天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【旅】2018年三日目、バーリとビトント

9月13日

 

バーリはプーリア州の真ん中の州都(北がフォッジャで南がレッチェ)。大きな建造物もある都会です。お洒落な高級品店街もある。

 

イタリアではリバティと呼ばれるアール・ヌーヴォー様式の素晴らしいPalazzo Mincuzzi

 

怖い貧しい汚い南イタリアのイメージと全く違う。こんな通りをチラチラ覗きながら、海の方、旧市街へ向かいます。新市街と旧市街は大通りで完全に分かれていて、紅色の派手な劇場が目印。

 

Teatro Petruzzelli

 

私たちが泊まる日には、オペラの神様ジュセッペ・ヴェルディリゴレットが上演されます。ちょっと見たいかなーっと内心思っている私。スカーラ(ミラノ)やサン・カルロ(ナポリ)などでは観たけど、結構演出が現代的で派手さに欠けた・・・・。ここはバーリの中でもオペラとバレー専門の劇場で、他に魚邸というところでペルゴレージ(演劇好きなら知ってるかも)の舞台があります。当然コンサートホールもあるよ。

 

いきなり道がまがりくねり細くなって中世の町構造に変化します。

 

通りにロマネスク聖堂がお尻を向けています。中は視聴覚室になってるけど、元は9世紀のアマルフィの商人たちの聖堂だったので、その後が今も残っています。サイトで確認。

 

進むと最近大改装された司教座聖堂博物館があります。入ります!中国の副葬品の展覧会なんかもやったりしてます。

 

素晴らしいゴシックの聖遺物容器

 

 

いよいよ、本命のサン・ニーコラ(聖ニコラウス)聖堂へ。と行きたいけれど、そこは完全に囲まれた中庭を通過しなくてはなりません。壁の中はいきなり違った空間で、写真の左側にひっそりと建っているのが聖グレゴーリオ。お参りします。右にはお土産と司教座博物館。

 

San Gregorio

 

ひっそりと、正面が壁に突っ込まれてしまいながらも、中世から生き残った聖堂です。

 

San Nicola

 

白くシンプルな力強い、まさにロマネスク聖堂です。イタリア中の聖堂巡りを初めてたけれど、もちろん今ほど知識も無かった当時、ある意味で一番感動した聖堂です。

 

 

当然広間様式ではなく、いわゆるバジリカ様式でもなく、もちろんビザンチンでもない。ローマやフィレンツェ他有名な街の聖堂とは違った構造です。どこか似ているところを無理やり思い出せば、パドヴァをなぜか思い出しました。巨大なアーチが極めて印象的。

 

 

美しいロマネスクで最愛の空間。奥はクリプタ(地下聖堂)に。降りてゆくのは気がひけるほど、本気の信徒たちの祈りが今も捧げられる聖ニコラが眠っています。何世紀も後にサンタクロースとして有名になるお方です。

 

多分お腹が空いているのでいい感じのバールで一休み。簡単なランチとします。Antico Caffe del Carmine が私のお気に入りです。お昼を食べながらその後の話し合いをします。

 

例えば、フェデリコ二世で有名なシュヴァーベン(イタリア語ではスヴェーヴォという)のお城へ行くのもまともな選択です。中は博物館ですが、外から見るだけでも中世初期のお城というものがどういうものか想像できます。以前来た時は、初めてだったので気合いを入れて周囲も、中も全部歩き倒しましたが、今やったらめっちゃ疲れると思います。

 

Castel Svevo

 

聖スコラスティカ聖堂だった考古学博物館方面へ向かうかどうかは当日話し合いで。博物館に入らなくても、街の中を歩いてるだけで古代や中世の遺跡に遭遇します。南イタリアではよくあることです。

 

Santa Maria di Buonconsiglio

 

洗濯物にまみれて遺跡が只見。宿の方へ戻りながら、ドッペルゲンガー博物館、ルネサンス期から近世へかけての博物館もありますが、素敵なお店に入ったりしながら宿へ帰り、ビトントへ向かいます。電車で20分。バスで25分弱。バスの方が歴史中心地に近いので、優先します。夕食はビトントで。

 

私たちの貸切アパートです。中庭もあるし、予約した時は、かつて見た事のない満点評価のアパートで、すごく楽しみです💕女子トークも盛り上がりそうです!

 

 

 

 
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