天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【映画】リアリティー

*サイトの引越しで2017年の記事を転写

 

http://www.festival-cannes.fr/jp/archives/ficheFilm/id/11255642/year/2012.html

題名:リアリティー 原題:Reality

監督:Matteo Garrone マッテーオ・ガッローネ

制作:イタリア・フランス 2012年

 

BMI(身長と体重から健康度を計る数字)がこれほど偏った映画は他に見たことが無い。私がスタイル抜群に錯覚してしまうほど物凄い肥満度の役者が数人どころか画面一杯に、最初から最後まで出てくる。それだけで大変暑い映画だ。

主役はChristopher Meloni(『OZ』『Low & Order』などの迫力満点の俳優)を一回りちっちゃくしてふざけたようなAniello Arenaという俳優で、とてもイタリア人らしい。というかナポリっぽいというべきか。角度によってはスタローンにも似てる。

テーマは欧米でよくあるリアリティー番組に着想を得たもの。このテレビ時代、テレビに出られれば何でもいいというのを良く表している。カンヌで話題の映画だが、ストーリー展開は単純明快で演技や映像表現も奇をてらった所が無い。唯一、これでもかというほど老若男女重量級の役者の群れが画面を印象づけているの。

今回のイタリア映画祭の特別上映作品(去年は「ローマ教皇の休日」)で高い評価を受けているようだが、リアルな表現と非現実的な話の対象が鮮烈で、イタリア映画らしいといえば、心の救いをキリスト教カトリック)に求められるかどうかという点が上げられる。個人的にはまた見たいと思うような映画では無かった。

 

イタリア語学習者に:イタリア語の勉強にはかなりきつい。南イタリア文化研究という見方でどうぞ。ナポリ語をやっている人は絶対に見るべし。

 

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