天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【旅】2019年トスカーナの旅、アルベルゴ(宿)

まだ破壊した本棚と、処分をどうするか悩んでいる本たちに囲まれて仕事しています。

 

トスカーナの旅はモンテカティーニの宿が思うように取れなくて遅れましたが、ようやく発表。

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Grand Hotel Duomo

9月20日 ミラーノへみんなが到着し、私は空港もしくは宿でお迎えします。クラブ・ホテル。

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Culb Hotel

マルペンサ空港行きバス停留所も中央駅も近いので選んだ普通の三ッ星ホテルです。だけど、ジョルジョーネやマサッチョの絵がかかってたり、ベスパやナポレオンの胸像も面白い😃寝るだけだけどね。

 

21日(土)朝から移動しプラートへ。アルベルゴ・ジューニ。

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Albergo Giugni

プラートでも6ベッドなかなか見つけられず、駅からちょっと離れた宿へ。B&Bからホテルに昇格してるし、ひたすらシンプルだけど歴史中央地区です。バスもタクシーも出てるというので車で到着。荷物を置いてすぐに街に出、お昼。

 

22日(日)モンテカティーニ・テルメへ。グラン・オテル・テットゥッチョ

一泊づつで忙しいけど、やっぱり宿泊すると街がずっと印象的になるので泊まります。様子を見てモンテカティーニへ。ずっと、下の温泉リゾート地テルメではなく中世の小さな村アルトへ泊まると言っていたにも関わらず、どんなに頑張っても無理でした。6人分のベッドが存在しないのが判明。ごめん!でもすごく努力したので許してください。その代り由緒ある豪華ホテルへ。

 

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Grand Hotel Tettuccio

 実際泊まることになった「天蓋」という名のホテルの奥に、泊まろうとしたアルト村が見える。二軒しか宿がなくて、4人しか泊まれなかった。

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Grand Hotel Tettuccio

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Grand Hotel Tettuccio

宿はテルメの小さなリゾート地のメインストリートに面していて、しかも緑に囲まれた気持ちの良い環境で、天気が良ければ朝食は外なんだって。

 

23日(月)ピサへ二泊します。ここは今回の中でも最高中の最高!・グラン・オテル・ドゥオーモ

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Grand Hotel Duomo

トップの写真がピサの宿からの眺め!この写真でも分かるように、屋上ベランダでパーティができるようになっていて、結婚式やイベントが行われています。このベランダにはガラス張りの食堂があって、そこでも食べられる。もーほんとに最高だ!中世ヨーロッパの奇跡と言われた、ピサの大聖堂と世界七不思議の斜塔が近いっ!やっぱり、トスカーナはイタリア中で最も人気の高い州だけあって、宿の数も質も全然違います。ここに泊まれるなんて嬉しい。一人では間違っても泊まらないので、みんなと一緒だから、夜はベランダで奇跡の広場を鑑賞してゆっくりしよう。

 

25日(水)ルッカへ二泊。アル・トゥスカニ

本当はルッカ最高の宿へ泊まりたかったんだけど、やっぱりベッド数の関係で最高はならず。残念!だけどここだってなかなかです。ルッカはイタリアでも稀に見るロマネスクの街なんだけど、宿も、床や天井など微妙に中世の香りを残した雰囲気です。

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Al Tuscany

正直言って、壁にかかってるフェルメールが気にくわない(プンプン)。ルッカ最大の芸術家の作品を飾って欲しかったけど、仕方ない。街のど真ん中で、気軽に帰ってこられるから、町中歩き回りましょう。

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via cenami

宿のある通りは、最大のフィッルンゴ通りのように、大勢の人でガヤガヤしていないのにおしゃれなお店が軒を連ねる素敵な場所。これはお隣の食堂。宝石店や洋服屋さん、最もイタリアらしいのは写真にあるような画廊です。古地図、近世の版画、油絵など、こんな物が掛けられるような家で暮らせたら素晴らしいのに・・。

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Daniele Squaglia

28(土)フィレンツェへ。

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Soggiorno Isabella De Medici

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Soggiorno Isabella De Medici

最後の晩はフィレンツェへ泊まります。「イザベッラ・デ・メディチの宿」という、名前だけ貴族的なB&Bは何が何でも駅に近い!無駄に時間を使いたくなかったので、ルッカから入ってすぐに、行動できるよう駅近どころか駅前です。

 

全体を見ると、グランの付くホテルが二つもあって、どうしてもロンバルディアより良い宿が揃っています。これは何と言ってもトスカーナの力です。しかもトスカーナ三大都市フィレンツェ、ピサ、ルッカ)なのでこういう結果になりました。ロンバルディアは巡礼度が強く質素なのに対して、トスカーナは派手な明るい印象です。

 

お待たせしたし、モンテカティーニでは嘘つきになりましたが、むしろゴージャスなところに泊まれるようになったので、お許しください。何かあったらラインしてね。旅がワクワクしてきたでしょ💖

 

 

 

