天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【展覧会】庭園美術館でアール・デコ

昨日、ひっさしぶりに庭園美術館へ行きました。

展覧会の写真は完全禁止だったので、出品作については公式サイトを見てください。

パンフレット

お天気最高で梅などお花も咲き、昨日の庭園美術館訪問はとても良かったです。展覧会については開催前から知っていたけど「交歓するモダン:機能と装飾のポリフォニー」というテーマが結構専門的だから、そんなに人が来るとは思わなかったのに、昨日は終わりが近いこともあってか盛況でした。展覧会といえば、お年寄りの気晴らしみたいになってる場合が多いのに、昨日は圧倒的に若い人が多く、雰囲気が全然違った。デザインに関心のある男子とか、美大やデザイン学校の学生さんも結構いたと思う。自分の美大時代を思い出しました。

ヨーゼフ・ホフマンの建築構想

ちょうど今やっているオンライン授業で扱ったゼツェッション(分離派)の作品も幾つもあって、ぜひ確認したかったこともあります。建築家として有名なホフマンの家具はまさに授業でも示したものがあったし、私の大好きなコロマン・モーザーもありました。授業ではウィーン工房の初期を扱ったのに対して、展覧会では女性作家が増える後期が中心となっていて、より家庭的で衣装や装飾的な要素が強まっていました。ファッション大好きっぽい女性は若い人から年配の人もいて、オシャレの感覚は世代を越えたものなんだな〜っ、と感じたり。

コロマン・モーザーのテキスタイル

絵画ばかり並ぶ美術展とは全く違い、家具、ドレス、テキスタイル、建築関連デッサン、食器、雑誌から映画まであり、散漫な印象を受ける人もいるかもしれないけど、色々あって楽しいと思う人も多いはず。アール・デコって私にとっては歴史というより子供時代から身の回りにあったので、親しみやすいものが多く懐かしい感じでした。父の家には歴史的なものがたくさんあったので。

庭園美術館

庭園美術館はもともと宮家の邸宅として1933年に建てられたもので、朝香宮夫婦がフランスでアール・デコに魅せられ、日本では珍しいかなり気合の入ったアール・デコ建築です。私が庭園美術館の展覧会に行く時は、この建物自体も楽しみになっています。何度も行ったことがあるのに、ずいぶん久しぶりに行ったら、意匠には相変わらず魅力を感じたけど、部屋が小さいのがとても気になりました。ヨーロッパを見慣れてしまうと、本当に日本の家がウサギ小屋と言われたのを実感するな〜。

レストラン

殿下とか言われる人でもこんな小さな食堂で食べてたのかとかね。ま、平等主義の私としては、良いことと捉えたい。食堂といえば、新しく庭園の奥に展覧会用のスペースとショップ、レストランを備えた新館ができていてとても綺麗でした。庭園っていうほどとは思わないけど、建築物以外に都心の真ん中で落ち着ける庭があるのもここの魅力だから、それを活かした作りになっています。

展覧会カタログ

カタログや入口奥にあるウェルカム・ルームもなかなか良くて、そこでこの建物や展覧会についての資料を落ち着いて調べることができる。制作したい人は、折り紙や鋏でチョコと作品も作れます。絵画展と違い、半分くらい名前を知らない人がいました。デュフィのように画家として高名な人、ポール・ポワレみたいにファッション界の大物、日本の事情なども比較できるし、前衛的な無声映画も面白い。

cacio e pepe

おまけに日本で初めてローマの庶民料理を食べました。美術館の目の前にあるイタリア料理店です。公式サイト見てください。ローマでは3回位食べたことがあって、地元のローマ人にこれを食べないとローマを知ったことにならないとか言われてたんだけど、日本で食べたのは初めてです。ローマではちょー庶民的なバールやトラステヴェレの一部で有名なレストランなどで食べたから、かなり違う印象でした。昨日のはまた違った。ちなみに胡椒が嫌いな人は絶対食べられないので要注意。

おすすめでーす🍝

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