天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【映画】美術家たちの伝記:ゴッホ・展覧会も

 

ゴッホの展覧会に合わせて、観たかった映画を見たので感想です。

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At Eternity's Gate

先日見た映画は2018年製作の「永遠の門 ゴッホの見た未来」です。いつものことですが原題は単に「永遠の門にて」です。言うまでもないことですが<永遠>とは<神>に他なりません。日本で公開される前から観たかった映画です。

決して分かりにくい映画ではないのですが、ごく普通の伝記映画ではありません。ゴッホの心情と彼の視点に焦点を当てて制作していると思いました。そのため、映像は普通の視点ではなかったり、それこそピント(焦点)が合わなかったりと、かなり意図的なものとなっています。監督のジュリアン・シュナーベルは1996年の『バスキア』で一躍有名になりました。「バスキア」は発表後すぐ観たし、なんといっても本人が死んでからすぐ(1988年に亡くなった)だったので非常に印象的でした。あの映画もとてもスタイリッシュな映像でしたが、それがバスキアの作品と何となく合っているようないないような感じを受けたものです。そう言う意味では今回も同じですが、彼の映像には一貫した様式美を感じます。

かつては大変身近だった上野は、コロナ禍の私には永遠に感じられるほど遠いので展覧会に行けるかどうか疑問ですが、都美術館でゴッホ展をやっています。いわゆる有名な作品もありますが、彼のごく初期の作品や心情を反映した素描など、素晴らしい内容でぜひ行ってみたいのです。

ゴッホは、現在ではそれこそ最も知られた美術家の一人に違いありません。が生前は全く評価されず、悲惨な生涯を遂げました。作品の魅力に加えて文字通り劇的な人生のためか、彼についての作品は大変沢山あります。本や画集は無数に出ていると言いたくなるほどだし、映画も何本もあります。

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Lust for Life

映画としては1956年のヴィンセント・ミネリ監督、カーク・ダグラス主演の作品が、古いですが有名です。「天国の門にて」と違い、いわゆる伝記映画として、人生の初期から死までを、ハリウッド・ドラマらしく表現しています。

ゴッホに関する映画を集めたブログを見つけました。全ての作品は見ていませんが、好きな作品もあります。

 

フリーダ・カーロの映画紹介の時にも書きましたが、私は映画も好きだし、作品や作者を理解する助けにもある程度なると思っているから紹介しているのですが、何より美術好きだからか、やはり本人の作品を見てほしい、それに勝るものはない、と感じてしまいます。

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