天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【旅】2018年9日目:サン・ヴィンチェンツォ・アル・ヴォルトゥルノ、イゼルニア

最後の宿はカンポバッソから1時間弱のイゼルニアです。バスは一日3本。電車は8時半の次の12:32が良いのではないかと思っています。13:27イゼルニア着。この宿は歴史中央地区ではありません。翌日私以外、帰国に向けローマへ発つので、駅の近くで動きやすい方がいいと思ったので。ローマまで2時間強です。

 

Campobasso

 

ということは午前中カンポバッソでぐるぐるできるので神秘博物館へ行って見たいです。

 

Museo dei Misteri

 

https://www.misterietradizioni.com/misteri/

先にも書きましたが、ミステーリとはミステリーと語源は同じですがちょっと違います。ここでは人間山車のことを指すようです。サイトにはそれぞれの聖人の解説、山車にかかる人数、高さなどが写真付きでたくさん載っています。小さな村でこんなに盛り上がっていたら、子供時代の良い思い出ではないでしょうか。

 

残った時間はお買い物もかねて、町歩き。エルボリステリーア(薬草化粧品薬屋さん)はあの小さな街に6軒もあるしね。ランチも買って行きましょう。

 

Isernia

 

私達がお昼に着く、イゼルニアは街に歴史がある割には、市内に残っているものがありません。ですが周囲には結構モリーゼ1、2を争う有名な場所があります。

 

駅前の大通り角にあるマンションで一泊住民

 

一般的な観光地としてはほとんど知られていないでしょうけど。

サン・ヴィンチェンツォ・アル・ヴォルトゥルノは、中世美術を勉強し始めた初期に知りました。それほど有名なところです。なので18時まで空いていますからすぐ向かいます。

 

San Vincenzo al Volturno

 

https://www.youtube.com/watch?v=4F7J_lOwU-k

上空から見た綺麗な映像です。

 

http://www.telemolise.com/view.php?idfilmato=88798520113042018090638&tipo=tg

ここは初期ヨーロッパにおける最も重要な聖地であったと、聖職者、イギリス人研究者などが説明したイベント。英語圏の人のイタリア語。大変ゆっくりだから勉強してる人にはいい聞き取り練習になるかも。

 

Annunciazione

 

これに感動できるのはマニアかもしれませんが、聖地の持ってる力というものがありますし、とにかく20世紀に農民が偶然発見した地下聖堂には、西洋美術や中世史に関心のある人喫水の9世紀のフレスコがあります。

 

次はイゼルニアを南下し大天使の洞窟サンタンジェロ・イン・グロッテヘ

 

Sant'angelo in Grotte

 

「洞窟の中の大天使」という町の名前。日本ももっと面白い名前を残せばいいのに、といつも思う。なんでも新町とか緑台とかつまんないし歴史も文化も何もない。

 

 

ここから入ります。今回の旅は洞窟の旅ですが、ここは外からは想像もつきませんが、最もフレスコが堪能できる場所です。

 

Cripta

 

お〜!かわいいよーっ。結構一面に残っています。絶対上手いとは言えないのですが、ルネサンスが来る前の人々の、画面における空間認識がよく分かります。この絵からすると今からは想像もできないほど、栄えていたようです。

 

 

 

近くには観光地として一般的に大人気の「苦しみの聖母聖所」があります。

 

Santuario di Santissimo della Addorolata

 

「苦しみの聖母」というのは、キリスト教美術では胸に剣を七つも突き刺した恐ろしい図像なのですが、裏腹に明るく華やかな聖所です。ここへの道筋には「十字架の道行き」という、イエス磔刑に着くまでの受難を表現した14の祠(ここでは祠はなく、現代彫刻)があります。もう夕方でしょうから上のイメージでしょうか。今回のプーリアとモリーゼの旅は、中世そのものの旅でした。メインにはルネサンスや近代のものが一つもありませんから、最後の最後に有名なゴシック・リヴァイヴァルの聖堂で閉めてもいいかもしれません。

 

 

それともこんな新しい(1888年に起こった奇跡が元で1890年に着工。普通の人にとっては1890年だって128年前で古いかもしれないけど、14世紀とか12世紀とかやってると9世紀ぐらいが古い!って感じです。考古学の人からすると、あったらし〜ってなりますよね。)聖堂は行かなくていい、イゼルニアへ帰ろう。まだお店も開いてるかもしれないから最後のお買い物だっと言うのもありかもね。

 

イゼルニアのエレガントな場所の一つ

 

とにかく最後は絶対歴史中央地区のいいレストランでお食事に決まり。

 

Torcinelli

 

予約しないと入れない「かつての氷工場」というレストランや、モリーゼ郷土料理などもたくさん見つけたよ。どれも田舎の貧しい料理から発展した感じだけど美味しそう🍷今回の旅をみんなで振り返りながら夜をゆっくり過ごしたい。だって帰ったら荷造りの戦いが待ってるでしょ!

 
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