天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【生活文化】イタリア式化粧法と

私は生まれつき肌が弱くてアレルギー体質なので、ダメな化粧品もあります。ほんと面倒な体質で嫌んなっちゃうけど仕方ないね。天然なら良いってわけでもなくて、馬油とかサメとか糠とか全然ダメでした😞

 

その上、シャンプーとか化粧品には良い香りがして欲しいのですが勿論どんな匂いでもいいわけはなく、日本で好きなものが見つけられません。大変残念です。日本製は自然に配慮したものは大抵無香料で味気ないし、匂いがするものは安っぽい嫌な匂いがする。何故だろう?

 

そんなこともあってイタリアに行く度に化粧品も買ってきます。何故かリーズナブルなシャンプーとかも結構好きな匂いがするので幸せです。

 

日本ではこのところドラッグストアってのがアメリカ流なのか、お菓子やら衣料品まがいのものまで売ってたりしてよく分からないけど、イタリアの薬屋さんはもっと薬屋さんらしく白衣の薬剤師が必ず居て(最近日本も一応居るね)医療系(自然派)化粧品の説明もしてくれます。

 

今回のお買い物の一部とお土産サンプル

 

エルボリステリーア(薬草屋さん)を基にした自然派のメーカーが好きなので所謂化粧品のお店でなく薬屋さんに入ります。薬草系化粧品を扱ってるお店とそうで無い普通の薬屋さんとあります。今回はFraisMondeの基礎化粧品をいくつか購入。

 

気になった人はどんな商品か分かるから商品のサイトを貼り付けました。イタリア語だけど写真が綺麗。

 

でも旅の最後の方で何故か黛が見つからなくなったので普通の化粧品屋さんへ。

 

全部違ったメーカー

 

金の口紅(ちょー自然な色でつけてる意味あるのって感じ)はミラノのブランド だからお手頃値段。メタリックレッドはイタリアでは行けるけど、日本だと特別な時しか使えそうに無い「(イタリア)らしさ」につい購入。ブルガリの香水は、あまりにお店が素敵だったのでその記念に。日本では考えられない優雅なお店でした。木立に囲まれた庭があってその奥に小ぶりの別荘みたいな石作の一軒家があるんだけど、そこまで怪しい照明で照らされた長方形のショウケースが並んでいて、その中に香水が展示してある。ものすごく入りにくいお店だけど、入ると良〜い香りで一杯で、店主のおじさんもいかにもって感じでした。イゼルニアの話。勿論資生堂も売ってるよ。

 

化粧品屋さんでは日本のように実演してくれます。なんでもそうだけど日本よりずっと気軽なのでいつもやってもらいます。今回は眉毛を描いてもらったけど、日本よりずっと描いてますって感じ。全てにおいてソフトでヤワ好みの日本に対して、強烈な嗜好を持っているので、合わない人は合わないと思うけど私は好きです。以前日本で、500円払って眉を描いてもらうっていうのをよく見かけました。えーこんなんでお金払ってやってもらう意味あるの?みたいな、よく言えば自然な感じ。イタリアはやったね!って感じでビシッと描いてくれる。

 

https://www.youtube.com/watch?v=x6uyOdT1mjI

 

アメリカのお化粧とイタリアのお化粧法を比較したイタリア人のユーチューブ。実際はもっと強烈にお化粧してる人も多いけど、違いがわかって面白い。顔全部やってもらうと、とんでも無いことになって楽しいよ。イタリア旅行の際はぜひお試しください💋

 

【食】バールの違い:人生と・・

イタリアにいる時はめっちゃ元気なんだけど帰国すると、大抵体調が崩れます。向こうの疲れが出たって言い方もあるかもしれないけど、それより帰国は大抵10月に入ってからで喘息の季節なんだよね。本気の喘息じゃないけれど、父がそうだし体質的にアレルギーがあって風邪じゃなくて、咳喘息の軽いみたいなのが毎年のように襲ってくる💀

 

それと写真整理と授業の準備で更新してませんでした。言い訳。

 

バールはイタリアの命。ちょっと前にイタリアについにスタバが上陸したのが話題になりました。スタバはもともとイタリアのバールを元に考案されたから、本拠地ヘ殴り込みって感じです。ほとんどのもの事はイタリアの場合、北部から南部へ広がるので、当分南部へは来ないと思うから一安心。スタバなんか欲しくない。マックがあるのだってすごく嫌だ。アメリカに犯されるのは日本だけで十分ってのが私の勝手な気持ち。

 

ところでバールってBarって書きます。知らない人はバーだからお酒飲むとこかと思うでしょ。でも喫茶店っていうか、立ち飲み珈琲屋っていうかそういうもので、お酒を置いてるとこの方が少ないです。基本メニューは以下。

 

caffe(カッフェ)日本で言うところのエスプレッソ。

cappuccinoカップッチーノ)泡だてたコーヒー牛乳みたいので朝飲みます。

caffelatte(カッフェラッテ)カフェラテじゃない。泡立ってないコーヒー牛乳。

全てホットが基本。冷たいのは観光者向け、新メニュー。

 

あとはジュース類で

succo di arancia(スッコ・ディ・アランチャ)ビン詰のオレンジジュース。いろんな果物あり。

spremuta di pompelmo(スプレムータ・ディ・ポンペルモ)生搾りジュース。柑橘類。

aranciata(アランチャータ)ファンタオレンジ。発泡系、ほとんど果物無関係。

 

お茶はない。

 

Bitonto

 

私はほぼカッフェを注文するんだけど、南部だとカッフェに必ず水が付いてくる。水が有料なのが当たり前なので北部では無い習慣です。で、水をいつ飲むのか議論があって、先か後か?どっちだと思う?先に飲むのはカッフェを愛する者。味がしっかり分かるように、水で口を綺麗にするんだって。後に飲む人は、口をさっぱりさせたい人。カッフェを愛するならこんな事はしない。・・そうです。貴方ならどうする?

 

Giovinazzo

 

1856年からやってる老舗のバール。イタリアができるより前だ!イタリアにはこう言う歴史を感じさせるバールがあって、それも楽しみの一つ。ここにはすごいお酒のコレクションがあって、日本のお酒も幾つもあった。渋谷でDJやったって言うへ〜んな英語を話すイタリア兄ちゃんがお客で来ていて、相手をしてあげました。

 

これを読んでくれた人からいただいたメールで気付いた事があるので、付け加えます。

 

Isernia

 

イタリアではカッフェをブラックで飲む人は多く無い、と言うか滅多に無い。以前も書いたので、またかと思う人もいるかもしれないけど、あまりに象徴的な話なのでまた書くね。それは、私がペルージャに留学してた大昔の話、昼間バールでカッフェを注文したら(座らないでカウンターが基本)隣のおじさんが「(お砂糖は)幾つ?」と聞いてくれました。カッフェに付いてくる、パック入りの砂糖じゃなくて、バールのカウンターに置いてある砂糖壺に入ったお砂糖を、スプーンで掬ってくれた。私が「ブラック(イタリアでは【苦い】と表現する)が好きなんです。」と言うと、おじさんは即座に「人生は甘く(苦いの反対)あっていいはずだ」と答えたのでした。何十年も前の話だけど今も鮮明に覚えています。

