天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【本】最高の旅行ガイド

旅に行く前に絶対お勧めするのは、訪問地について何冊か本を読んでから行く事。海やサッカーには興味あるけど、歴史も文化も一切興味がないという人は私のサイトを読んでくれないだろうから、読んでくれている知的関心の高い人には絶対に絶対にお勧めします。言っておくけど、私はサッカーやラグビーが好きだしボクシングを愛してる。

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イタリアのガイドブック

でガイドブックも千差万別と言いたいところだけど、基本的に日本語で読めるガイドブックに質の高い本は無い。なんて残念なんだ!!日本で発売されているガイドブックはほとんどが旅行社的観点に立っていて、飲食店、お土産屋、アウトレットにほんのちょこっと博物館や聖堂などが載ってるだけ。あれじゃ書きようが無いとは思うけど、作品説明なんか役に立つんだろうかと思う内容だ。歴史知識ゼロの人にいきなり貴族の名前や、美術様式を説明してもどういう意味があるのだろうか。って事で、今度はいきなりイラストだらけの、おいしい、かわいいに終始した物に。

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Le guide Mondadori

比較して欧米のガイドはずっと内容がしっかりしてるものがある。ミシュランは地図が本当に正確で素晴らしい。何十年も前だけど地球の歩き方に、存在しない場所へ連れて行かれた経験のある私は、ミシュランロンリープラネット、ツーリングクラブなどのガイドにある地図の正確さに感激した。最終的に行き着いたのは写真にあるモンダドーリのガイドブック。紙が良すぎて重いのが難だけど、あとは最高です。

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日本へ来るイタリア人向け

勿論日本のガイドブックと同じで大まかな「イタリア」みたいなのもあるけれど、私の愛用は州別や街別。サルデーニャ、プーリア、トスカーナ、ロンバルディーアみたいに。ローマ、フィレンツェ、ナーポリなどの大都市(フィレンツェは文化的には間違いなく大都市)は街ごとにある。

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頁下方に歴史年表

モンダドーリの素晴らしいところは地図だけではありません。サマリー(総合説明)に歴史が続く。イタリアの場合多くの場所が古代から素晴らしい歴史を持っている。古代ローマどころか場所によっては鉄器時代とかから始まって現代まで何頁も続く。

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トスカーナ州の建築

流石なのは、それぞれの地方の建築の特色を紹介した頁。様式や年代、地方色など様々なことが最初に分かるので、素人でもその後に出てくる建築物の説明について行ける。

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サルデーニャ

建築だけでなく必ず自然の特色も説明される。気候や風土、そこに生息する動植物、典型的な風景から、最近の発見や研究結果まで。

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ルッカの歴史中央地区の中心

現実的に最も役立つのは、いわゆる地図の他に上のような、特に重要な地区を非常に正確に映したイラスト地図。一目瞭然で司教座聖堂や博物館、貴重な作品の位置が把握できる。

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ピサの奇跡の広場説明図

特に知名度が高い、もしくは貴重な物事に関しての図説は驚くほど正確で、それ自体が作品的に美しい。

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サルデーニャのロマネスク聖堂図説

ピサの斜塔フィレンツェ司教座、コロッセーオなどはどこにでも載ってるけれど、例えばこのサルデーニャのロマネスク聖堂などまず掲載されない。ここには無名の小さな聖堂がいくつも紹介されていて、この図説と解説を見て何が何でも行きたくてたまらなくなり、バスも無い場所へたどり着いた時の感動はひとしおだった。専門的な草分け的イタリア旅サイトhttp://www.japanitalytravel.com/ に掲載した時も編集長に最も感動してもらえたのはこのサルデーニャロマネスク記事だった。http://www.japanitalytravel.com/arte_romanica/top.html

その時の記事、綺麗だから見てみて!

 

勿論、食や伝統工芸、四季の重要イベントなど皆解説がある。私のはイタリア語版だけれど、英語版は簡単に手に入るし、かなり難しいしめっちゃ高いけど日本語版もあるにはある。ぜひネットで探してみて。le guide mondadori 

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