本と家と人生と

一昨日、伸ばし伸ばしになっていた本棚を買いました。兎に角本が増えて、家が潰れそうになるので、如何に必要な本だけ残して捨てるかとか、どうやって整理するかが重大問題です。私立大学の教授になってテレビにでも出れば、書庫が作れたりするんでしょうが、貧乏講師には永遠にできません。なのでひたすら軽くすることを目標にしました。

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一応並べた

古い本棚を猛然と叩き壊して、昨日は1日身体中筋肉痛でした。その本棚は私よりもずっと年上で親族に伝わる物。自分の部屋を緑基調に変えた時に、合わせて塗りました。大変お世話になったので全部壊す前に一応写真を撮りました。完全に自分の為に。

 

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壊しかけ

壊してる時に実感したのですが、物凄くしっかり出来ていて、とても今は作れない頑丈さと丁寧さで、釘の打ち方から、裏の板の仕上げまで、中世の職人仕事が生きているのを感じました。

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抜きまくった釘の一部

歴史の勉強をしていたり、毎年ヨーロッパへ出かけていると、如何に現在の日本の様々な物がチャチか痛感します。軽くて小さい方が便利で現実的な上、大量生産品が当然経済的なので、そういった代物が増えるのはごく自然なことです。でも、本棚一つ作るにも、昔は職人さんの誇りがあったろうなと思いました。今は、そういった人は極めて限られた人達で、そういった物を使える人も本当に一握りでしょう。かつては全てが手作りだったのだと思うと、ウィリアム・モリスでなくともアーツ&クラフト運動を起こした人々の気持ちが理解できると同時に、それが失敗したのが当然だということも残念ながら解ります。

 

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こういうの結構好きです

ぶち壊すのに使った道具は、ハンマーと巨大釘抜きなど。これから電鋸が登場して、捨てられるように小さく切らなければなりません。私は、いろいろ自分でやるのが好きなので工具も子供の頃から慣れています。

 

古い本棚を壊して、新しい本棚を組み立てるのは簡単でしたが、問題はそこへ並べる本。できる限り処分しようと必死に減らします。生徒の皆様、イタリア語や英語の読み物などいりませんか?貰ってください。中上級の綺麗なテキストが何冊もあるよ。多少イタリアのファッション誌とかもあります。お料理の本は皆無だけど車の本がある。イタリアの地図や観光案内パンフなども。ロックの本もある。そんなとこかな。

 

可笑しかったのは、初めてイタリアへ留学した時に買ったペーパーバック。中世の巡礼に関するものを当時から読んでいたので「巡礼」という題名で買ったんだと思うんだけど、初期にはイタリア語では読めないから英語ですが、読み始めたら難しいので、?????となってほったらかしていました。今日久しぶりに見つけて、パブロ・コエーリョの作品だと気づきました。これは中世史の本ではなく幻想文学だから、分からなかったのは当然だと自分を笑ってしまいました。南米の幻想文学も大好きなので時間があったら読みたいけれど、先に読むべき本が沢山あります。

 

自分に関するもの、写真やノート、手紙などもどうやって捨てるか考えるのが面倒。初めてイタリアへ行った時の写真など見ると、いつだって自分はデブだと思っていたのに、今見るとちっとも太ってなくてびっくりです。当時は体重はなかったけど、丸顔なのでいつだって写真が嫌いでした。今は、本棚叩き壊すのに、体重が役に立つ次第です😂

【講座】2019年春期首都大学東京オープンユニヴァーシティ:イタリアと美術

私のライフワークとなっている首都大学東京オープンユニヴァーシティの講座が開講決定しました。毎年長年連続で開講してるから当たり前のような気もするけれど、毎期で開講するかどうかが決まります。なので万一人数が足りないと開講できないから、どうか登録してください。よろしくお願いします🙇‍♂️

 

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Petrellatifernina

飯田橋校舎では常に西洋美術史を基本に授業しています。この前の冬季は「西洋美術基礎知識」として、古代から現代まで扱い様々な素材に注目して、非常に広く美術を紹介しました。

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中公新書

それとは一転この春は去年、大変親交を深めたモリーゼの研究者との結果、私のロマネスク美術への知識もかつてなく深まったので、日本では紹介されていないマイナーなロマネスク美術を紹介します。この聖堂は池田健二著「イタリア・ロマネスクへの旅」に紹介されています。しかしそこでの解説とは全く違った解説を行います。地元研究者の詳細な研究と、その資料や文献を紹介しながら、ロマネスク美術の持つ読み解きの面白さ、造形の自由闊達さなどが生き生きと伝わると思います。

Petrellatifernina

いかにモリーゼの美術が特徴的であるかを理解するために、当然定番のロマネスクも紹介します。比較研究は基本ですから。

 

Santa Maria della Strada

それと参加者の希望があれば、東京で行われている西洋美術関連の展覧会についての解説にも時間を取ります。

www.ou.tmu.ac.jp

 

一方、南大沢キャンパスでは歴史を中心に見ていますが、このところ数年かけて宗教改革ルネサンスに関連する内容となっています。と言うことは、イタリア史とはいえ、ドイツが半分を占めるのではと言うほど話の中心になってきます。要するにヨーロッパ全体に関わる大問題なので。教科書がありますから、参加者は授業の前に「ルネサンスの歴史」下巻をよく読んでおいてください。

Pisa

私は美術が専門なので、当然美術に現れる宗教改革の時代を、作品を持って紹介もします。この時代はドイツ美術の最盛期でもあり、イタリアとの違いが明確になるでしょう。

www.ou.tmu.ac.jp

 

一人でも多くの参加者を持っています。美術や歴史の好きな方、ヨーロッパへ旅に行くのに、ただ美味しいとか、表面的に綺麗とか言うのではなく、もっと深い楽しみを望む方、ぜひお願いします。ちゃお!

