天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【イタリアの街】プーリア州:タロスと煉獄、ルーヴォ・ディ・プーリア

タロスはギリシャ神話に出てくる、クレタ島を守る自動人形(もしくは怪物)です。匠の鍛治の神が青銅で作ったという。(ロボットの先駆けか?)伝説にはいくつも変形があるけど、とにかくタロスはクレタ島を日に3回走り回り、近づく船に石を投げまくって破壊し、もしそれでも近づいた者があれば、体を高熱にして抱きつく!(きゃー!!)という頼れる守衛。だけど、体に一本ある血管に神の血が流れていて、それを止める踵の釘が弱点。結局、妖術で眠らされているうちに釘を抜かれ死んでしまう。

 

そんなに頑張っているんだから、ロボットだって可哀想だよー!映画だったら泣いちゃう。とか言いながらルーヴォ・ディ・プーリアの考古学博物館にあるのは、素晴らしい壺絵だから、泣かないと思う。ギリシャ神話って踵とか踝が弱点な話が多いけど、足がいかに大切かってことかな。

 

 

煉獄っていうのは17世紀にできた煉獄聖堂のこと。

 

Purgatorio

 

謎に四角い建物だけど、中はロココバロック系の近世によくある白い教会。絵が面白いらしいけどよく分からなかった。興味深いのは、ロマネスク時代に作られたクリプタが地下にある。もともと聖クレートって別の聖人に捧げられていた上に、今の建物を作ったのだ。で、更にもともとは、この地下聖堂自体が古代ローマ帝国の貯水槽だったらしい。イタリアらしいとしか言いようがない。

 

 

でも私が一番観たいのは司教座聖堂です。この聖堂はプーリア・ロマネスクの代表的な聖堂の一つで、正面ファサードがとても印象的です。

 

 

この聖堂の素晴らしい写真がついたサイトです。観てください。

 

http://www.italianways.com/la-concattedrale-di-ruvo-di-puglia-quando-il-tempo-non-intacca-la-bellezza/

 

12〜13世紀に建てられた、プーリアらしい質素な白い石に、要所要所にロマネスクらしい彫刻を施しています。ここではバラ窓の配置が特に目を引きます。

 

 

ファサードのトップです。この聖堂が捧げられた聖人が座るアーチの上には、ほんの少し三角を削って、救世主イエスが復活しています。

 

地下にはかつての聖所の跡があり、見ることができます。

 

 

聖フランチェスコの映画はたくさんあるけれど、最新作を撮影しているところ。十字軍時代の服装をした人たちがいるのは、この聖堂です。

 

 

煉獄兄弟団の行列です。手前の黒装束の人が感じ出てる。

 

 

最近プーリアは街に芸術作品を展開する計画をしているようです。この網の人たちは司教座聖堂の中にもいます。

 

 

ルーヴォ・ディ・プーリアはモリーゼとプーリアの連結場所にある。2018年に初めて訪問しました。素晴らしかったけど泊まらなかったので博物館は見ずじまい。次だ!

 

西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