La vita dovrebbe essere dolce

 

なんと素晴らしいのでしょうか!ふっつーの中年のおじさんでした。恩師藤沢道郎先生もよく言ってました。「イタリアではその辺の普通の兄ちゃんが皆詩人だ」って。全くです。自分の言いたいことも表現できない日本人と大違い。

 

Brindisi

 

いただいたメールでは、カッフェはブラックで飲むものと思われているようでしたから、違いますって書きたかったのでした。私は疲れている時しか甘くしないけどさ。

 

 

【旅】3回目のMさんの感想

#イタリア旅

 

今まで出会った多くの生徒さん達の中でも、最も熱心な生徒さんMさんの感想文。

 

Pietracupa


今回の旅は二グループあったのですが、最初の旅は余りにも通な場所で、しかもお世話してくれるイタリア人と過ごす時間が長いと思われたため、前半はイタリア語のある程度分かる、イタリアも何回も行っている人限定にしました。Mさんは前半の少人数組。

 

Brindisi



(以下Mさんの感想そのまま)

先生の旅行に参加したのは今回で3回目です。毎回普通のツアーでは絶対に行かない場所、自分だけでは訪れるのが難しい場所に連れて行ってくださいます。

憧れだったプーリア・ロマネスクの聖堂をいくつも訪ね、大巡礼地のモンテ・サンタンジェロに泊まり、フランコ教授の案内でモリーゼ州を回りました。空気も食べ物も人も本当にすばらしく、ますますイタリアの虜になってしまいました。

今回は特に人びとの温かさに感動してばかりでした。私が忘れてしまっためがねを、ビトントのB&Bオーナーは次の宿までわざわざ届けてくれました。フランコ教授は忙しい中、私たちを案内するため二日間も日程をさいてくださり、行く先々でたくさんの方々に歓待を受けました。もちろんSaba先生が日本にいる時からコーディネートしてくれたおかげでもあります。不安な時や疲れている時には旅の仲間が優しい声をかけてくれました。本当に皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

初めて旅に参加した時には四福音書記者のシンボルさえ知らずにいました。聖書の物語や聖人の話など分かるようになると聖堂巡りも説明を聞くのももっと楽しくなります。モリーゼ州は日本のガイドブックにはほとんど出てこない州ですがロマネスクの聖堂もローマの遺跡も立派なフレスコの残ったお城もあり、イタリアにはこうした場所が無数にあるのだと痛感しました。今までイタリア北部は豊かで、南部は貧しいというイメージでした。しかし、本当の豊かさとは何だろう?と考えさせられました。大きな企業もあり、北部の方が収入が多いということだと思われますが、私には南部の方が豊かだと感じられました。人びとは信仰心が厚く親切だし、食べ物も豊かで物価も驚くほど安いのです。

今回の旅で私が受けた数々の親切や優しさを、自分自身も少しでも実行できる人間になりたいと思いました

 

 

Bari

 

なんかすごい。美術の追求から人間の追求へ。

 

Pozzilli

 

南部の方が食物が豊かなのは確かな気がする。空気や気候は絶対に最高。人は最終的には個人の問題だけど、観光客で迷惑してる街の人々と違って、本当にどこも市長を挙げての歓待ぶりで(それは偏にフランコ・ヴァレンテ氏のお陰です。去年はイタリア国政に打って出るような地域の名士なのだ。)、とにかく私たちは大変幸福な時間を過ごしました。

 

 

 

豊かさとは何かというのは、西洋文明の危機が叫ばれるようになって以降永遠のテーマだけれど、特にトランプや石油産出国が代表するように金銭まみれの人々ばかり露出する、現在の反知性的な風潮の中で真剣に向き合いたい問題。Mさんにそう言われてみれば、前半の旅は特に、今ではまともに口にすることさえできないような純粋な人々に囲まれた旅だった。来年もみんな待ってるよ💕

 

【旅】初めて参加のYさんの感想

Yさんが書いてくれました。いつものようにそのまま貼り付けます。


ナポリ10日間の旅
美術館、博物館、教会をシャワーを浴びるようにイタリアの美術に触れた旅でした。
東京の美術館で絵画鑑賞するのとは全く別世界でした。
一歩建物に入ると天井から柱、壁、床に至るまで丸ごと美術品でした。
広大な敷地に建つカポディモンテ美術館では、途中バールで休憩し再入場をして、暗くなるまで鑑賞を続けました。美術館がこんなに遅くまで開いているというのも驚きました。
移動は基本的に地下鉄とバスだったのですが、帰国の前日ストライキに遇いました。それでも目的地までのバスは動いていたり、目の前で客をおろしたタクシーに乗れたり、こんな偶然あるんだ!と思うほどスムーズに移動できました。
特に印象に残ったのは、サンセヴェーロ礼拝堂です。
「ヴェールに包まれたキリスト」は、本当の人くらいの大きさで、床の上に展示されており、ぐるっと回って見られます。同じ像でも見る方向で変わって見えました。彫刻というより本物のキリストがいるような感覚で、彫刻であることを忘れてしまいそうな像でした。
すべてが初めての体験で、非日常をワクワクドキドキしながらの10日間、まさに冒険の旅でした。
同時に、見れば見るほど自分の不勉強さを思い知り、これは再訪しなければと強く思う旅でもありました。

 

Cappella San Severo, Napoli


真面目に鑑賞したり、説明を聞いたりしていれば誰でも、いかに自分が知らないかと思うことでしょう。そして知れば知るほど面白くなって、自分の知識の広がりとともに、世界観まで変わってくるかも知れません。


本当のキリストはあのような西洋人の顔をしていません。もっとシリア系の顔立ちだったはずです。でもあれはまさに西洋人が思い描く、ヨーロッパ化されたキリスト教の理想像の一つだと思います。技術はあまりにも素晴らしく、石であるのが不思議ですが、作者のサンマルティーノはあれに心血を注ぎすぎたため、他の作品があまりありません。私としては、このことは残念なことですが、ある意味芸術家と作品の関係という点で得意な作品でもあり、興味を引きます。


Yさんはとても周囲に気を使う人で、そのためなかなか書きたいことが書けなかったようです。ネット上には醜い個人攻撃や誹謗中傷もありますが、そんな内容でさえなければ、自由に思ったことを表現することが本当の感想だし、芸術の本質に通じることではないでしょうか。自由な感想もお待ちしています。彼女は今回申し込んだのが非常に遅く、飛行機代がみんなよりかなりかかりました。それにも関わらず、行きたいという強い意欲があったから一緒に旅ができました。必ずまた行けるでしょう。


*ちなみにこの聖堂は一切写真禁止なので、ナポリのイベント時の写真を使わせていただきました。他には私のサイトには、美術書や聖堂サイトの写真を転用させていただいてます。 

【食】驚愕のお料理と異常な日本賛美

イタリアは世界の三大料理国の一つ。と言ったって三つってどこ?イタリア、フランス、中国?今では日本も間違いなく入るだろうし、他にも美味しいものがあるとこはきっとたくさんあるけどま、良いか。