 

【旅】2019年ロンバルディアの宿

毎年恒例の「イタリア美術の旅」で、今年の宿がほぼ決まったのでお知らせします。

 

2019年9月

10(火)Hotel Royal Farcone, Monza

モンツァへは飛行機でミラノから直に向かうので 夜中に宿入りです。

大きなバスルームでゆっくり休み翌朝は高級ホテルの定番朝食、各種パン、チーズ、果物、ケーキに飲み物。クッキーが季節毎に可愛く飾られるらしい。

駅近。

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Hotel Royal Farcone

11(水)Hotel Excelsior, Pavia

駅近の三ッ星ホテル。普通に綺麗で移動には最適。二泊だけど、カルトジオ会修道院へバス乗り場すぐだし、荷物運びにストレスが無いので選びました。

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Hotel Excesior

13(金)Palazzo Malaspina, Piacenza

ピアチェンツァには二泊するので、駅近ではなく歴史中央地区のど真ん中。しかも歴史建造物。部屋は現在できたての真新しい内装です。この辺はよく知ってるけれど、全くど真ん中で素晴らしすぎる立地。天蓋付きのベッドなどもおかしいです。

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Palazzo Malaspina

15(日)Palazzo Tanburelli, Bobbio

これぞ一般のツアーでは絶対に泊まれない、歴史建造物の巡礼宿。中世後期〜ルネサンス期にかけての住人だった貴族の家具などが残っています。天井のフレスコも良い状態です。私たちだけで館を借り切ります!

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Palazzo Tanburelli

16(月)唯一私が行ったことがないヴィジェーヴァノですが、宿自体が少なくて選択の余地がない中、中心広場のすぐ裏で最高点のB&Bです。清潔さでは特に点数が高いので、ま、いいか。名前も気に入ってるし。本当は広場に面した超ゴージャス宿を狙っていたのですがベッドが確保できていません。万一空いたら変更するかも。二泊。

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Locanda San Bernardo

18(水)最後のミラノはマルペンサへのバス発着場と列車の中央駅に近いということで、ゴージャスとか素敵とか言ってられませんでした。普通の三ッ星ホテルですが、それでも壁に巨大なジョルジョーネがあるところなど流石です。

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Culb Hotel

ここは各人日数が違いますが、私は三泊して後発のトスカーナ組もここで迎えます。

ボッビオの宿以外は普通の旅行サイトなどで簡単に調べがつくと思いますが、ボッビオだけイタリア語のコムーネがやっているサイトがあるくらいです。質問あったらいつでもラインしてね。

 

【本】ある巡礼者の物語

題名:ある巡礼者の物語 イグナチオ・デ・ロヨラ自叙伝

訳・注解:門脇桂吉

出版:岩波 2000年

 

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Ignacio de Loyola

写真は当然岩波のではなく、スペインで2017年に公開された映画から取りました。岩波の本は昔ながらの装丁で、青です。岩波文庫ほど売れ線と無関係に出してくれるところはないので、本当に感謝しています。岩波が素晴らしい所は、日本人の解説ではなく原文の訳を出してくれる所。解説、概説はもちろん役に立つし、最初はそこから入るべきとも思うけど、やはり当人が書いた物が当然、最も真実に近い。因みに私はほとんど青か桃色です。岩波文庫は色によって内容が違うんだよ。

 

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Ignacio de Loyola

出てすぐに読もうと思って後回しになっていました。私の授業(イタリア史と西洋美術史)でずっと宗教改革期を扱っているし、世界的に不寛容な庶民的国粋主義傾向が続く中、宗教改革の只中で世界に打って出たイエズス会創始者が気になっていました。読む前は、正直言ってつまらないのを我慢して読むかもしれないと思っていて、頁を開いたら冒頭で訳者が、これは大変読み難い本で・・云々といきなり言い訳のようなことを言ってくるので、そ〜か〜、と思ったのもつかの間、どんどん読めた。感動した。

 

誰でもどんどん読めて感動するとはとても思えないけど、とにかく私は大変感動しました。薄い本で、解説は日本のニュースみたいにただ同じ事をなぞるだけ、みたいな内容が多いので、すっ飛ばしてイグナチオの書いたもの(口述だけど)だけ読めば本当に薄いから、西洋史を勉強する人は絶対に読んで欲しい。

 

