天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

イタリアの街に関する資料と旅

このさっぱり美しくない棚は、イタリアの街に関する資料専用。イタリアには20州あるので20のファイルラックには州の名前が書いてあります。以前は北から並べていたのですが重量という現実的な問題で、今では資料が少ない州が上、トスカーナのように特別多い州は特別枠になっています。カラーブリアには時間をかけられていないのですが、イタリア全州を旅して回ったので一応全ての州と州都、重要な街の資料があります。

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イタリアの街に関する資料の棚

以前に比較し、インターネットの普及で紙の資料は格段に減りました。私もネットを使いまくるのですが、紙の方が便利なことも多々あります。典型的なのは地図です。近くに来て探すなら絶対ネットですが、大きな範囲で調べたい時、全体像を把握したい時には圧倒的に紙の地図が役立ちます。

 

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mappa di Lucca

地図も街によってデザインが全然違って、見やすいものからさっぱり分からないもの、センスの良いものがあるかと思えば、ローマやヴェネツィアのようにくれない所もあります。因みにシチーリアのタオルミーナは要らないっていうのにガンガンくれる所で、ルッカのはデザインが色々あって可愛いのが印象的です。

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州のガイド地区別

フリウーリ・ヴェネツィア・ジュリア州は観光局がとても整備されていて、デザインも揃えて地図も見やすく、ガイドブックにもなり、その上無料のツアーチケットにもなっていたりして非常に役立ちました。みんなを連れて行きたいです。

 

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モリーゼ州

イタリア20州中最大の秘境モリーゼでは、観光局が古い地図を配ったりしてる反面、お金のかかる印刷物は極力やめてネット対応しているところが面白かった。

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トレンティーノ・アルト・アディジェ州

地図の他に絶対もらうのが、博物館やお城などのパンフレットです。特に写真が撮れないような場合重要な資料となります。写真に関しては、撮影許可が取れる所もありますが、そういう事務所さえないような場所もあるし、旅へ行ったらぜひもらいましょう。思い出にもなるよ。旅先での写真については、撮りたくなるのは分かるけど、帰ってから見ない人も少なくないし、なんのために撮っているのか理解不能な場合が多々あります。写真整理もしない人は、撮影するよりじっくり肉眼で観る方に時間を使った方が絶対良いので、やはり読めなくてもパンフは取ってくるのが基本です。勿論、興味のない人もいるかと思うけど、そういう人は私のサイトを読んだりしないと思うので、芸術文化に興味のある人にはお勧めです。

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建築に特化したパンフレット

無料とは思えないような、専門的で小型の本のようなパンフもあります。上はヴィチェンツァのお屋敷とルッカアール・ヌーヴォー建築についてのパンフ。ヴィチェンツァは建築の神様パッラーディオの街なので、後期ルネサンスから新古典主義へつながるパッラーディオ様式の館がたくさんあり、建築を目指す人や好きな人には特別な場所となっています。紹介されている館は、訪問不可や映画の舞台となったものも多く、全て写真付きで見やすくできています。さらに専門的なのはルッカアール・ヌーヴォー建築についての本です。私は幾度もルッカへ行っています。中世ロマネスクの街というのが圧倒的な印象なので、見過ごされがちですが、城壁の上から非常に魅力的な表紙にあるアール・ヌーヴォー(イタリアではリヴァティという)建築があり、最初から気になっていましたが、一般のガイドやツアーなどでは全く触れません。この無料の分厚い資料で初めて、色々と知ることができました。

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タオルミーナでもらったガイドブック

イタリアは昔から観光大国なので、イタリア語の他に様々な言語が用意されています。日本語版がある所はよほどの観光地だけどね。時には不思議な日本語訳があったりもします。これはタオルミーナの観光案内所でもらいました。238頁、全頁カラー写真付きのずっしりした本です。タダというのが嘘のようです。明らかな翻訳物で、おかしな日本語ですが内容はしっかりしています。日本で一般的な、お土産や食べ物屋中心の、博物館や記念建造物は一言で済ますガイドとは正反対の実に正確な内容です。買ったら何千円もしそうなものですが、一冊なぜか観光案内所に残っていたらしく、日本人だと分かると進呈されました。日本人は観光案内所へ行かない人が一般的ですが、絶対行った方がお得です。こんな良いものがもらえるし、日本のガイドブックには書いていない、様々なイベントや情報が満載です。気が向くと食事に誘われたりして、人気のレストランへ連れて行ってもらえたりもします😁

 

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