 

Antipasto misto di verdura, Molfetta

 

フランス料理はイタリアのメディチ家から大きく発展したというのは通説だけど、でも考えてみると根本が大きく違う。私に言わせれば、凝りに凝ったフランス料理と素材の新鮮さを生かした単純さが輝くイタリア料理。私は完全に料理の素人だから、勝手に言ってるんだけど、もともと私の食生活は和風ではなくてフランス料理もイタリア料理も好きなので、日本人にしては食べてる方。

 

 

Insalata mista, Mozzarella, Pozzilli

 

ところで、このところテレビで一年中、外国人に日本を褒めさせる番組をやってるでしょ。大嫌いです。そんなに褒めてもらいたいのか?自信が持てなくて悲しい感じがする。日本は十分特異な文化を持ってるんだからそれで良いじゃないか、って思う。

 

Pasta alla pescatore,Bitonto

 

イタリア人だって、「美味しいか?」とか「イタリアは好きか?」って聞くよ。でもしつこくしちゃいけないよね。しつこいってのはいつだってかっこ悪い。なんでこんな話してるかっていうと、連続で、フランスと違って日本の野菜は美味しい、ってテーマの番組を見たから(私はちら見だけど、母がしっかり観ててさ)。そんなのおかしくない?フランスは自給自足できない日本と違う農業大国。イタリア人が日本の野菜が美味しいって言ってるのもやってて、それじゃまるでフランスやイタリアの野菜はまずいみたいに聞こえる。私が感じるのは、美味しい野菜が違うってこと。トマトは百倍イタリアが美味しいけどかぼちゃは百倍日本が美味しい、みたいなね。

 

 

話戻って、今回の旅ではかつてない程美味しいものがたくさん食べられました。なんたってプーリアはイタリアの食材供給量ナンバーワンなんだから当たり前の気もするけど、パスタの種類もたくさんあるし、予想を覆すパスタも食べた。っていうかとても食べきれなかったんだけどね。

 

Spaghetti all'assassina, Molfetta

 

また行きたいレストランも幾つか見つけた中で、一番強烈だったのはモルフェッタの、その名も「女暗殺者のスパゲッティ」。名前に惹かれて質問したら、最大の地元料理で売りだけど二人前以上じゃないと作れないというので二人で頼みました。それが上の写真のパスタ。ゲーーーキーーーーーーーーーーーカーーーラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!

見てもわかるけど、匂いとか、なんていうかもう空気が辛い!味はすごく美味しいんだけど、平らげたら胃に穴あくんじゃないかって勢いでした。一般にイタリア人は日本人ほど辛いものを食べない。カラーブリアが辛い料理で有名なんだけど、プーリアの海沿いの、最高に爽快な青空の元、この異様な辛さは何なんだって!びっくりでした。辛いもの好きの人に食べてほしいなー。レストランはモルフェッタのLa Rosa Marinaです。ロケーションも最高だよ🚢

 

 

【イタリアの街】結婚式の季節

私たちが発ったのは9月11日でした。私は一ヶ月弱滞在して、その間に二つのグループが10日ほどの旅をしました。(プーリア&モリーゼ組とナポリとその周辺組)実はほぼ同時に別の生徒さんたちもイタリアへ来ていました。彼らはウンブリアを中心に回っていたので会うことはありません。

 

Molfetta

 

その間に3組とも結婚式に遭遇しました。私など何度見たか数えきれないほどってくらいです。9月と6月は一年のうちで最も良い季節。だから結婚式も集中する。日本だったら雨や台風の季節だけど、地中海はとにかく最高です。

 

Procida

 

私の友人達も含め、イタリアで一般的なのは、教会で式をあげること(もちろんキリスト教徒に限る。日本の無節操ビジネス教会とは全く違う。逆に宗教的に思想のある非キリスト教徒たちは役所で調印。)、良いレストランで食事する。名所で撮影しまくる。ですが、やはり北部と南部ではあらゆる点で南部の方が面白い。派手、騒ぐ、町中暴走する。とにかく冠婚葬祭にかける費用の感覚が違う。プローチダは決して大きくない島だけれど、新郎新婦を先頭に数台の車を連ねて町中走り回り、プカプカ楽器を鳴らしながら結婚のお知らせをしていました。

 

Roma

 

本当にあちこちで見かけたんだけど、心底良いなと思ったのは、お任せでないこと。業者が司会して、わざとらしい手紙の読み合いとか当然ない。友人や親戚一同がとにかく盛り上げる。街を歩いているといきなり楽隊がやってきたり、ハリウッドみたいなドレスを着た女性達が歩いて来たりしたら、近くで結婚式が行われている証拠。式っていうよりパーティか。式は教会だからね。

 

Bitonto

 

ビトントで私たちが昼食をとっていたら、その建物の裏で大騒ぎが聞こえてきました。ちょっとした空間に大勢が集まって、歌ったり踊ったりして大音量が町中に響いてる。年配の女性出席者は大音量が苦手なのか、みんなから離れて見ていたけれど彼女も袖がレースになったお洒落スーツを着ていたので親族でしょう。

 

ナポリの夜、宿から歌声と歓声が聞こえてきて何だろうとベランダへ出でみたら、向かいのベランダのお兄さんが、あれはナポリ人の歌手で明日結婚するからその前夜祭をやってるんだと教えてくれました。駅からさほど離れていない通りなんだけど、大勢が集まって何曲も大合唱。なんか演歌っぽい感じの曲でナポリっぽかった。部屋着じゃなかったら出て行きたくてたまらなかった。だってすぐ下だったんだもん。夜中の12時にパッタリ止んだけど、日本では近所の人が煩い事言ったりして、ビトントの大騒ぎもプローチダの暴走もナポリの野外コンサートもできないんだろうなと思うと寂しかった。何でも業者任せじゃない、自然な社会環境がイタリアの方がある気がしたのは、私だけではありませんでした。ある生徒さんなんか感動して泣いちゃったくらい。

 

9月は結婚式がたくさん見られて幸せな気分になれるけど、逆に聖堂が見たい人にはネックになるのでそこだけ注意。見られなくても広い心で祝いましょう💕

 

 

【イタリアの街】ナポリのルッカに一人で感動

私はずっとトスカーナ州の街ルッカ司教座聖堂に祀られる磔刑像に取り憑かれて来ました。ですが今回の旅は、プーリア、モリーゼ、ナポリという南部だけの旅でトスカーナにはかすりもしませんから、ルッカ磔刑像ヴォルト・サントについての発見があるとは思っていませんでした。プーリア州のビトントの司教座聖堂のヴォルト・サントはとっくに知っていたので再会を楽しみにしていました。

 

Porta di Volto Santo di Lucca, Bitonto

 

それともう一つ、聖堂としての機能はすでに失われていますが、ナポリの旧市街ど真ん中にルッカの十字架と言う名の聖堂があるので、調べたいと思っていました。

 

 

Chiesa della Croce di Lucca,Napoli

 

勝手に一人で盛り上がって感動しました。まごうことなきヴォルト・サントです。修道女たちに囲まれた磔刑像は、とても柔和な印象でオリジナルとは全く似ていませんが、しっかり修復されているのが私には大きな喜びでした。