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Loyola

まずロヨラの人となりをリアルに感じられ、神の軍隊と言われたイエズス会の大雑把なイメージを修正し、イメージが持てた事。でも何より考えさせられたのは、彼が生きた時代は、西洋史で言うところの宗教改革真っ只中、ルネサンスの合理精神で良くも悪くも近代化された時代。なのに、スペインは全く状況が違ったようで、中世盛期の聖フランチェスコや聖ドメニコにむしろ近いと感じられる、ただひたすらな神への愛を実践し、教皇他権力に逆らわない服従の精神。ペンと言葉で激戦したルターやカルヴァンとは何世紀も違った時代に生きているようなのだ。スペインやフランドルではみんなが恵んでくれるが、イタリアでは誰も恵んでくれないなど、イタリアは近代化されていたのだろうと思う。やたら厳格だったプロテスタントと対照的に改宗ユダヤ人のために家を建てたり、各地へ宣教するに土地の言語を勉強したり、ある意味恐るべき寛容の精神。ザビエルも日本人に感服して、地球の裏側からやってくる気合の入れようだ。とにかく、世界史で習う(学校の世界史なんて入り口でしかないが)西洋史とは随分同じ時代でも、地域により差があることが明確になった。以前から南米に関して、古代に感じられるが実はルネサンス期だったりと、時代感が異なる事を認識していたが、ヨーロッパの中でもかなり差があったのだと実感できた。歴史を勉強する上で、縦軸と横軸の関連は最も重要で一律には説明できないのを、肝に銘じたい。

 

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続けてこれを読みたいと思ってる。ロヨラと、最初のイエズス会士ファーヴル、それにロヨラと同時に聖人となった、日本人には最も馴染みのあるザビエルの本。

 

 

 

【本】ベルニーニ その人生と彼のローマ

非常に面白かった!

 

 

素晴らしい。圧倒的な天才芸術家ベルニーニを、美術史的な視点での作品解説ではなく人生と時代を、末息子ドメニコやローマのゴシップ誌などを資料として描く。大芸術家らしくルイ14世、八人の教皇たちのような歴史を形成する権力者たちとの関係はそのまま西洋史の知識に繋がる。が家族や愛人など個人的な問題はリアルで彼の性格を慮ることができる。問題は、英語で書かれた初めてのベルニーニ伝ということで、イタリア語の個人名が誤っている事が多々あり気になった。作品は読む前に知っておくべき。

 

読書メーター使ってます。読書整理にお勧め。

 

 

この世界一有名な建造物、ヴァチカンの聖ペテロとパウロのバジリカも彼が内外共に大きく関わっている。実は塔があったのを知っている人がどれだけいるだろうか。今も聖堂入り口にその痕跡を見る事ができる。

 

 

彼が華々しくローマの芸術界にデビューしたこの作品には、実はかなり弟子の手が入っている。職人技が圧倒的なだけではなく、大勢を使う美術監督としても、問題はあれども非常な才能があった。その点はラッファエッロと似ている。

 

 

この女性はベルニーニの弟子の妻で愛人。弟に彼女を寝取られたベルニーニは怒り心頭に達し、彼女の顔を切りつけさせる(弟を殴れっ!と言いたくなるが)という恐ろしいことまでしている。そんな彼女を事件後に製作した心境はどういうものだったのだろうか?それとも製作年代が間違って伝えられているのか?

 

 

ローマでの巨大な成功は大勢の敵を産むことにもなり、有る事無い事言われて大きなプロジェクトから外されるという、彼には受け入れ難い状況をどうやって乗り越えたのか?それはひたすら制作に励むことだった。「真実は時が明かしてくれる」というこの像には、時の翁はいない。女性の裸体(この像はチェーザレ・リーパの図像学辞典に載っている「真実」の像)だけが作りたかったように見えてしまう。

 

 

自分は最大の天才だと自認していても、自らの作品を決して褒めることはなかったというベルニーニが唯一傑作としたのが、聖アンドレーア聖堂だった。妻の死後篭ったのも、馬車馬の如く働き詰めの人生で、ほっと一息つくときもこの聖堂へ来た。この聖堂はローマに無数にある絢爛豪華な巨大聖堂の中で、訪問順位はかなり低い聖堂だが、私も初めてここを訪れた時その美しさに驚いた。知らない内に舞台に上がってしまったような感覚に襲われる。空間の全てをデザインした、まさにバロック芸術の宝石箱。

 

ローマへ行く前に読みましょう。断然印象的に街が見えてくるはず。

 

 

ローマの街自体がベルニーニの巨大な記念碑なのだから。

 

 

【イタリアの街】去年訪問した大天使の洞窟から

2018年にはモリーゼ州を訪れ、イタリア20州を一応すべて踏破しました。モリーゼの情報はあまりにも少なく、イタリア観光局や大使館は言わずもがな全く役に立ちませんでしたので、ネットで調べて研究者と思われる、専門的な知識のありそうな人たちとコンタクトを取り大変お世話になりました。

 

 

Sant'Angelo in Grotte

 

 

その中の一人、大天使ミカエルの洞窟を管理するグリエルモさんからお写真が送られてきたので観てください。去年の秋、私たちはここを訪れました。もちろんその時は、しっとりした緑色の風景でした。

