「ミスター・ロボット」。

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ミスター・ロボット

かなり行けてた。革新的な部分が色々とあって、話の展開も期待させるものだったけど、社会批判精神と最新技術への関心などが面白かったし、特に主演のラミ(レミ?)の演技がカッコよかった。

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ユートピア

最新技術と科学に社会批判精神プラス芸術表現が揃ってるのが私の趣味で、そう言う点ではイギリスの「ユートピア」はめっちゃ面白かった。二つとも近未来小説風で、ミスター・ロボットはITと情報操作が焦点だし、ユートピアは人口問題がテーマ。直接的には無関係だけど、イギリスのユートピアはかのトマス・モアの作品を思い出さずにはをれない。有名なウルトラ個性派俳優(真っ黄色のスーツにリーゼントヘア)も出てたけど、無名の主人公らの静かな熱演が光ったし、画面や音楽がポップで、話の過激さや残酷さとの対比が印象的だった。

 

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ポーズ

今一番新シーズンを日本で放映してくれるのを待ってるのが「ポーズ」。これは近未来ものじゃなくて1980年台のゲイカルチャーが舞台。様々なマイノリティー問題、特に性的マイノリティーにテーマを絞ってる。とにかく衣装が凄い。見ないとキワドイゲテモノみたいに思う人もいると思うけど、様々な理由で社会的弱者として生きる人たちの内容は凄くまともで、むしろ健全とさえ言える。家もない程貧しいのに、ピッカピカ、キッラキラの衣装に命をかけてる価値観など、想像もつかない。お願い、早くシーズン2放送してください!

 

 

 

【旅】2019年ロンバルディーアの旅

やっと放送大学の面接授業(スクーリング)と首都大の新講座というウルトラ忙しい時期が過ぎたので、旅の計画詳細をまた書き始めます。

 

ロンバルディーアの旅では毎年一緒に旅してくれてた仲間が急に行けなくなったんだけど、交代要員がすぐ見つかりホッと一息。Mさんには本当に残念。飛行機代もパーになっちゃってすごく可哀想。日本の働き方にいつも疑問を持っている私(彼女は仕事の都合で行けなくなった)。一つ返事で参加してくれることになったTさんに感謝します。

まず宿泊場所だけ再確認。

 

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colazione

9月10日(火)Milano 到着。空港からMonzaへ。

11(水)Paviaへ2泊

13(金)Piacenzaへ2泊

15(日)Bobbio 泊

16(月)Vigevanoへ2泊

18(水)Milanoへ2泊

20日に三人が帰国し、入れ替わりで後発のグループが到着。

 

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Domus San Martino

ここで以前紹介したピアチェンツァの宿が変更になりました。ずっとグレードアップできました。よかった〜。本当は歴史中央地区のど真ん中へ泊まりたかったんだけど、どうしてもシングルベッドばかり揃えるのが叶わなくて、駅近の経済的な宿を一応取っておきました。今回の旅の中で一番イマイチな感じの宿だったんだけど、中央のずっと評判の良い、綺麗なとこに変更できた。ネットでの連絡もチャットみたいに速攻でできたし決定!

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Piacenza

ピアチェンツァは中世一色って言えるような中央の市庁舎広場を中心に、好みの聖堂が目白押しの場所だから、やっぱり街のど真ん中へ泊まって、歩き回りたかった。楽しみにしてーっ💒

 

西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