 

左手にちらっと見えているのが元聖堂

 

 

 

ナポリのカオスの中、このフレスコに気付く人はまず居ないでしょう。この辺は広場と道路が整理されていない不思議な空間になっていて、ルッカの十字架聖堂は落ち着かない空間の真ん中に建っています。

 

 

引いて撮影するのが難しい状況で逆光でもあり良い写真ではないですが、小さいながらも厳粛なルネサンス建築で、派手なバロック建築の嵐のナポリにあってトスカーナの雰囲気を伝えています。聖堂は完全に修復中で閉まっています。次回は事前に約束を取り付けて入れてもらおうと思います。

 

このフレスコの状態の良さに気分が上がっているところへ、さらに思っても見ない発見がありました。ナポリにはスフォリアテッラとババという二つの伝統菓子があって、現在もうんざりするほど至る所で売っています。

 

 

これはナポリの心臓、上品な人は通るのが大変な地区にあるスフォリアテッラ屋さんで撮影しました。スフォリアテッラとは、紙が幾重にも重なったっていうような意味で、フランス語のミルフィーユもほぼ同じ意味。要するに薄ーくした生地を何枚も重ねて上手に焼くのがお菓子職人さんたちの腕の見せ所だったのかもね。ユダヤ起源だとかアマルフィ修道院だとか色々言われますがとにかく有名です。正直言って何箇所かで食べたけど、ずっしりしたパイ生地が私の好みではありません。でも本場の専門店で一回買ってみようというので行ってみたら、なんとその中にルッカのスフォリアテッラがありました!びっくりです。だってミラノのとかパレルモのとかローマのとか、あちこちのものがあるなら分かるけど、あったのはルッカのだけ!あとは皆ナポリのスフォリアテッラでした。ナポリのものより中身が凝っていて、歴史的にナポリに根付いたルッカ人の痕跡を実感。

 

こんなことで喜んでるのは私一人ですが、雇われ貧乏講師なんて好きでなければやってられない証拠です💘

 

 

【旅】イタリア初心者の感想

M子さんが感想を送ってくださいました。 

Gusu Nuovo, Napoli
  

お土産は聖キアーラ修道院のあのチョコレートが好評、食べれるの?飾ってから食べるなど喜んでもらえました。ビデは以前使い方を知らなかったので顔や体を拭きました。教えていただいてありがとうございます。ホテルはどこも良かったです。皆で食事を作って食べるのもゆっくりできて楽しいですね。

 
Santa Chiara, Napoli
 

私は外国で教会に行ったことがありません。今回初めて教会に足を踏み入れるやいなや展開した別世界に息を飲みました。広く高く豪華で荘厳な世界はまるで天国で圧倒されました。そしてこの様な教会を作るにはどれ程の資金、時間、労力、技術等がかかつたのだろうと思いました。毎日が驚きと感動の旅でした。遺跡、美術館等は言うまでもなく、カタコンベ見学の帰り道に路地を歩きナポリの人たちの生活を垣間見たこともおもしろかったです。治安を気にしていましたが、住んでいる人たちは気さくで親切でナポリが好きになりました。

 

Paestum
 

M子さんは私の首都大学東京オープンユニヴァーシティの講座「西洋美術史(主にイタリア)」にずっと参加してくださっています。私は授業中に、参加者へ疑問か感想を述べるように要求します。関心の持ち方は人それぞれですが、彼女も個性的な感想を持つ一人で、それだけに本当に関心を持ってくれているのが伝わります。写真は嫌だというので、2枚目の後ろ姿も彼女ではありませんが、それぞれの場所で驚嘆しているのがよく分かりました。初心者の感想は常に大切です。そういう目で見た時期が私にもかつてあったと思うけれど、ほとんど忘れてしまっているから。ちなみにナポリ組は、ホテルはサレルノでしか使っていません。あとはB&Bだったのでみんなで食事を作るようなことになったのです。と言っても、いわゆる料理はしてないけどね。モリーゼ組ではあまり作らなかったので、ナポリ組の人たちは良き主婦が揃っていたのでしょうか?今回は、私の”コテコテ”ナポリと周辺の旅に参加してくださって本当にありがとう。感謝します💖

【旅】お土産、食べ物編

正直言って、私は食にお金や時間をかけたくない方です。

お金や時間は、聖堂、博物館巡りや入館料、書籍、次に衣類に使います。

 

とか言いながら、イタリアではめっちゃくちゃ美味しいものや料理店が目白押しなので、結局食べています。何しろ日本だったら、ぺっら〜っと数枚入った生ハムが何千円もしたりするけど、イタリアなら食べ放題的に百倍美味しいものが食べられる。大げさっていうけど、そうじゃない。美味しいかどうかは、かなり新鮮さにかかってるから、スライスしてパックになってるだけでもうアウト。

 

で、隠して生ハムとか持ち込んじゃう人の気持ちも分かるけど、マトモに持って帰れるものだけ。

 

 

今回はお土産も、私にしてはかなり買って帰りました。一目でわかる通り私にとって重要なのがコーヒー。ナポリの誇るパッサラックァからスーパーの経済的なものまで色々買いました。キンボも有名なコーヒーで、日本でもこれを使ってるイタリア料理店が結構あります。スタバが嫌い(めっちゃコスパが悪いと思う)なので自分で美味しいコーヒーを入れます。

 

で、今回絶対買って帰ると決めていたのが、コーヒーカップ。写真じゃわからないけど、これは日本ではなかなか売ってない。肉厚のぶあつーい奴でないとダメ。内側にもNapoli e...て書いてあって、ナポリ湾の絵付き💕 お土産屋さんとか、日用品店とかに売ってるのじゃなく、スパッカナポリの超地元チーなカッフェの奥のショーウィンドーにどーでもいいように置いてあったのを売ってもらいました。イタリアのカッフェって不思議な場所で本当に有益だから大好きです💖 あちこちにあって、長い時間やっていて、地元の情報が満載で、トイレを貸してくれて、困った時には色々と助けてくれる。今までどれだけカフェにお世話になったかしれません。そんなカフェは、日本のお歳暮のお土産みたいな菓子折りとか、コーヒー関連の様々な商品をな〜に〜げなく売ってたりします。今度行ったら注意してみてください。意外に面白いよ。

 

コーヒー以外には、レモンパスタ数袋。正しくアマルフィで買いました。日本では地元国立のお店でトスカーナ産のを買ったりするけど、柑橘類は圧倒的に南部、しかもティレニア海のもの。

 

 

国立のストラーダビアンカ。素敵なお店。覗いてみてね。

http://stradabianca.net/

 

あとはお菓子類。お土産には一番配りやすい、いっぱい入った袋物(写真には写ってない)は大学の人たちへ。レモンと木ノ実のヌガー各種。杏ジャム、などなど

 

一番綺麗なのは、写真では判別不能だけど聖キアーラ修道院のお土産さんで、みんなと一緒に買ったチョコレート。ナポリの聖キアーラは、とにかく陶器で全面覆われたロマンティックな中庭でとっても有名なんだけど、流石ナポリ一の観光地の一つとあって、お土産も揃ってた。チョコレートは回廊の陶器の柄を絵にしたものですごく良くできてる。しかも美味しい!