 

 

想像を絶する歓迎を受け、小さな町の市長さんたちや愛郷心に満ちた、歴史や文化を愛する人たちとまみえた事には、感謝の気持ちで一杯です。

 

 

旅行代理店を使ってのツアーなら、表面的で部分的な情報(しかも誤っている可能性も少なくない)とバス代で4日借り切ったら一体幾らになるか分からない。昨日、「フェルメール追っかけツアー・ニューヨーク+ヨーロッパ、168万円〜」という宣伝が来ました。びっくりです。フェルメールよりも素晴らしい画家は世の中に幾らでもいるし、どの町もある程度じっくり観なければきっと忘れてしまうでしょう。

 

 

私たちが入った洞窟の入り口だけは、雪かきがされているようです。

 

 

小さな町のメインストリートは雪で埋もれています。イエスの誕生を知らせた星が一つ。不恰好なところが、また愛らしい。あそこを歩いた記憶がくっきりと輪郭を持って浮かび上がる。それは観光バスと飛行機の飛び回りツアーでは絶対にありえない事だと思います。

 

2019年の旅は北イタリアで、既に知人が多いし、モリーゼと違ってずっと拓けた場所だから、人々との関わりも当然違って来るでしょう。どうなることやら。楽しみにしてね🌟

【イタリアの街】ルッカ市と国立市の姉妹都市提携で

昨日は一日通訳接待のヴォランティアをしました。

 

トスカーナ州の街ルッカフィレンツェやピサに次ぐ規模の街ですが、その2都市に比較しずっと中世の街並みが保存されていて、異常な観光化もなく素晴らしいところです。私にとっては大学院に行こうと決めた時に論文の主題に選んだのがこの街の大聖堂にある特別な磔刑像で、個人的にもすごく思い入れのある街です。だいたい今、見てくれているこのサイトの表題もルッカの景色です。

 

そんなルッカと地元国立が姉妹都市提携を進めていて、そのために去年は国立から市長さんらが視察に行きました。私には想像もできない、飛行機入れて三日間の旅です!なので街を観れたのは1日ですが、それでも全くヨーロッパの古都を知らない人にとっては大きな驚きだったようです。

 

San Michele a Foro, Lucca

 

で、今回は二週間ルッカ市長秘書が夫人と一緒に日本に遊びに来ました。飛行機入れないで二週間です。もちろん国立にずっといるわけはなく京都はじめあちこち観光しています。もうすぐ帰らねばならないのが大変辛く、風邪を押して今日も鎌倉、明日は日光と頑張っています。昔は日本人ばかり弾丸ツアーを結構すると笑われていたけれど、そんなことはないよね。世界中の人が旅するようになった今、最初はその国の見所をあちこち回るのが当たり前になりました。きっと昔は旅をできる人が限られていて、そういう人は焦ってあちこち回る必要がなかったんでしょうね。

 

Bancarella dei libri,Lucca 

 

私はそんな特権階級からは極めて程遠い人間ですが、貧乏でも大好きなことを仕事にしたいと思って現在に至っているので、イタリアばかり全国回っています。弾丸ではなくゆっくりじっくり旅するほうが、結局多くの人にとっても思い出深い旅になると感じているので、あんまり移動しない一週間のイタリア旅行を毎年計画しています。できるだけホテルに泊まらないのも特徴です。ホテルはどの国でも似たり寄ったりだし、楽だけど面白みに欠けるのに対して、修道院とか民泊みたいなところはそれぞれにすごく特徴があって、人との付き合いが濃いので印象的です。時には、修道女に怒られたりしますが・・。

 

Torre della famiglia Guinigi, Lucca

 

時期は9月初頭から10月にかけてなんだけど、今年はどこに行こうかまだ決まってなくて困ってるところ。南部の方が体力を要するので、できるだけ若いうちに行った方が良いという気もするんだけど、この数年北部にご無沙汰なのでルッカを含めてその辺に行こうかとか、早く決めないと飛行機が高くなっちゃう!

 

Palazzo Mansi, Lucca

 

今日から「西洋美術の基礎知識・素材編」が始まります。そこでも告知するけど興味がある人は知らせてね。是非一緒に行きましょう!以下に連絡ちょうだい。

 

romanici@gmail.com

 

s.Frediano, Lucca

 

Buon Anno! あけましておめでとうございます

*以前のサイトからの引越しで季節外れですみません。

 

Buon Anno(ブォナンノ)!

Felice Anno Nuovo(フェリーチェ・アンノ・ヌオーヴォ)!

