天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【美術】講座参加者の感想:Sさん

もう今週末から、夏季講座が始まります。ずいぶんずれてしまったけれど、Sさんの感想です。以前彼女の感想を掲載したら、彼女の感想に興味を示してくれた読者がいました。そうやって知らない人同士が、好みや感変え方を通じて知り合え、知識を深められたら最高です。以下そのまま掲載します。(段落はつめさせていただきました)

Redon

こんにちは。今回の「型破り西洋美術史」でも毎回盛りだくさんの内容をありがとうございます!あっという間に最終回になってしまいました。最終回にあたり、これまでの授業の内容を振り返って、感想をお送りします。

 

ファンシーピクチャーの回の、Jean-Baptiste Greuzeの「死んだカナリヤと少女」をめぐるディドロの解釈は、作者本人ではない人物がそこまで断じることができるのか、と驚きました。Greuze自身はどういった意図で描いたのでしょうか。教訓画ということですが、当時の人が見れば十分理解できる作品だったのでしょうか。個人的には、作品のタイトルからも内容を想像する手掛かりがつかめず、難しい作品だと感じました。

Greuze

世紀末美術の回のオディロン・ルドンの後年の色彩のある作品は、色使いなのか構図なのか、作品全体から浮遊感が感じられて、時代がまったく違うのですが、ポントルモの作品(「十字架降下」など)から受ける印象と似たものを感じました。ルドンの作品は今まで「キュクロプス」を知っていたくらいで、ほとんど見ることがなかったので、こんなに興味深い画家だったとは知りませんでした。今回授業で知ることができて嬉しかったです。

前回の「世界の美術館」の講座、今回の「型破り西洋美術史」を通して様々な美術作品や表現方法を見てきて、芸術作品とは何か?アートかアートでないかの境界はどこにあるのか、というようなことをずっと考えています。特に現代美術を見ていく上で、自分の中でしっかり考えておかないと混乱してしまいそうです。今のところ、人が手を加えて(意図的に構成する)、作り手か見る側が「芸術だ」と思えば、出来の良し悪しなどは別として、芸術作品なのだと思っていますが、今後も引き続き考えていきたいと思います。

Redon

最終回の授業、また、次回の「ミステリアスなアート」も楽しみにしております。

ルネ・マグリットは以前から興味があって、企画展に行ったり、画集を見ていたので、マグリットの回があると聞いて嬉しく思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