天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【旅】唯一無二のヴァチカン市国:博物館ルートと序章

ローマの旅の思い出を美術を中心に書いています。恐るべき内容のヴァチカン博物館の全体像を描いてみることにしました。だってあまりに壮大で、目的と体力と時間によって考える必要があるからサ。で、全体像がこの地図。入り口と出口は決まってるんだけど、あとはどうしたいかで変わってくる。

ヴァチカン博物館の位置と道順

図の下方、赤い丸が入り口。最悪、本気で時間の無い人は、システィーナ礼拝堂だけ見て帰る。悲しーけど、人生はなかなかうまくいかないから、そんな時もある。システィーナ礼拝堂は、図の一番上の写真のところ。ウルトラすっ飛ばしコース。そうでない人は左下あたりのグレゴリウス博物館で、エジプト美術から始める。

ラオコーンのある中庭は博物館の起源。さあ、これからだ!

最初の方に集中してるのは古代彫刻。この辺りはみんな、いよいよ来たぞ!観るぞーっ!って言う活気に溢れていて、人の頭でラオコーンの写真なんか撮れやしない。正面からは無理だったんだけど、この写真は結構上手く撮れた。アップもあるけど、後ろの浮き彫りも比較になるし気に入ってる。この中庭は博物館の起源になったもので、ルネサンスの教養人たちの趣味や憧れが感じられるし、有名なラオコーンやアポロなんかと違ってちょっとした石棺や、門の上についていた変な顔たちとか、ローマ人のいいんだか悪いんだかわからない趣味が面白い。私は、お墓を囲むローマの松の浮き彫りが好き。

門の上で「入ってくんなっ!」と言ってるみたい。太り過ぎ・・

普通の旅なら、この中庭だけで十分すごい名所って感じで撮影して終わりなんだけど、いよいよ建物の中へ入ると、ローマらしい彫刻の部屋が並んでる。物凄く残念ながら部屋には入れないで、正面から覗くだけ。しかし凄い。古代人、彫刻上手過ぎませんか?迫力ある自然主義の動物や神様が、大小様々。ここでは完全に脇役っぽいけど、他の美術館なら、この中の一点でもあればメインになるようなものばかり。私にとってのローマのイメージそのもので、動物中心の部屋では、襲ったり、戦ったり、殺したり、怖い内容のものばかり。豚もリアルに丁寧な作り。ぶーちゃんは、なんのために作られて、どこに置かれていたんだろう?

動物がいっぱい

旅は始まったばかり。最初の大感動は「ベルヴェデーレのトルソ」です。壮絶な美術尽くしの宮殿の廊下で、特別に展示してあるにも関わらず、多くの人は見ていません。水色のシャツのおじさんはガイドかな?この作品の価値をわかっている様なのは彼一人。それにしてもなんて素晴らしい背中なんだろう。前から見てもいいけど、この角度も陰影がよく出て力強い。これはヘラクレス像らしいんだけど、ギリシャ彫刻をローマ人が紀元前1世紀に複製したもの。ルネサンスの、良くも悪くも偉大な教皇ユリウス2世時代に発見された。教皇ミケランジェロに「頭や手足をくっつけて修復しろ!」と言ったんだけど、この彫刻の美に打たれたミケランジェロは必死の抵抗をして、出てきたままになった。トルソっていうのは、胴体だけの部分を呼ぶ美術用語。本当にミケランジェロはすごいよ。権力に屈せず、真の美を愛してるんだなーっと、痛感する、ミケランジェロらしい最高のエピソード。

ベルベデーレのトルソ

天井のフレスコや立派な柱に圧倒されまくりスタンダール症候群になりそうな廊下を抜けていくと、グレゴリウス博物館。???なぜ???こんなにエジプト?と思うけど、状態も素晴らしく、美的にも綺麗な面白いエジプト人の作品が並んでる。友人は、ここで楽しみすぎて長居しちゃって、あとは駆け足になったくらいです。

マントヒヒとか

続きはエジプトからね😃

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