 

謹賀新年

 

Paestum

 

ご挨拶が終わったところで、今年も「イタリア美術と歴史の旅」をするので、新年会兼ねて集まりたい。写真は去年行ったパエストゥム。知れば知るほど古代ギリシャの凄さを思い知らされ、神殿を目の前にして、当時に想いを馳せます。今年もやっぱり9月に発とうと思ってる。

 

Campobasso

 

私がずっと授業している首都大学東京オープンユニヴァーシティの講座は、冬季はちょっと変則です。南大沢は三日間(1月10、17、24日)のプチ集中講座。年末から資料作りに励んでいます。

 

Modigliani

 

飯田橋の講座は1月12日から毎週連続で土曜日の午後を一緒に過ごすことになる。「西洋美術の基礎知識」をしっかり確認。建築、彫刻、絵画だけでなく工芸も視野に入れてるし、現代まで扱うから、すごくバラエティに富んだ内容です💕

 

両方の講座のリンクです

 

西洋美術好きの人たちの交流も深められたら最高です。授業の他に今年のイタリアの旅についても話し合いたいから、ぜひ来てね!待ってる!

 

 

【旅】2019年のイタリアの旅も行きたいところだらけ

*行き先は決まりました。

 

毎年行っている「イタリア、美術と歴史の旅」ですが今年もやろうと思います。何と言っても航空券が安いから、早く決めたい。航空券の値段なんか見ちゃうと、急に現実的になっちゃうよね。

 

Amalfi

 

毎年行く度に、今までで一番良かったって印象を持つのはもちろん素晴らしいことだけど、だからって同じ所ばっかり行っていられない。今年訪問して、信じられないくらいお世話になった建築家、美術史家兼小説家の地方の名士フランコ・ヴァレンテと彼の友人たちへは会いに行くことになると思うけど、モリーゼだけってのもあり得ない。

 

Molise

 

今年は一応イタリア全20州訪問を達成したんだけど、カラーブリアはチラ見だから2019年は、かの有名なリアーチェの兵士が地元博物館へ帰還したので会いに行ってこようかと思います。紀元前5世紀のギリシャ文化がどれ程のものだったか、驚嘆!としか言いようがない。男性美に溢れたあまりに美しく完璧な作二体。

 

Bronzi di Riace(内の一体)

 

でもモリーゼに次ぐ難度の高いカラーブリアの旅について来てくれる人はいるかな〜?今年行けなかったプーリアの最南端(レッチェやオトラント)や有名なマテーラのあるバジリカータと合わせようと思うんだけど・・シチーリアは目の前だから、メッシーナへ渡るって手もあるね❤️

 

Calabria

 

その気のある人連絡してね。romanici@gmail.com

 

 

 

【美術と文化】Buon Natale!赤ちゃんイエス

*2018年の記事を移しています

 

恐るな

私は、民全体に与えられる大きな喜びを告げる

今日ダビデの町で、あなた方のために救い主がお生まれになった

この方こそ主メシアである

あなた方は、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう

これがあなた方へのしるしである

 

 

いと高き所には栄光

神にあれ

地には平和

御心にかなう人にあれ

 

 

世界で最も有名なプレセピオです。ルカの福音書第二章にある通り、天使の大群が空を舞っています。その下には生まれたばかりの赤ちゃんイエスが、もう手をあげて祝福しています。下の写真の真ん中です。壮大なジオラマは驚くほど精密にできていて、民衆の驚きや遠方からやってくる行列などが、これでもかという程細かく再現されています。その中心で、小さいながらも威厳のある美しい赤ちゃんイエスに全ての注目とエネルギーが集約された作品となっています。ナポリの丘の上の大修道院博物館聖マルティーノにて。

 

平和あれ

【美術と文化】Buon Natale! クリスマスとプレセピオ

*2018年の記事を移しています。

 

Buon Natale : ブォン・ナターレ

 

Presepio, Museo, Certosa di San Martino, Napoli

 

今年はナポリで山のように御聖誕風景を拝んで来ました。

プレセ(ゼ)ピオはイエス・キリスト(救世主)の誕生を祝う場面を3次元的に表現したもので、アッシージの聖フランチェスコが本物の赤ちゃんを使って表したのが最初と言われています。カトリックの国々ではツリーよりよほどプレセピオの方が伝統的で、様々な素材やサイズで作られます。あちこちの博物館、美術館にプレセピオのコーナーが設けてあります。特にナポリは圧倒的なジオラマが有名です。

 

この中世末期らしい木彫の場面には、最も大切なものが欠けています。そう、生まれたばかりのイエスGesu' Bambinoがありません。それは明日、最後に置かれるものだからです。明日をお楽しみに!

【生活文化】イタリア式化粧法と

私は生まれつき肌が弱くてアレルギー体質なので、ダメな化粧品もあります。ほんと面倒な体質で嫌んなっちゃうけど仕方ないね。天然なら良いってわけでもなくて、馬油とかサメとか糠とか全然ダメでした😞

 

その上、シャンプーとか化粧品には良い香りがして欲しいのですが勿論どんな匂いでもいいわけはなく、日本で好きなものが見つけられません。大変残念です。日本製は自然に配慮したものは大抵無香料で味気ないし、匂いがするものは安っぽい嫌な匂いがする。何故だろう?

