天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【旅】イタリアの薬局は薬草屋さん?

イタリアへ行く度に寄る場所に薬局があります。薬局といってもマツキヨとかとは全く違って、すごく素敵な場所だったりします。フィレンツェサンタ・マリア・ノヴェッラの商品は日本でも購入可能ですが、馬鹿馬鹿しい金額なので日本で買ったことはありません。そこまで効果があるとも思えないし。

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Santa Maria Novella, Firenze

でも高級で素敵な石鹸や基礎化粧品などで、お土産としても定着していて、要望の多い場所の一つです。今年も行きました。何度も行っていますが結構変化があって、今年はカフェスペースが充実していました。特別高くはないので、駅も近いことですしハーブ・ティーを飲んでもいいかもしれません。

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フィレンツェの薬草屋さん

サンタ・マリア・ノヴェッラばかり有名ですが、こういう場所はあちこちにあります。元は修道院の薬草研究から生まれたものです。ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」にも出てきますが、大きな修道院には薬草を栽培し、収集し、軟膏や飲料として役立てる中庭や保管庫がありました。13世紀にドメニコ会の修道院として始まったサンタ・マリア・ノヴェッラは「世界最古の薬局」が売り文句ですが、紀元前から薬草は薬として使われているので解釈の問題ではないでしょうか。ただ現代的な意味での薬局(薬屋さん)になったのは16世紀のことでメディチ家御用達の他ヨーロッパ中に王侯貴族の顧客を持っていました。

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修道院の薬草液

これは今回買ってきた一部。ベネディクト会系の修道院ではイタリア中で買うことができます。起源でもあるローマのスビアコにはシリーズが勢ぞろいしていますが、今年は行かなかったのでパルマで買いました。小さい瓶はプロポリス原液です。日本で買うと1万円もするものがあるのにたったの5ユーロ。もちろん同量。飲んでみたけれどどこが違うのか分からない。もう一つは「毛が抜けるのを防止するための液」頭頂の毛を剃ってしまう修道士が必要だったとは思いませんが、今はアンチエイジング系の商品が結構あって笑っちゃいます。これは大変気に入ったのでもう失くなりそうです。日本の商品も使ったことがあるけれど、こっちの方が香りもつけ心地も気持ち良くて、またまたずっと経済的。

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S.Giovanni Evangelista, Parma

上の瓶を買った、聖福音書記者ヨハネ聖堂です。後陣から見たところですが、幾つも回廊のある大修道院です。ルネサンスバロック期に描かれた図書館のフレスコを、修道士が大変丁寧に説明してくれ、凄く面白かった。私が買った定番の物とは別に、この修道院の作品を置いた薬局が隣接していて、土曜日のみ開きます。

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トリノの薬屋さん

先に書いたものは完全に修道院の薬局ですが、天然と科学的、両方の商品を扱うお店も少なくありません。「エルボリステリーア+ファルマチーア」のように表示されていて、最近はパラファルマチーアといって、日本のドラッグストアほどではないにせよ薬以外にも色々扱うお店もあります。

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アルガンオイル

これは友人が感激して、私も一緒に買ったアルガンオイル原液と基礎化粧品です。品質証明書付き。やはり日本では二倍出しても買えないということで大瓶をゲット。こちらも付け心地最高。ミラーノはカドルナの薬局で書いました。現代の薬局が天然の物も扱っている所です。ある意味一番現実的。あえて例えるなら、日本で漢方薬も扱っている普通の薬局といった感じでしょうか。

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Antica Farmacia di Sant'Anna

調合もしてくれます。今回訪問したパヴィーアでもピアチェンツァでも修道院内で買えたし、ボッビオではまるで白魔術のように女店主が調合した瓶を、旅の参加者Kさんが買いました。Kさんに体調とか心理的な問題とか、日常の働き方など色々質問して作るのです。10数ユーロだから効かなくても話の種に買ったのかもしれませんが、みんな一緒に楽しんでサンプルももらいました。一日4滴を4回だったかな。

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Santa Maria della Scala

モンテカティーニ・テルメではエクス・ソフィア・ローレン(昔のソフィア・ローレンみたいなという意味で派手な化粧)の女主人の店で、リップクリームを数人で買い占めました。やっぱり10ユーロちょっと位、小さくて軽くて可愛いのでお土産に配るみたい。私はもうお土産は買わない主義なので、甘草やアニスの飴で許してください。

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