天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

知られざる芸術家の人生

*サイトの引越しで2017年11月の記事を転載。

 

今月は放送大学の授業が6日もあったからきつかったけど、風邪もひかずに乗り切りました。人数を絞って、良い画像を追求したせいもあってか、いつもよりさらに感動してくれた参加者が多かったかもしれない。内容が、何と言ってもやりたい事に近かったし。

 

今回紹介した芸術家は、以下の通り。

 

Benedetto Antelami ベネデット・アンテーラミ

Simone Martini シモーネ・マルティーニ 

Beato Angelico ベアート・アンジェリコ

Donatello ドナテッロ

Andrea del Sarto アンドレア・デル・サルト

Rosso Fiorentino ロッソ・フィオレンティー

 

90分で一人紹介しなくちゃならないし、質疑応答や美術や歴史全体の説明もあるから、当初予定していた二人、カルロ・クリベッリとロレンツォ・ロットを削りました。

 

クリベッリに関しては、良い画像を使えるという事で、彼の工芸的な技が紹介できると思ったんだけど、考えて見たら、彼に関しては資料はほとんど無くて、人生が語れる訳ないし、ロットは、ほんとやりたかったんだけど、ヴェネツィア美術に関して、ビザンチンとかベッリーニ工房なんかの話もしなくちゃいけないから諦めた。いつも盛りだくさんとか、内容が濃すぎるとか言われてるから、その方が良かったと思う。

 

 

私は子供の頃から絵が好きで、描いてもいたけれど、見るのも大好きでしょっちゅう画集を見てた。展覧会にも連れて行ってもらったから、美術のない生活なんて考えられない。作品は、有名だからとか、有名人のものだからとか、そんな風に見るものでは決してない。聞いたことも見たこともないけど、なんて素晴らしい作品なんだろう、という瞬間が最高だ。ドナテッロは、私からすれば、これ以上ない最高の芸術家だけれど、世間的にはレオナルドの絵かもしれないものの方が、よほど関心を引く。それは資本主義、投資であって、芸術家の精神とは真逆のものだ。アンドレアの驚くほど、素直で繊細な光には、知らずのうちに涙が出るほどだけれど、彼の名を知る人は滅多にいない。

 

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