 

そんなこともあってイタリアに行く度に化粧品も買ってきます。何故かリーズナブルなシャンプーとかも結構好きな匂いがするので幸せです。

 

日本ではこのところドラッグストアってのがアメリカ流なのか、お菓子やら衣料品まがいのものまで売ってたりしてよく分からないけど、イタリアの薬屋さんはもっと薬屋さんらしく白衣の薬剤師が必ず居て(最近日本も一応居るね)医療系(自然派)化粧品の説明もしてくれます。

 

今回のお買い物の一部とお土産サンプル

 

エルボリステリーア(薬草屋さん)を基にした自然派のメーカーが好きなので所謂化粧品のお店でなく薬屋さんに入ります。薬草系化粧品を扱ってるお店とそうで無い普通の薬屋さんとあります。今回はFraisMondeの基礎化粧品をいくつか購入。

 

気になった人はどんな商品か分かるから商品のサイトを貼り付けました。イタリア語だけど写真が綺麗。

 

でも旅の最後の方で何故か黛が見つからなくなったので普通の化粧品屋さんへ。

 

全部違ったメーカー

 

金の口紅(ちょー自然な色でつけてる意味あるのって感じ)はミラノのブランド だからお手頃値段。メタリックレッドはイタリアでは行けるけど、日本だと特別な時しか使えそうに無い「(イタリア)らしさ」につい購入。ブルガリの香水は、あまりにお店が素敵だったのでその記念に。日本では考えられない優雅なお店でした。木立に囲まれた庭があってその奥に小ぶりの別荘みたいな石作の一軒家があるんだけど、そこまで怪しい照明で照らされた長方形のショウケースが並んでいて、その中に香水が展示してある。ものすごく入りにくいお店だけど、入ると良〜い香りで一杯で、店主のおじさんもいかにもって感じでした。イゼルニアの話。勿論資生堂も売ってるよ。

 

化粧品屋さんでは日本のように実演してくれます。なんでもそうだけど日本よりずっと気軽なのでいつもやってもらいます。今回は眉毛を描いてもらったけど、日本よりずっと描いてますって感じ。全てにおいてソフトでヤワ好みの日本に対して、強烈な嗜好を持っているので、合わない人は合わないと思うけど私は好きです。以前日本で、500円払って眉を描いてもらうっていうのをよく見かけました。えーこんなんでお金払ってやってもらう意味あるの?みたいな、よく言えば自然な感じ。イタリアはやったね!って感じでビシッと描いてくれる。

 

https://www.youtube.com/watch?v=x6uyOdT1mjI

 

アメリカのお化粧とイタリアのお化粧法を比較したイタリア人のユーチューブ。実際はもっと強烈にお化粧してる人も多いけど、違いがわかって面白い。顔全部やってもらうと、とんでも無いことになって楽しいよ。イタリア旅行の際はぜひお試しください💋

 

【食】バールの違い:人生と・・

イタリアにいる時はめっちゃ元気なんだけど帰国すると、大抵体調が崩れます。向こうの疲れが出たって言い方もあるかもしれないけど、それより帰国は大抵10月に入ってからで喘息の季節なんだよね。本気の喘息じゃないけれど、父がそうだし体質的にアレルギーがあって風邪じゃなくて、咳喘息の軽いみたいなのが毎年のように襲ってくる💀

 

それと写真整理と授業の準備で更新してませんでした。言い訳。

 

バールはイタリアの命。ちょっと前にイタリアについにスタバが上陸したのが話題になりました。スタバはもともとイタリアのバールを元に考案されたから、本拠地ヘ殴り込みって感じです。ほとんどのもの事はイタリアの場合、北部から南部へ広がるので、当分南部へは来ないと思うから一安心。スタバなんか欲しくない。マックがあるのだってすごく嫌だ。アメリカに犯されるのは日本だけで十分ってのが私の勝手な気持ち。

 

ところでバールってBarって書きます。知らない人はバーだからお酒飲むとこかと思うでしょ。でも喫茶店っていうか、立ち飲み珈琲屋っていうかそういうもので、お酒を置いてるとこの方が少ないです。基本メニューは以下。

 

caffe(カッフェ)日本で言うところのエスプレッソ。

cappuccinoカップッチーノ)泡だてたコーヒー牛乳みたいので朝飲みます。

caffelatte(カッフェラッテ)カフェラテじゃない。泡立ってないコーヒー牛乳。

全てホットが基本。冷たいのは観光者向け、新メニュー。

 

あとはジュース類で

succo di arancia(スッコ・ディ・アランチャ)ビン詰のオレンジジュース。いろんな果物あり。

spremuta di pompelmo(スプレムータ・ディ・ポンペルモ)生搾りジュース。柑橘類。

aranciata(アランチャータ)ファンタオレンジ。発泡系、ほとんど果物無関係。

 

お茶はない。

 

Bitonto

 

私はほぼカッフェを注文するんだけど、南部だとカッフェに必ず水が付いてくる。水が有料なのが当たり前なので北部では無い習慣です。で、水をいつ飲むのか議論があって、先か後か?どっちだと思う?先に飲むのはカッフェを愛する者。味がしっかり分かるように、水で口を綺麗にするんだって。後に飲む人は、口をさっぱりさせたい人。カッフェを愛するならこんな事はしない。・・そうです。貴方ならどうする?

