天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【イタリアの街】結婚式の季節

私たちが発ったのは9月11日でした。私は一ヶ月弱滞在して、その間に二つのグループが10日ほどの旅をしました。(プーリア&モリーゼ組とナポリとその周辺組)実はほぼ同時に別の生徒さんたちもイタリアへ来ていました。彼らはウンブリアを中心に回っていたので会うことはありません。

 

Molfetta

 

その間に3組とも結婚式に遭遇しました。私など何度見たか数えきれないほどってくらいです。9月と6月は一年のうちで最も良い季節。だから結婚式も集中する。日本だったら雨や台風の季節だけど、地中海はとにかく最高です。

 

Procida

 

私の友人達も含め、イタリアで一般的なのは、教会で式をあげること(もちろんキリスト教徒に限る。日本の無節操ビジネス教会とは全く違う。逆に宗教的に思想のある非キリスト教徒たちは役所で調印。)、良いレストランで食事する。名所で撮影しまくる。ですが、やはり北部と南部ではあらゆる点で南部の方が面白い。派手、騒ぐ、町中暴走する。とにかく冠婚葬祭にかける費用の感覚が違う。プローチダは決して大きくない島だけれど、新郎新婦を先頭に数台の車を連ねて町中走り回り、プカプカ楽器を鳴らしながら結婚のお知らせをしていました。

 

Roma

 

本当にあちこちで見かけたんだけど、心底良いなと思ったのは、お任せでないこと。業者が司会して、わざとらしい手紙の読み合いとか当然ない。友人や親戚一同がとにかく盛り上げる。街を歩いているといきなり楽隊がやってきたり、ハリウッドみたいなドレスを着た女性達が歩いて来たりしたら、近くで結婚式が行われている証拠。式っていうよりパーティか。式は教会だからね。

 

Bitonto

 

ビトントで私たちが昼食をとっていたら、その建物の裏で大騒ぎが聞こえてきました。ちょっとした空間に大勢が集まって、歌ったり踊ったりして大音量が町中に響いてる。年配の女性出席者は大音量が苦手なのか、みんなから離れて見ていたけれど彼女も袖がレースになったお洒落スーツを着ていたので親族でしょう。

 

ナポリの夜、宿から歌声と歓声が聞こえてきて何だろうとベランダへ出でみたら、向かいのベランダのお兄さんが、あれはナポリ人の歌手で明日結婚するからその前夜祭をやってるんだと教えてくれました。駅からさほど離れていない通りなんだけど、大勢が集まって何曲も大合唱。なんか演歌っぽい感じの曲でナポリっぽかった。部屋着じゃなかったら出て行きたくてたまらなかった。だってすぐ下だったんだもん。夜中の12時にパッタリ止んだけど、日本では近所の人が煩い事言ったりして、ビトントの大騒ぎもプローチダの暴走もナポリの野外コンサートもできないんだろうなと思うと寂しかった。何でも業者任せじゃない、自然な社会環境がイタリアの方がある気がしたのは、私だけではありませんでした。ある生徒さんなんか感動して泣いちゃったくらい。

 

9月は結婚式がたくさん見られて幸せな気分になれるけど、逆に聖堂が見たい人にはネックになるのでそこだけ注意。見られなくても広い心で祝いましょう💕

 

 
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