 

 

袋が反射してるけど、本物みたいにお城の絵が描いてあるのだ。

 

あと中世音楽家の友人、櫻田亨さんにリュートの小瓶に入った甘草のお酒。

彼のサイトです。音楽好きの人是非みてね。

http://www.lutelute.com/blog/

 

 

それにサレルノ一の眺望を持つ、薬草園で買った薬草茶。

 

 

サレルノは世界初の医学校ができた場所。中世の頃の医学っていうのは薬草の研究が中心。体質別に様々な薬草が植えてあって、中世の写本に従って造園されている。すっごく素敵なところだった。色んなお茶とかクリームとかを、いかにも自然愛好家って感じのお兄さんが売ってる。フィレンツェのサンタマリアノヴェッラ薬局ばかり有名だけど、こっちの方が本家本元。葡萄棚の下の方にはテーブルがあって、ティレニア海がキラキラ光るのを眺めながら、気持ちい〜風に吹かれて、すっごく美味しいお茶をゆったり飲みました。ごった返す、システム化されたフレンツェの薬局とは正反対に、私たちだけで豊かな時間を満喫。その上、みんなでお茶やクリームを買ったら、お茶代は無しにしてくれた。グラツィエ・ミッレ!

 

【旅】運転手との会話からみえてくる文化の違い

帰国した日、地元の駅から家までタクシーに乗りました。荷物だけならバスを待つけど雨だったから。

 

私は、色んな人に話しかけられやすいタイプです。道を聞かれるのは得意技です。電車で子供に話しかけられたり、中高年の女性に洋服のことを聞かれたり。タクシーの運転手さんもよく色々話して来ます。やたら説教くさい人には辟易します。今回は、私がいない間に起こった強風で、自分のバイクが傷つき大損害だという話でした。

 

イタリアでも運転手さんたちとは必ず会話します。勝手に向こうが喋りまくるおじさんの場合もあるし、私の質問に律儀に答える若者もいるし、時にはこっちのことを聞いて来る女性もいます。

 

女性が一人で観光地でもない史跡などへ行くのが珍しいのか(確かに日本でもそれほどないか)、色々質問して来るのですが「何歳か?」と「結婚してるのか?」はほぼ必ず聞かれます。その時々で雰囲気に合わせて適当に答えるのですが、その場合はほとんど誘って来ます。ナポリのオヤジは「昔日本女性と付き合ったことがあって楽しかった。今は奥さんと小さな娘が家で待っている。俺は家では妻と娘のもの、外では全ての女性のもの!」とイタリア男の名を世界に轟かす発言をしまくりました。フランスでバスに乗った時もそうでしたし、今回は列車の車掌さんが、他のお客がたくさんいるにも関わらず、私の向かいに座って「お茶を奢りたい」「連絡し合おう」と粘って来ました。うーん、それよりみんなの切符チェックしようよ〜。

 

とにかく口説くのが生活の一部となっている人の割合が、日本人に比較し圧倒的に高いのは間違いありません。日本でタクシーに乗って「結婚してますか?」「お茶しませんか?」とか言って来たら、どうでしょう?そんな人滅多に居ないから事件に発展するかもしれないって、感じさえします。(実は日本でも、結婚してるのか?って聞かれたことあるけど)

 

そう言う頭の人たちと違って、自分の町やイタリアの社会問題もしょっちゅう話題にします。ナポリの運転手マウロは、まさに困った時の神の贈り物のような人でしたが、ナポリの市長が変わったことで街の治安や、改造計画が大幅に改善されたとか、不法外国人問題とか、デモとストについて、政治家と税金の話とか熱烈に話しました。そう言う人は面白いのでこちらも色々質問しますから、街の人の意見や時事問題に触れることができ、私には貴重な時間です。

 

頑張りまくってくれたモンテサンタンジェロのタクシー運転手

 

フォッジャからモンテサンタンジェロ、モンテサンタンジェロからカンポバッソと、長い距離を頼んだアントニオは叔父さんのタクシー会社で働く真面目な若者。最初に告げられた値段を大幅に値切ったにも関わらず、カンポバッソではイタリア人ならではの超絶技巧で、車幅ギリギリもいいところの中世の路地をグルグル周りみんなを驚かせました。結局車が入れない道だったのだけど、家に入るまで責任を果たそうと奮闘してくれました。私の質問、現在イタリアで流行ってる話題、音楽、物とか、モンテサンタンジェロの地元の人の考え(観光客でごった返すプーリア1の聖地なので)とか、サッカーの話から政治までといった具合ですが、どれも一生懸命考えて説明してくれました。彼はとても信心深く、祠(聖母子像とか大天使聖ミカエルとかピオ神父とか)の前を通過するたびに、十字を切り小さくキスするのでした。

 

イゼルニアのバスは彼が守っている

 

実際は写真よりだいぶカッコ良かったのは、イゼルニアのバスを一人で死守する(かっこ良かったと言いながら、名前を思い出せない・・)運転手。前半の旅の最後の街がイゼルニアだったので一人で町中巡っている時、歩き疲れてバスに乗りたいと思って待っていると、来るバスの運転手は3回中3回常に彼でした。バス停はあちこちにあるし、路線も一つではないはずなのに謎でした。街を循環するバスなので、駅周辺では大勢人が乗りますが外れると人はいなくなり、最後には私一人になりました。イタリアのバスではしょっちゅう見かける光景ですが、乗客が運転手の背中に張り付いて話しかけ続けるので、運転台の後ろには「運転手に話しかけないでください」と警告が書いてあります。日本では見たことがない。私の時も、彼は何人もの人を相手に話を聞いていて、乗客が私と二人になった時に、待ってましたとばかりに中高年女性が、最近変わったらしい市の条例の話を声高に始めて彼に意見を求め続けるのでした。下らない話しも個人的な内容も社会問題も一気に引き受ける、大変な役目です。

 

いつも書いているけれど、日本人ももっと自分の住む街の問題を真剣に考えるべきだと思います。意見を持たないように暮らしてきた日本人は、世界では無視されてしまうし、実際世界情勢の中で日本はそういう状態にあるのではないでしょうか。

 

 

 

【旅】ホテルってなんだろう??

