天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【旅】2018年4日目、ビトント、ルーヴォ・ディ・プーリャ

9月14日

 

おはよービトント!最高の気分で起きる予定!誰の目も気にせず、部屋やテラスを自由に歩き回り準備。ホテルでは決して味わえない自由さ。朝食はイタリアの定番パスタ(甘いパンの事)とカフェが用意されています。テラスで食べようか。そうそうベッドには差があるので、みんなでくじ引きします。一番良いのに当たった人は次のくじは引かないで順番にね。

 

ビトント・チェントラーレ、ルーヴォ・ディ・プーリャ間は20〜30分に一本の割で列車があり、8時半を目標に出発。バスもあるし、時間はあくまで一応って事。17〜18分で到着。

 

Museo Archeologico Nazionale Jetta

 

驚くことにトリップアドヴァイザーで10点満点の博物館です。

http://www.prolocoruvodipuglia.it/museo.html

 

古代ギリシャの壺を中心としたコレクションで特に名高く、どんな案内を見てもこれを絶対外してはいけないと書かれています。

 

中世の兜などもあります

 

近くの聖ドメニコ聖堂を訪問し、ロマネスク愛好家の喫水の的、司教座聖堂へ。

 

Cattedrale di Ruvo di Puglia 12-13世紀

 

プーリア独特の、白く質素で、要所にロマネスクらしい浮き彫りを施した力強い形態です。地下も発掘され、印象深いバルダッキーノ(身廊の祭壇を覆う天蓋のある建造物でロマネスクの特徴)も完全な姿をとどめています。

 

Chiesa di Purgatorio

 

次に外見は酷い煉獄聖堂へ。煉獄とは地獄の手前にある空間で、中世世紀からルネサンスにかけて練り上げられた思想です。この聖堂は17世紀のものですが、実は古代ローマ時代の建造物の上にあり、古代ローマの施設を San Cleto 聖堂へ改変し、その上に現在の聖堂があるという、イタリアならではの構造です。

 

 

ビトントへ戻ります。お昼ご飯は時間とレストランの様子次第で、ルーヴォかビトントか決めましょう。一応レストランのイタリアでの人気状況など質問しておきますが、ビトントの宿は旧市街です。お惣菜を買って宿で食べるのがベストかもしれません。圧倒的に気も体も休まるので。でもそれには12時までに帰らないと行けません。ま、焦らず当日決めましょう。

 

Palazzo Sylos

 

私が初めてビトントへ行った時、印象的だった建築物の一つ。15世紀のフィレンツェ以外の土地の様子が伝わります。写真はシロス館のロッジャから広場を眺めたところ。細い円柱のロッジャは優雅で、中世を脱したお金持ちたちは、古代ローマ貴族気分でここから民衆を眺めたのでしょう。

 

Cattedrale S.Maria Assunta

 

愛しのビトント司教座聖堂です。広場も、名ばかりではなく広々とし、石の色が太陽に映えています。聖堂の横には長年研究対象のルッカのヴォルトサントの門もあります。やたらめったらゴージャスな巨大聖堂より、こういった聖堂が一番好きです。神聖さと職人や民衆の熱意を感じます。もちろん、人里離れたところにポツンとある、小さな可愛い聖堂も愛しいですが、そういうところでは美術的感動は得られません。ロマネスクの大聖堂には当時最高の手仕事を誇った人々の跡が残っていて、それが素晴らしいのです。

 

 

ambone di Nicolaus

 

アンボーネとは説教壇のことです。説教壇は中世美術が凝縮した場所で、経済的にも技術的にも最大限の努力が払われています。ここでは1229年の記録が残るニコラウス親方の色大理石象嵌と、浮き彫りが堪能できます。ここからは見えませんが、この壇へ登る階段脇の彫刻も有名です。下はビトント大聖堂の写真がたくさん載ったサイトです。中世美術好きなら、読めなくても素晴らしさが十分伝わると思うのでぜひ見てください。

 

https://sites.google.com/site/modillonsetpeinturesromanes/Italie/bitonto-cathedrale

 

Lunetta di Cattedrale

 

ビトント大聖堂の彫刻はフランスロマネスクとの繋がりを想像せずにはおれません。特にフランスでは西正面のルネッタ(半円形の部分)に「最後の審判」図を彫るのが流行しました。ここでは最後の審判ではなく、その後の「冥府降下」が表現されます。審判後、復活したイエスがアダムとイブ始め、死した全人類(救われる人々)を冥府から救い出す場面です。ビザンチンのモザイクなどにも大画面が存在する、私の大好きな場面です。ただこれはオリジナルで、このまま行けば風化して失くなってしまうのではないかと心配になります。

 

 

内部床モザイクのグリフォンはビトントのシンボルとなっています。

 

宿のすぐ側に司教座聖堂博物館があります。当然訪問。その他に、非常に印象に残った煉獄聖堂も近くだし、とにかく時間と元気の許す限り、街を歩き回ります。

 

煉獄聖堂の入り口を守る骸骨の一体。Chiesa del Purgatorio

 

Ponte Tifilis

 

橋の向こうに見える Santa Mari del Popolo(Santa Teresa) 聖堂は、外からは想像もつかない頑張った内側。

 

San Domenico

 

これも外からは想像のつかないすごい内側のストゥッコ。南部バロックの代表的な技法。

 

聖堂では無料コンサート(当然イエスに想いを馳せる内容)も催されているので、当日調べます。コンサートは大抵夕方以降です。この聖ドメニコには行きたいです。近いしね。

 

 

旧市街の門と塔を通過しビトントにお別れを告げなければなりません。ジョヴィナッツォへ向かいます。バスで20分で数百円で行けます。宿の近くに停留所があって、海沿いの立地最高の宿へ😎

 

 

 

 
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