天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【芸術】講座参加者S氏の感想

Sさんは、想像する限り、私とは大違いの大変羨ましい余裕ある人生を送られています。アメリカやイギリスでの駐在経験が元の性格に加わってか、芸術に広く関心があり、ずっと講座に出てくださっています。いただいた感想をそのまま掲載します。

ケルズの書

SABA彩子先生
講義『映画になった西洋美術』感想

遅ればせながらで申し訳ありません。「映画と美術」というありそうで、なかなかお目にかかれないテーマでの、10回講義でした。渾身の解説にとても感銘を受けましたので記憶に残る分だけでも、と思い一言感想文にしてみました。思い出しながらなので勘違いが多々あると思いますが、当方のキャパシティ不足に付きご容赦ください。

各回、興味津々の重要テーマを蘊蓄満載で深掘りして紹介いただきました。
①   ザックリ映画史
イタリア・ネオリアリズム愛が伝わります。
②   ピグマリオン神話―アンドロイドの源流

絵画『ピグマリオンとガラテア』ー映画『メトロポリス』―SF『アンドロ羊』、映画『ブレードランナー』―TVドラマ『ヒューマンズ』
③   映画『美しき諍い女』、文学と芸術論。プッサン割と好きなので、文学に登場するほど偉大な存在だったのかとびっくり。
④   ゴッホ神話
最も多く映画化された画家。『星月夜』はLEGOにもなっています。
⑤   モナリザ神話
世界で最も有名な絵画。あらゆる芸術で引用される。
⑥   映画『ゲティ家の身代金』ゲティ美術館の誕生秘話。
以前西海岸に住んでいたことがあり、ゲティ美術館や新聞王(『市ケーン』)のハーストキャッスルに行ったことがあります。どちらも70年代に誘拐事件があったのは何かの因縁か。ともに西部劇かフィルムノワールのような、想像を絶する展開でアメリカらしい
⑦   ケルト伝説、アニメ『ブレンダンとケルズの秘密』
まずは装飾写本「ケルズの書」で中世のケルト美術を学ぼう。そのあとエンヤを聴いて『指輪物語』を読んで古代ケルトに思いを馳せる。
⑧   パゾリーニ映画と宗教画
オムニバス映画『ロゴパグ』の中の一篇ではロッソ・フィオレンティーノ、ポントルモの絵画を再現。
決して理解できないであろうと思っていた映画監督だが、『奇跡の丘』もう一度見てみようと思いました。「マタイ受難曲」も聴けるし。
⑨   ユディット伝説(芸術における男と女の戦い)ロダンが罵倒される力の入った講義。
ちょうど旧約絵画の本(秦剛平)を読んでいたら表紙がジェンティレスキでした。その他8人の女性アーティストの壮絶な人生が紹介されます。
そのテーマとは少し離れますが、前期の講義でマティスの『知られざる生涯』を紹介いただきました。そこでマティスの第二次大戦中の大苦闘を知りました。レジスタンス闘士の妻と娘、有能なロシア人パートナー、リディア。闘病中のこの三角関係(?)もまた壮絶です。占領期のフランスを描いたJ.P.メルヴィルの傑作『影の軍隊』を久々に思い出しました。(シモーヌ・シニョレ
⑩   映画『C階段』『The Square
美術評論家の出てくる名画。確かに日本では映画の主人公となり得るような、存在感のある職業ではないかも。我々素人には教養ある解説は絶対に必要ですが。

じつは前々期の講義『夢見るファッション』(これまたユニークな講義内容でした)で西洋服飾史を学んだことにより、映画を見るとき、ストーリーや演技以外の美術や衣装にも注目するようになりました。昔の映画でも新たな魅力に気づくことがあります。今度美術賞とか衣装デザイン賞などを取った作品について解説いただけたら面白いなと思いました。(今回『真珠の耳飾りの少女』について少し触れられていました。)

今シーズンもよろしくお願いします。

Ro.Go.Pa.G

3回の講座についての一口感想と、映画の講座でのメモのようなものですね。終わってから自分で思い出して、メモを取るのは記憶するためのとても良い方法だからお勧めします。ただ聞くだけの受け身と、自分で意見や感想を考えたり、メモを取るのは全然違います。能動的行動が、勉強の鍵!いつまで経ってのできるようにならないとか言ってる人は、能動が足りないのではないか、考えてみて。Sさん、心から感謝します💕

西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