天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【美術館】ナポリ:眺望が楽しめる、とっておき聖マルティーノ博物館

*2018年のイタリア美術の旅の行き先です。

 

ナポリにはローマ、ミラーノ、フィレンツェには負けるけど、たくさんの博物館があります。数え方にもよるけど約50館ほど。聖セヴェーロ博物館は紹介済みなので、今日はあまり知られていないけれど、絶景が楽しめる、素敵な博物館を紹介します。

 

 

chiostro

 

素敵って骸骨か、と思われそうですが、骸骨はキリスト教美術では定番のモチーフです。流行り廃りはありますが「メメント・モリ」「死を思え」という道徳的な教えを表すのが一般的なので、この修道院の回廊にもあちこちに骸骨がいて、修道士たちを戒めていたのでしょう。

 

このように骸骨たちは美しい回廊のあちこちにいます。修道院建築で回廊は重要な場所で、芸術的価値が高い場合が多いのですが、ここは何と言っても眺望が素晴らしく、「ナポリを見て死ね!」と歌われた風光明媚なナポリ湾が一望の下!

 

 

Museo di San Martino

 

 

ここはカルトジオ会の修道院だった場所です。中世修道院制度の中でも、スター的な修道院というものがあり、例えば聖フランチェスコフランチェスコ会や聖ドメニコのドメニコ会などは創始者の名前で分かりやすいですが、聖ベルナールのシトー会は場所の名前です。カルトジオ会もそうで、というかこっちの方が先ですが、フランスの過酷な環境の山肌に最初の修道院を開きました。あまりに風が強く、急な斜面にあったため、滑落して死人が出始め、やむなく聖ブルーノはだいぶ楽な、グラン・シャルトルーズと後に呼ばれるようになる場所へ引っ越したのでした。11世紀の話です。現在も美しい山中に僧坊が連なるカルトジオ会独特の修道院があります。が、ナポリではどんなに修行したくても、標高1000メートルの風吹きすさぶ酷い場所は存在しなくて、一番高いところへ登ってみたものの、ティレニア海とヴェスビオ火山が見える、カンツォーネが聞こえてきそうな素晴らしい場所へ来てしまいました。

 

 

それに素人が手作りした簡素なフランスの親修道院と違い(後には大修道院になっちゃたけど)、ここではシエナの有名な芸術家ティーノ・ディ・カマイーノを呼び寄せ、初めから豪華な建築物を作る計画でした。因みにティーノは大っ好きな彫刻家です。昔は彫刻家が建築家を兼ねることは普通でした。

 

 

Salvatore Fergola

 

1840年に描かれた絵は、この修道院から見たものです。ちっとも修行って感じがしません。でも逆に言えば、周りが楽しそうな中で修行する方が辛いでしょうから、ナポリで修行は、最大のツワモノでないとできなかったかもしれません。

 

 

Carrozza

 

カッロッツァとは車(自動車ではなく)のことで、写真は(馬)車です。イタリア語では電車の車両などに、同じ語源の言葉を使用します。ピアチェンツァの博物館ですごいコレクションを見たことがありますが、ここにも一部がカッロッツァに当てられています。

 

 

Mozzarela in Carrozza

 

モッツァレッラ・イン・カッロッツァはナポリの伝統的なドルチェの一つです。一般にイタリアらしいと世界でイメージされているものは、南部のものが多く、ピッツァもナポリだし、カッフェ(デミタスのグイッと一口、濃厚コーヒー)も最高です。このお菓子もマルゲリータ同様、シンプルが一番。アメリカや日本で色々加工したものがありますが、圧倒的にナポリで食べたのが美味でした。なんだろう、人生最高のピッツァもナポリなんだけど、なぜこんなにシンプルなのに、驚くべき美味しさなのか、どこが違うのだろうと不思議に思ったのを覚えています。

 

 

Presepio

 

プレセピオとは聖フランチェスコが発案者だと言われる、クリスマスの飾りです。救世主イエスの御聖誕を視覚化したものです。クリスマスツリーは北欧で生まれたもので、伝統的にイタリアではプレセピオを飾るのです。このコレクションも時々見かけますが、イタリア1芸術的で美術書などにも作品が載っているのが、ここの博物館です。天使が飛んでいます。見てみたいものです。

 

もちろん博物館には絵画のスペースや、宝物館、当時の貴賓室など色々ありますが、特色はこのプレセピオと眺望でしょうか。

 

旅について:ナポリに行くとしたら、ローマやフィレンツェ同様とても全部は見きれないので、選んで天候やみんなの体力を考えながら場所を決めることになるでしょう。正直言って、私はここへは行ったことがありません。行ってみたいので紹介してみました。

 

 
西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