天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【イタリア語・ドラマ】Tutti i Giorni❣️L'italiano:ヒューマンズ

先のブログで andare con Dio(神と共にゆけ「ほっといてくれ」)という使い方を書きましたが、イタリアの若い友人から「結構使うよ」とメッセージが来ました。彼は大学生です。日本の学生が「仏ほっとけ、神かまうな」とか言ったらびっくりしますよね!


今日は神様に続き、神の似姿と考えられてきた「人間」がテーマです。

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Adamo&Eva, Otranto

 human ヒューマンという英語はラテン語 humanus が元。

ラテン系の言語では h は無発音なのでイタリア語では

umano ウマーノ (形容詞)人間の属性を備えた、人間に特有の、人の

uomo ウオーモ (名詞)男。男性単数系

uomini ウオーミニ(名詞)人間、人類。複数形

umanesimo ウマネージモ(名詞)ヒューマニズム人文主義

umanista ウマニスタ(名詞)通常ルネサンス人文主義者、古典研究者

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聖山のアダムとエヴァ Varallo

例文

il primo uomo 最初の男=アダム

uomo di parola 言葉の男=約束を守る人

uomo di cuore 心のある人=心が広い、寛大な人

uomo d'oro 黄金の人=素晴らしい資質の持ち主

uomo d'affari 大仕事の人=実業家

uomo da bosco e da riviera 森と川の人=どこでも行き抜ける→万能人

uomo della strada 道の人=権力や資産などない普通の人

uomo morto 死んだ人=ロボット

L'uomo e` mortale.  人は死ぬもの

Dio e` immortale. 神は不死(永遠)である

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Caravaggio, Roma

 正直言っちゃうと、この数年で圧倒的に気に入っていた海外ドラマ「ヒューマンズ 」を見終わった(悲しいかな打ち切りだけど)のでその影響です。だからあとはドラマの話。「ヒューマンズ 」は2015年制作のイギリスとアメリカの合作ドラマで、スウェーデンのドラマ"Real Humans"が元になっています。北欧雑貨は日本にも固定ファンがいますが、ある意味、現在世界で最も進化した地域が北欧文化圏で、小説やドラマも北欧ものが凄いとだいぶ前から話題になっていました。アメリカやメキシコでもリメイクされた「キリング」や「ブリッジ」も強烈で特に「ブリッジ」ははまりました。でも断然「ヒューマンズ 」が好きです。先の二作品は、心底怖くて暗くて辛い現実が重くのしかかるのに対して、ヒューマンズ には優しさや良心に触れられる部分があって、可愛いとかおかしいとか、ほっとできたりもします。

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海外ドラマ

SFに関しては、ひたすらエンターテインメントを追求した大掛かりな馬鹿らしい内容の物は、環境問題や世界経済、教育という観点からも好きではありません。(と言っておきながら、コロナのおかげで「ヒーローズ 」全部見ちゃった。ザカリー・クイント最高!それに「ゴッサム」も中は飛ばしたけど、結構見ちゃった。偽善者ですいません。)でも社会派のSFは昔から小説も大好きで、日本はコロナでAI後進国が明確になったけど、歴史的にみれば「ヒューマンズ 」はとてもリアリティがありました。写真の人たちはuomimi(人間)ではなくuomini morti(死んだ人間=ロボット)なんだけど、死んでないの。感情もあるし!

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タイトルと音楽もマッチ

ヒットドラマや映画の有名な俳優も結構出てる。私はコリン・モーガンがかっこいいというのが???だけど、主演のジェンマ・チャンはじめシンス(AIロボット)役の人たちはみんな良かった。とんでもない格好だけど、モデルみたいな人やウルトラマッチョな役者が沢山いて目に楽しい。

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壊れた旧式ロボットから神ロボットへW.Tudor

内容的には特に女性の役が感動的だった。ダメな母親だけど超勇気のある人権(AIだけど)派弁護士のローラや、子供シンスを守って死んじゃうカレン。ピートが死んだ時に彼女が流す涙は人間としか思えない最も印象的な場面だった。可哀想って言えばエピソード終盤で活躍するアナトール。演じたU.ローチは好きな俳優で、全身刺青のやたら強い記憶喪失の美女が活躍する「ブラインドスポット」でやってた役を思い出した。優しい善人が、実は裏の組織幹部、なんだけどそれには悲しい過去があったから、ってとこが似てる。

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ロボットの宗教感を表現したUkwell Roach

Aiに仕事を奪われた大量の失業者を抱える社会という、考えるべき具体的な設定から、意識を持ったロボットを前に、それぞれの立場でその人間の良心や残酷さ、保守性や柔軟性が問われる。ヒューマニティ、人間らしさとは何かという永遠のテーマ。

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愛に満ちたロボットを演じたI.Jeremiah

神が人を作り人を滅ぼす(ノア)。そうして人は神を葬り去る(無信仰)。人がロボットを作り敵視する。なぜならAIは人間を超えて神に近づくと考えるから。囲碁だってもうロボットに勝てないでしょ。だから根強いAI反対派がいる。海外ドラマって打ち切りになるのが悲しい。十分にエンターテインメントのある社会派SFで良い内容だったのに。

 

uomo、単に「男」って覚えるより、上のように他の単語と一緒に覚える方が感覚的にも覚えやすい。ルネサンスやってれば一年中出てくる言葉だしね。やってみて。 

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