天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【ドラマ・映画】今年の総括

今年もいっぱい映画やドラマを見たので、印象に残ったものをちょっと紹介。今年っていってもいつも通り、私が今年見たっていうだけで、今年の作品とは限らないの。ごめん・・・。タイトル写真は美術史の講師としてはやはり美術作品でってことで、ジョージ・シーガルの作品です。内容にあってるから。

George Segal

連続ドラマではダントツで「復讐人アーギャフ:過去からの刺客」です。トルコもやるじゃ〜ん!ってすっかり感心しました。残念ながら言葉が全然わからないので、字幕頼りだから、本当はもっと違うこと言ってるんだろーなーとか思いながら見たんだけど、それでも素晴らしかった。 2018年に放送されて、国際エミー賞と主演男優賞を取ってる。日本ではすぐには配信されなかったみたい。

アーギャフ

犯罪ものって無数にあるけど、個人的な問題(金銭、痴情、権力などなど)が元で起こる犯罪がほとんどでしょ。そうでなければ愉快犯で元から変態で、場当たり的に誰にでも降りかかるとんでもない犯罪もあるけど。これはそのどっちでも無いのがまずオリジナリティー高い!それで、かなり最後の方まで主人公と犯罪の元になった事件との関係が分からない。何しろ慣れない言葉で人名なんだか地名なんだか最初はオロオロするけど、慣れてくるとすごくいろんな内容が盛り込まれていてよく出来てるのに感心しきり。引退して何年も経つアルツハイマーの老人が猫のぬいぐるみ着て暴れまくるというのも凄いけど、ハンサムな孫や若者カルチャー系の映像もあって、画像も意外にポップだったりもする。

アーギャフ

凄く社会派だから真剣に見るドラマでもあって、都会と打ち捨てられた部落の問題とか、女性の自立(2番目の主人公は、初めての殺人科の女性刑事)とか、記憶をテーマにした人間の生きる意味とか、めちゃ深い内容だった。その上、詩人みたいな口調の人たちが何人もいて、その辺も文化の違いを感じました。見る機会あったら絶対お勧め。 主演男優賞のハルク・ビルギナーは有名な俳優でハリウッドにも出てる。彼が気狂い精神科医をやってるからツイ見ちゃったホラー映画の「ハロウィン」があって、次はホラー映画の話。

キラー・ジーンズ

実は大人になるまでホラー映画って嫌いでバカにしてた。それが歳を追うごとに好きになって来て、書きながら「大丈夫?私???」って思うけど、そーなの。ホラー映画って良し悪しが極端で、見なきゃよかった系の、ただただ馬鹿らしい二番煎じも多いけど、当然そういうのはすぐ見るの止めるかすっ飛ばしながら見たりする。なんでホラーが好きなんだろうと前から思ってて、理由を考えてみると、一番なんでもありだから人間の想像力の限界に挑戦できるところが良い、と気づきました。今回美術でヒエロニムス・ボスを取り上げたけど、ちょっと似てる。

Hieronymus Bosch

どうしたらこんなこと思いつくのか?なるほどそーゆー手があったか!とかいうのが好き。ボスの絵は五百年も前に描かれたのに、全然古臭くないし、当時から今でも絶大なファンがいる。圧倒的多数派じゃ無いとしても、絶大なファンってとこが重要。ホラー映画にもちょこっとそんなとこがある。2021年のスペインの「シッチェス・カタロニア映画祭」で話題を独占したのが「キラー・ジーンズ」です。ボスの作品もスペインに沢山あって、スペインってホラー系産地なのかも。RECもあるし。

殺人トマトの攻撃

大人気のファッションブランド店で、新作ジーンズの発売日前夜に惨劇が起こるんだけど、何と殺人者?はジーンズ。あまりにバカらしく、もー辞めようかと思ったけど、私を離さない何かがあって最後までまともに見ちゃった。見終わったら、凄い!これめちゃくちゃ社会派だ!とびっくり仰天した次第です。トマトが襲ってくる超B級映画のシリーズに始まって、結構、意味不明な物が人間に襲いかかるホラー?もあるから、これもその一種か、と思ってたら真面目な映画だった。ファッション産業の面と裏、特に貧困地帯での子供を使っての労働問題がテーマ。ネタバレだからもうみないとか言わないで、テーマを知って見てもジーンズのポケットを目に見立てて表情作ったり、インドダンス踊ったり結構おかしいしお勧めホラーでした。日本にはコタツが襲ってくるホラーがあるらしいけど見た事ない。

www.ou.tmu.ac.jp

来年の対面講座、5回でローマの美術館を紹介します。ってことはかなり西洋美術の基本を紹介できるかな。どうぞよろしくお願いしまーす💖

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