天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【講座】西洋美術史の講座内容で悩む私

都立大のオープンユニヴァーシティ講座は三ヶ月、年四回(春夏秋冬)ですから、その一回ごとに内容をどうするか考えます。コロナになってからペスト関連の資料を読み漁り、絵画や美術の変化を確認しました。これは私が、日本の西洋美術史におけるペスト研究の第一人者である石坂先生に無理やりついて行ったイタリア研究旅行の時(大昔って事!)から知っていたことです。でも長引くコロナで、1年以上経って再開した授業では、いい加減コロナから離れたくなり、西洋美術の王道ルネサンスに挑みたいと思い、2021年の講座は、システィーナ礼拝堂を中心に据えたミケランジェロとラッファエッロになりました。自分で言うのもなんですが、なかなか濃い内容になったと思います。参加者も大勢いて、素晴らしいコメントをいただいています。

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Franco Fontana, Deep in Colors

今のラッファエッロの授業が終わったら、冬季授業では初めての試みをします。世界中の美術館を所蔵作品で紹介するって言うもの。世界中に美術館は無数にあるので、当然選ぶし、当然西洋美術の作品を紹介します。今までと違う点は、日本やアメリカ、イタリア以外の地域も対象となるってこと。あ〜ネタバレしちゃったー。楽しみにしてて!

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Franco Fontana, Appunti Siciliani

今回悩んでたのは、次の春講座の内容です。冬講座の「作品とともに美術館を紹介する」を続けようかとも思ったんだけど、一応春講座は年度はじめで、人は春、新たなことをやろうかなって気になるらしいから、初心に帰りながら再確認するつもりで、西洋美術史の通史をやることにしました。西洋美術の通史は、都立大OU他、カルチャーセンターや放送大学の面接授業などで、時々やってきました。その度に私は、できる限り沢山の作品を用意して、あまり知られていない作品も紹介してきたんだけれども、今回は真逆に、一回一作品で深〜く観て行くのです。

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Beatus de Liebana

あ”〜大変だーっ!散々悩んだ末に結局、最も苦手なことになった。私、無駄なことを省いて、簡単に、サラ〜っと説明するの苦手どころかできないんです。詳述しちゃう。思想や歴史も作家の性格も、個人的な出来事や、美術的な要素は勿論。

いつも、もっと説明したいのに時間がないからできないとなっちゃうから、1講座一作品にしてみた。それはいいんだけど、今度は通史を十作品で紹介しなくてはならない。悩む〜っ!!!

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Hyperion

ルネサンスが圧倒的に大好き!とか、ロマネスク💖!とか、あとは作品より描かれた内容解読にひたすら興味がある、みたいに嗜好が一貫してればいいんだけど、私、ミケランジェロもよければフランコ・フォンターナも超カッコいい!中世のヘンテコは大好きだし、ヘヴィメタ・ファンが好きそうなグロテスク間際の超絶美術も好きだし・・・

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Henri Rousseau

ルソーよりもっと本気のナイーヴ・アートやブランクーシの彫刻に心惹かれるかと思えば、鳥獣戯画が大好きに違いないフラナガンは、高校生の時、銀座の画廊で見て以来大好きで、リトグラフ買いそうになったくらいだし・・。

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Brancusi

今ここに載せてる作家を皆知ってる人は相当美術に詳しい人。とにかく私は、何時代が好きとか、どの様式が好きとかではなくて、あらゆる時代や場所に心打たれる作品も、受け付けない作品もある人です。なので10個(講座は全十回)選んで2千年の西洋美術を表現するのは、苦し〜っ!!!

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Barry Flanagan

フラナガンのウサギのように、ひょう〜っ!と身体表現したくなります。

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Carlos Schwabe

でも気の早い話だけど、来年は幅を広げた一年にしたいと思っています。どうぞよろしく💕 と言うようなことを、2番目の写真にあるフォンターナの「シチリアの覚書」を眺めながら思った次第でした。

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