ホテルがあまり好きでないのは、何よりも面白くないから。私は生まれながらの旅人で冒険心にあふれているから(逆に言えば、計画性が無く不用心)分かり切ったことが好きじゃないの。三ツ星や四ツ星のホテルってどこでも似たり寄ったりでしょ?殺風景な部屋には最低限の家具。しかもスイートでもない限り一部屋。値段は家具の良し悪しに反映されるくらい。B&Bは当たり外れはあるけど、その場その場で違いが大きく、大抵二部屋以上ある。

 

Palace Hotel San Michele, Monte Sant'Angelo

 

でもね、長旅だからホテルも必ずいれるようにしてる。B&Bみたいにいちいち連絡取り合わなくて済むからその点ストレス無し。どういうことかっていうと、B&Bは大家と連絡取り合わないと、部屋に入れない。何時にどこで待ち合わせるか何度もやり取りする。「着いたら教えて」みたいな人は助かるけれど、普通は一日前に場所を連絡する。今回もナポリのGuestArtのオーナーは三日以上前にいつ着くか教えろと煩くて「多分〜時くらい」というのを3回変更したら、散々嫌味タラタラ。そんなに言うなら予約する前に分かるように書いておけ、と言いたくなる。旅の途中なんだからどうなるか分からないでしょ!予定の決まり切ったツアーじゃないんだから!そこが良いとこなのに。その点ホテルは一年中何時に着いても問題無し。タオルも毎日変えてくれる(普通はそう)。

 

Palace Hotel San Michele, Monte Sant'Angelo

 

最初のホテルは、今回最高級のゴージャスなホテル。プールにサウナにスパに絶景のバルコニー付き。プールは前日で閉まっちゃったのが残念無念。モンテサンタンジェロは、前半の旅中圧倒的な観光地。最も聖なる土地が最も俗だって事が皮肉だけど、聖ピウス(パードレ・ピオ)と大天使ミカエルのお土産屋さんでごった返す。聖地の外れに建つ、ヨーロッパのお金持ちが温泉休暇に来るような設定。アガサ・クリスティに出てきそうな中産階級の白人目当てでできたのかもしれない。私たちが着いた頃は、プールが閉まったことでも明確なように夏のバカンスが去り一段落した時で、宿泊客も満員ではなく丁度良かった。写真はスパ。ジャグジー、水とお湯の歩き湯、変わりシャワーボックスとサウナは個室が数個、地下へは怪しい紫の光を通過して行くと共同サウナ室。勿論バーもある。外へ出るとプールへ続くひっろーーーいお庭があってお散歩できる。1時間くらいゆっくりしたけど、ほんと気持ちよくて疲れも取れて優雅な気持ちになれる。水着さえ持って行けばあとは貸してくれる。

 

Palace Hotel San Michele, Monte Sant'Angelo

 

バルコニーからは満天の星がみえた。今一だったのはレストラン。地下のレストランは、他所が美味しいものだらけだったので、冴えなかったけど宿泊客で一杯でした。ま、ホテル嫌いの私もこの位特徴あれば嬉しい。

 

Palace Hotel San Michele, Monte Sant'Angelo

 

次はナポリから30分のサレルノのホテル。私が新しい雑誌もらって威張ってるのが、そのホテルのサロン。雑誌ったって下らない芸能雑誌じゃないよ。社会、歴史を話題にした日本にはないタイプの雑誌。イタリアにはよくあるしセンスも良い。ここがとても良かったのはとにかく駅前で移動に便利。サレルノの駅は旧市街から離れていない上、店舗が並ぶ中央通りも駅から出てるので、本当に便利。典型的な三ッ星ホテルで、面白いことは何もないけど、足りないものも何も無い。若いスタッフはみんな感じが良くて、朝食も明るい部屋で三ッ星にしては豪華だった。

 

Hotel Plaza, Salerno

                         

みんなと泊まったのはこの二つだけ。私の旅は少人数だから大型ホテルの同じ部屋を何室も取らないで済む。学生時代みたいに、みんなであーだこーだ言いながら泊まるのが楽しいの。

 

Hotel Amadeus, Caserta

 

実はYさんだけみんなの後に発った。もし彼女がもう一日でも長くいられたら、イスキアとかナポリの近くの島のホテルで寛ぎたかったけど時間が無かったので、彼女が発つのと同時に私もナポリを離れて、ベネヴェントと悩んだけどカゼルタへ行った。

 

                             

Hotel Amadeus, Caserta

 

ナポリから30〜40分のカゼルタにはヴェルサイユを凌ぐ気合いで建設された王宮があるけれど、その他に中世の古カゼルタや、足を伸ばせばベネヴェントがあるので連泊してあちこち見る予定だったので、移動に便利に駅近の評価の高いホテルを選んだ。もっと経済的なホテルが駅付近にあったけど、ナポリの駅周辺の汚さがあまりに強烈で(何度か行ってるけど、だいぶ改善してるんじゃないかと期待してたらまだまだだった。やはりナポリは異次元!)格安駅近は避けました。結果からするとその方が良かったかもしれない。

 

Hotel Amadeus, Caserta

 

ナポリから30分離れただけなのにカゼルタへ着いたら、何もかもが別世界。整理整頓されていて落ち着いていた。別に東京で暮らしていたら普通だけど、ナポリから来たから街の清潔さに感動しちゃった。三ッ星ホテルにしては、個人経営っぽい雰囲気満載のアマデウスは18世紀の建物を改造してるので中庭形式で、朝食は、今は駐車場になってる中庭の別棟へ食べに行く。隣にはオーナーのドラムセットもあって暇なときは訓練してる。夜、微妙にドラムの音が響いてた。イタリア人にとって、絵は家と切っても切れない重要なもの。あらゆる空間に様々な画家の作品が掛かっていて、私にはそれを見るのも楽しみ。

 

Hotel La Stazione, Napoli

 

いよいよ最後のホテルは当然ナポリ。何があるか分からないから、絶対出発の前の日には空港がある街へ泊まる。本当はカゼルタへもう一泊してナポリは一泊のつもりだったんだけど、今まで一度も降らなかった雨が、みんなが帰国した途端せきを切ったように降ってあまり動けなかったから、ナポリへ戻って来た。ベネヴェントは次回に。ここでは空港行きのバス停に近い安いホテルを選んだ。ホテル名もそのまま「駅」。ところがホテルって何???カオス状態の人々を掻き分けながらホテルの住所へ行くと、怪しげな建造物の奥へ。一応中庭形式でエレベーターがあったからホッとする。だってB&Bでなくホテルにした理由は、最終日で荷物が重くなってるから階段を持って上がらずに済むように、ってもの。それなのに一階(日本の二階)へは使えないという、鍵付きのエレベーター!え〜っ!て落胆を身体表現したら、南部にはどこにでもいる、1年中同じ場所でぶらぶらしてるおじさんがホテルの人を呼んで来てくれて、彼が運んでくれた。マウリツィオという名前。朝食スペースもないし、ホテルの概念を撃ち壊すところだったけど、マウリツィオのおかげで非常に快適に過ごせた。WiFiの状態を最高に設定し直してくれてスムーズにチェックインも済んだし、窓からは興味深いナポリ生活も見られた。

 

La Stazione, Napoli

 

部屋の窓からは新たになったナポリ駅が見える。夜、窓の外から怒号が聞こえたので見ると、アフリカ系の若者たちが大勢走って騒然としている。その内一部始終を見ていた向かいのビルのイタリア人たちの拍手が起こり、黒人青年に老人が肩を叩かれながら鞄を渡されていた。引ったくりにあった白人の夫婦を助けたらしい。私も一緒に拍手喝采した。この道は駅前の結構大きな道にも関わらず裏通りっぽくて、ほとんど白人の姿は無い。一階には売れるのか売れないのかしれないアフリカ系の人たちのお店が並んでいる。国際的大都市ナポリの一面を描いた映画のワンシーンのような場所だった。

