ずーっと前に感想をいただいていた前回についての感想です。今になってごめんなさい。
「メ―ヘレンとフェルメール」
今回も有意義にして面白い講義ありがとうございました。特にメ―ヘレンの生涯はまるで
講談のように波乱万丈で楽しみました。
メ―ヘレンの事件についてはよく知りませんでした。戦争と革命の時代、20世紀前半に起きた贋作作家によるとんでもない大詐偽事件、面白すぎる。ナチをコケにするなんて痛快で映画、出版が相次ぐのも無理はないです。だが講義が進むにつれ贋作とは何かという問いかけが、単なる野次馬的美術ファン(私です)に対し作品の理解水準を問うてるように思われ、悩み考えさせられ、引き込まれて行きました。
最近ある地方の美術館に行く機会があって、メインは日本、西洋の近現代有名作家のコレクションでしたが、今回の講義の後だったので、この西洋美術の中には贋作があるのでは?という目で見てしまいました。楽しくはないですが、見る側の鑑賞能力を磨くことにはなるかなと思った。美術知識のみならず、時代背景や社会学の勉強になります。そして幅広い観点からの美的センスが身につく。
メ―ヘレン個人については、2つのエピソードから、好感は持てない。
① インドネシア出身の女性と、改宗させてまで結婚したのにバブルまみれの人生を求め離婚。オランダとインドネシアの植民地史を考えると尚更。
② 宗教画で旧約の「ヤコブの祝福」を贋作している。人類史上最初の詐欺事件(オレオレ詐欺)。何たる厚顔無恥。新約のイエス様の顔も卑しくみえる。
講義のもう一つのテーマは「オランダ美術史」でした。
オランダについては、ヨーロッパの中央線にありながら、大国とは違う独特の文化をもつイメージがある。ユーロ前のオランダ紙幣やオランダ切手の余りにもユニークなデザインは忘れられない。また歴史的には反王権のイメージがあるが実は王国。日本の皇室とも仲が良い。講義にあった「女王の見た鹿」の話も納得。あれはウィルヘルミナ女王だろうか。
それはともかく、メ―ヘレンの憧れたオランダ黄金時代を中心に、多くの魅力的な画家が
紹介されました。ハルス、デ・ホーホ、ヨンキントなどが印象に残っています。
その他今回の講義で、個人的に新たな驚きがあったこと。
① 古典の模写の話で紹介されたミケランジェロの初期彫刻『バッカス』。ケンタウルスの姿に注目して見ると新たな感動。
② レオナルドの『アンギアーリの戦い』ルーベンスの模写。これと素描によって大壁画への想像が膨らむ。大俯瞰から寄っていく戦争映画みたいな。板絵は謎の存在だが、下手な模写ともみえる。
③ カラヴァッジョの宗教画に現れる赤いカーテン。驚きの存在感。デヴィッド・リンチ『ツインピークス』の赤い部屋を思い出す。時空を超えた聖なる空間の象徴なのか。ユダヤ教の幕屋だろうか
以上、いつも思い出しながらの断片的感想で申し訳ありません。充実の10回講義感謝です。
この授業の感想で面白かったのは、男性たちはみんなメーヘレンのモテぶりに怒っていたところです。参加してくださる紳士たちとは正反対の自己中男だからね!本当につもありがとう💖