 

Giovinazzo

 

1856年からやってる老舗のバール。イタリアができるより前だ!イタリアにはこう言う歴史を感じさせるバールがあって、それも楽しみの一つ。ここにはすごいお酒のコレクションがあって、日本のお酒も幾つもあった。渋谷でDJやったって言うへ〜んな英語を話すイタリア兄ちゃんがお客で来ていて、相手をしてあげました。

 

これを読んでくれた人からいただいたメールで気付いた事があるので、付け加えます。

 

Isernia

 

イタリアではカッフェをブラックで飲む人は多く無い、と言うか滅多に無い。以前も書いたので、またかと思う人もいるかもしれないけど、あまりに象徴的な話なのでまた書くね。それは、私がペルージャに留学してた大昔の話、昼間バールでカッフェを注文したら(座らないでカウンターが基本)隣のおじさんが「(お砂糖は)幾つ?」と聞いてくれました。カッフェに付いてくる、パック入りの砂糖じゃなくて、バールのカウンターに置いてある砂糖壺に入ったお砂糖を、スプーンで掬ってくれた。私が「ブラック(イタリアでは【苦い】と表現する)が好きなんです。」と言うと、おじさんは即座に「人生は甘く(苦いの反対)あっていいはずだ」と答えたのでした。何十年も前の話だけど今も鮮明に覚えています。

La vita dovrebbe essere dolce

 

なんと素晴らしいのでしょうか!ふっつーの中年のおじさんでした。恩師藤沢道郎先生もよく言ってました。「イタリアではその辺の普通の兄ちゃんが皆詩人だ」って。全くです。自分の言いたいことも表現できない日本人と大違い。

 

Brindisi

 

いただいたメールでは、カッフェはブラックで飲むものと思われているようでしたから、違いますって書きたかったのでした。私は疲れている時しか甘くしないけどさ。

 

 

【旅】3回目のMさんの感想

#イタリア旅

 

今まで出会った多くの生徒さん達の中でも、最も熱心な生徒さんMさんの感想文。

 

Pietracupa


今回の旅は二グループあったのですが、最初の旅は余りにも通な場所で、しかもお世話してくれるイタリア人と過ごす時間が長いと思われたため、前半はイタリア語のある程度分かる、イタリアも何回も行っている人限定にしました。Mさんは前半の少人数組。

 

Brindisi



(以下Mさんの感想そのまま)

先生の旅行に参加したのは今回で3回目です。毎回普通のツアーでは絶対に行かない場所、自分だけでは訪れるのが難しい場所に連れて行ってくださいます。

憧れだったプーリア・ロマネスクの聖堂をいくつも訪ね、大巡礼地のモンテ・サンタンジェロに泊まり、フランコ教授の案内でモリーゼ州を回りました。空気も食べ物も人も本当にすばらしく、ますますイタリアの虜になってしまいました。

今回は特に人びとの温かさに感動してばかりでした。私が忘れてしまっためがねを、ビトントのB&Bオーナーは次の宿までわざわざ届けてくれました。フランコ教授は忙しい中、私たちを案内するため二日間も日程をさいてくださり、行く先々でたくさんの方々に歓待を受けました。もちろんSaba先生が日本にいる時からコーディネートしてくれたおかげでもあります。不安な時や疲れている時には旅の仲間が優しい声をかけてくれました。本当に皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

初めて旅に参加した時には四福音書記者のシンボルさえ知らずにいました。聖書の物語や聖人の話など分かるようになると聖堂巡りも説明を聞くのももっと楽しくなります。モリーゼ州は日本のガイドブックにはほとんど出てこない州ですがロマネスクの聖堂もローマの遺跡も立派なフレスコの残ったお城もあり、イタリアにはこうした場所が無数にあるのだと痛感しました。今までイタリア北部は豊かで、南部は貧しいというイメージでした。しかし、本当の豊かさとは何だろう?と考えさせられました。大きな企業もあり、北部の方が収入が多いということだと思われますが、私には南部の方が豊かだと感じられました。人びとは信仰心が厚く親切だし、食べ物も豊かで物価も驚くほど安いのです。

今回の旅で私が受けた数々の親切や優しさを、自分自身も少しでも実行できる人間になりたいと思いました

 

 

Bari

 

なんかすごい。美術の追求から人間の追求へ。

 

Pozzilli

 

南部の方が食物が豊かなのは確かな気がする。空気や気候は絶対に最高。人は最終的には個人の問題だけど、観光客で迷惑してる街の人々と違って、本当にどこも市長を挙げての歓待ぶりで(それは偏にフランコ・ヴァレンテ氏のお陰です。去年はイタリア国政に打って出るような地域の名士なのだ。)、とにかく私たちは大変幸福な時間を過ごしました。

 

 

 

豊かさとは何かというのは、西洋文明の危機が叫ばれるようになって以降永遠のテーマだけれど、特にトランプや石油産出国が代表するように金銭まみれの人々ばかり露出する、現在の反知性的な風潮の中で真剣に向き合いたい問題。Mさんにそう言われてみれば、前半の旅は特に、今ではまともに口にすることさえできないような純粋な人々に囲まれた旅だった。来年もみんな待ってるよ💕

 
西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