 

 

【旅】聖フランチェスコも泊まったB&B

写真は最初の宿、ブリンディシのB&BB&Bって「寝台と朝食」って意味だけど、イタリアの場合ホテルじゃない個人経営の宿って感じ。目の前が工事中でなければずっと良い感じだったと思う。ネットケーブルを埋める工事をしていて翌日には埋まってた。慣れない人にはボロボロに見えるけど、これはイタリアによくある、古い建築物を修復したという証拠みたいなもので、意図的に昔の壁や柱などを見せるようになってる。脇の小道にはブーゲンビリアが咲いてて中庭があり写真よりずっと素敵。

 

AntonellaHome, Brindisi

 

この宿はオーナー夫婦が最高だった。何しろ夜の11時前にブリンディシの空港に迎えに来てくれて、帰りも駅まで車を出してくれ、焼きたての巨大なお菓子山盛りと自分のワイナリーからプーリアの有名なワインをお土産にもらいました。元は聖堂で工房に改築し、今はB&Bとなっている部屋も作りは面白いし、シーツがカビ臭くなければ満点だったのに残念!でも安いしたった一泊でこれだけ親切は文句なく最高!

 

 

Antonella Home, Brindisi

 

二件目のバーリのB&Bのオーナーはまだ若い女性で、15才の時から北部で働いでホテル業を学んで、最近プーリアの人気が上昇してるから自分で営業始めたっていうやる気満々のバーリっ子。契約書も一番きちんとしていて頑張ってるのがよく分かるし、バーリの大きなビルを改造したアパートは、シンプルだけど内装を新たにして清潔。最高だったのは彼女の手作り朝食で、バーリ風ブルスケッタは稀に見る美味しさだった。

 

ビトントはホテル評価サイトで満点を点けました。っていうか点けざるを得ないよ。宿を引き払った時、M女子が眼鏡を忘れちゃったんだけど、それが彼女の持ち物で最高額の良い品だったので、日本に送って貰えないかお願いしたら、次の宿の違う街までオーナーが届けに来てくれた!!眼鏡を受け取ったのは夜中の11時過ぎだったかな。予約した時からどのオーナーより頻繁に連絡くれて、旅の間中も煩いくらいWhatsUp(欧米で最も使われているラインみたいなやつ)が鳴りまくる、信じ難き親切な人だった。写真は、ルネサンスたけなわ時代の建築物の居間、立派な応接セットでビトント地方紙を読む私(デブでゴメン)の頭上にはロマン主義の絵画。因みに壁は真っ白です。

 

Palazzo Santorelli, Bitonto

 

悪い例も挙げないとね。一番失敗したと思ったのが、カンポバッソのダ・フォフォ。車がたどり着けない中世のほっそーい道にあるのは良いとして、大家が全く現れずWhatsUpで指示を出してくる。鍵がドアの外のへーんなボックスに入れてあって、番号を打ち込んで取り出す。タクシー運転手の若者が奮闘してくれて、なんとか取り出し入室。ドアの鍵も勿論一応かかるけど予備の鍵は壊れていて、とにかく中世の道にあるふっる〜いの建物をなんとか使ってる感じ。イタリアの歴史中央地区の問題は、きちんと修復していれば使えるんだけど、水道やガス設備が問題で、水量が弱く、お湯が不安定。トイレの水量が弱すぎて、自力で何杯も水を流して使いました。掃除はちゃんとしてあるし、家自体はイタリアの地方都市の家が分かってなかなか楽しい。写真で見る通り、キッチンが日本とは違ったイタリア式で、ほとんど毎晩ここで野菜やチーズを買って食事しました。

 

Da Fofo', Campobasso

 

B&Bで痛感したのは、大家とは最初に一度は会えた方がいいって事。今回ナポリの最後の宿GuestArtも大家と会えなかったんだけど、すれ違いがあってちょっと不愉快な思いをした。実際は向こうのミスで得しちゃったんだけど、ズルして税金逃れするつもりなんかこれっぽっちも無いのに、要求されなかったので知らずに払わないで来ちゃった。弁護士だという大家は圧倒的に感じが悪く、日本人の彼女と住んでるというけど、どんな人なのか・・・

 

Rubinis House, Giovinazzo

 

大家とはやりとりだけで会えなかったけど問題なかったのは、ジョヴィナッツォのルビーニ一家の宿。オーナーはギリシャに住んでて連絡は全て彼女と。でも実際動いてくれるのは彼女の家族で、お父さんが40分以上かかるビトントへ車で迎えに来てくれ、部屋は妹さんが整えてくれ、駅までお母さんが送ってくれた。目の前が海の素晴らしい宿は、本当かどうか知らないけど、かの聖フランチェスコが泊まった元修道院を改築したもの!!!私が立っているのは回廊入り口で、背中側の二階に大家一家が住んでいて、私たちが泊まったのは向かい側の一階。赤い鞄が置いてあるのは、使わなかったけど私達のテーブル。中世真っ只中の、石壁はWiFiだけは悪くて、重要な時に繋がらなかった。私は飛行機の乗り換え時間にローマ空港で、イタリアのシムに入れ替えてるから設定次第でイタリア人のように携帯を使えるんだけどさ。

 

PiccoloPrincipe, Isernia

 

イゼルニアの「小さな王子様(星の王子様)」も親族経営で、世話してくれるおば様はすごく親切。部屋はものすごく綺麗で可愛いし家に問題はない。けど家に問題ないのは新興住宅地だから。やっぱり遠い。駅からも旧市街からも、住んでる分にはいいけど旅行者には遠い。イゼルニアでは宿自体が全然無くて選べなかったんだけど、駅前のホテルに部屋が取れなかったのが残念でした。

 

 

                                                                     

【旅】宿の結果発表

*2018年の記事です

 

旅って泊まるとこ決めるのも重要だよね。

人によってどんな宿が適正か考えないと。

 

私は貧乏人だし、平凡をできるだけ避ける癖があるのでホテルよりアパートが好きです。でもアパート(B&B)って凄く当たり外れがあるし、何より話せないと絶対お勧めできない。具体例を挙げながら今回の旅報告。

 

Hotel Sant'Angelo, Monte Sant'Angelo

 

ホテルの良い点は

1)なんでもお任せなので気軽

2)大抵は毎日タオルを替えてくれる

3)ゴージャスなホテルにはプールなど様々な設備がある

 

モンテサンタンジェロ、サレルノ、カゼルタ、ナポリでホテルに泊まりました。

 

Antonella Home, Brindisi

 

アパートの良い点は

1)経済的

2)普通の生活の様子が分かって面白い

3)時には大家さんが凄く助けてくれる

4)なんでも自力でする分達成感がある

 

ブリンディシ、バーリ、ビトント、ジョヴィナッツォ、カンポバッソ、イゼルニア、ナポリの二つの8箇所がアパートでした。

 

で、あー失敗したなっていうのはカンポバッソナポリのアパート一つ。何が失敗って、カンポバッソはトイレが流れない!!いちいち水汲んで流しました。ナポリはオーナーが遠方にいるのにいちいち煩くて、部屋は綺麗なんだけど、場所が何よりほとんどスラム街。ま、ナポリからしょうがないけど。もうちょっと詳しく調べるべきだった。みんなごめんm(_ _)m

 

代わりにホテルではあり得ない、信じがたく素晴らしいことも沢山あったよ。詳細はまた書きます。

【旅】飛行機豆知識とアリタリア

*2018年の記事です

 

私のような貧乏人で体力もイマイチだと、飛行機はアエロフロート(ロシア)を選びたくなります。昔からロシアは安くてパイロットのレベルが高いので有名でした。空港が悪いとか荷物を預けると危険だとかも言われてたけど、モスクワ空港が綺麗になってからはそれも気になりません。面倒なのはユーロが使えないことくらい。でも私の旅では働く女性たちが主流なので、時短してほしいということで直通のアリタリアになりました。

 

写真はアリタリア航空のサイトから

 

成田発ローマ乗り換え、ブリンディシ着は夜になります。私は必ず乗り換え時間を2時間以上見るので仕方ありませんし、出発が朝でないのは東京に住む者にとっては楽です。でも特に往路は飛んでる時間だけでも12時間を超えるので実質飛行機の中に14時間は閉じ込められます。辛い〜💀ロシアだと飛行時間が9時間半かからないので全然違います。

 

特に往路は寝なきゃいけないというプレッシャーで、普段から眠れないのにますます眠れず、さらに機内って乾燥してて埃だらけだから目が真っ赤に。食事はありえないくらい酷い。イタリア着いたらあんなに美味しいのに、機内の酷さはなんなの??むかーしのレンジ食品パスタってあんな感じ?😖

 

ま、面白いのは職員(キャビンアテンダント)の話くらい。「この前・・が美容整形したの知ってる?」「えーそうなの?何したの?」「目の周りの皺をとったんだって」「分かる。で、見たの?良ければ私もやりたいけど・」「えー、私は皺は気にならないわ。それより顎の下のたるみねっ!問題は・・・」と延々と1時間近く詳細に語り合っていました。皆ゴージャスなおば様方です。失恋の話で、泣きながら仕事してたこともあった。日本の飛行機だったらあり得ないんだろうね。ほとんど乗ったことないから知らないけど。日本人男性のキャビンアテンダントは見たことないけど海外はよくいるので、彼らも超気軽に話しかけてきて面白い。これって他の国でもこういう会話してるんでしょうか?他の言語の分かる飛行機乗る人教えてください。

 

あとはアリタリアからとってきた写真でも分かるけど、制服がお洒落。特に最初と最後はハイヒールに履き替えて、これが緑のグラデーションでカッコいい。流石!でもなぜか日本人スタッフはイタリア人とは違った制服でダサかった。残念だな〜。

 

疲れるの分かってたからコンフォートシートにしようかと思ったら、以前はそんなこと言われなかったのに、ネットに有事の時にはアテンダントの手伝いができるように、語学ができ体力に自信のある人みたいなことが書いてあった。私がパニックものの映画で活躍するにはどうしたら良いのか悩んだけど、全然問題なく席がとってあった。

 

 

なんとかローマ到着して乗り換え。格安はどこでも一番遠い所だけど、イタリアの飛行場は当然ながらアリタリアが一番良い位置を占めてるのですぐ分かる。私は小さい飛行機が好き。外を歩いて飛行機に近づき、風にボワ〜って吹かれながら梯子登って昇降する。気分が上がるー💚

 

長時間乗ってる時、席は絶対通路側だけど、短時間の時は窓側が良いよね。上空から街が見えて楽しい。そうそうアリタリア48時間前からチェックインできるの知ってる?今回随分楽だった。

 

それに成田はコンピューター化もすごく遅れてるけど、イタリアは指紋や顔認証でセキュリティーチェックが当たり前で、パスポート置いてカメラを見ればすぐ通過できる。楽ち〜ん。

 

何度も言ってるように、私は荷物は絶対預けない主義なので、ブリンディシに着いたらすぐ出てこられる。帰りは仕方なく預けるけど、1時間近く待ったりするし、バッグの酷い扱われようも嫌だから。

 

今回は行きは周囲が日本人ばかりで特に面白いことはなく(日本人が嫌いとかじゃなく、日本人は知らない人と面白い話とかしないから)、帰りは大量のスペイン人に囲まれて、日本で絶対食べないといけないもののメモ書きに忙しかった。イタリア人とももちろん交流するよ。機内は暇だし、言葉の訓練と交流の場。言葉を勉強してる人、喋らないとね😃

 

【旅】ビデとお尻と環境問題

今回、二組のグループと旅して明解になったことが一つ。生活文化習慣の話。

 

日本にはすっかりシャワートイレが一般化したけど、そこにはなぜか「ビデ」と「おしり」と書かれたボタンがついている。昔っから納得いかなかった、というかビデってフランス語を知ってる人がどれ位居るのだろう?両方とも日本語にすべきでは?直接書くのがそんなに嫌なら「大小」みたいに、「前後」とかすれば筋が通るのに・・などと思ってた。

 

イタリアや地中海の国々では、トイレの横にビデが並んで居るのが当たり前。ホテルでも一般家庭でも大抵そうなって居る。

 

 

で、ホテルだとタオルが人数分掛かっている。

 

おっと、ここで注意。日本人は一人分3枚(か4枚)のタオルセットを全く気にせずに使ったりするけど、知ってたら少しは気にしない?

 

1)大きなタオルは体用

2)中間の大きさのタオルは手や顔用

3)小さいのはビデ用(トイレの後に下腹部を拭くため)

 

で人数に無関係に、足拭きが一枚、というのが多分一般的。

 

もしかしてビデタオルで顔とか拭いてないですか?気にしないなら良いけど、一応お知らせいたします。それに伴って、ビデ付近には下腹部専用の洗剤も置いてあって、それで顔を洗ったりすると大変なことになる。以前、参加してくださった男性がそれをやっちゃって、目にしみて痛くて大変だった。先に言わなくてごめんなさい。その時の反省があるので、以後みんなにビデの説明をするようにしています。

 

今回気付いたのは、ビデを使ってるのは私一人だということ。私としてはビックリでした。なんで使わないのだろう?昔、シャワートイレが無かった時代に慣れてる人なら、紙で拭いただけで良いかもしれないけど、シャワートイレに慣れた人だと気持ち悪くないですか?絶対洗った方が綺麗だよね?

 

その上、絶対ビデを使った方が環境に優しい。何重にもぐるぐるトイレットペーパーを回してやたら紙を使う人は、環境に配慮が足りない人だと、私は考えています。ビデを使えば、紙はほんのちょこっとで済み、時には使わないで水で洗ってタオルで拭くだけで十分です。元々自分の体から出たものなんだし、お風呂に入ったら皆洗うんだから、手でよく洗ってタオルで拭く、ビデ方式はすごく良い文化習慣だと思う。

 

それに部屋に帰ってきたら、すぐに足を洗うのにもシャワーを出すより、ずっと楽。みんなビデを使おう!!✌

西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