天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【博物館】ブレラ絵画館の金曜コンサート

私は西洋美術史をずっとやっているので、出来うる限り博物館、絵画館、聖堂などへ入ります。普通に入れないところも頑張って交渉します。2019年秋のイタリアでも再訪や初めても含め、あちこち訪問しました。

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ミラノはブレラ絵画館で

写真はブレラ絵画館です。世界屈指の作品が集まる絵画館の一つで、建造物自体がナポレオンも所有した大層なものなのに、指定された夜は2ユーロという仰天の安さ!私が訪問した際は生演奏付きで3ユーロというものでした。夜の十一時までやっています!絵画の時代に合わせたコンセプトで、中世風に管楽器の4重層、ハープと弦楽器の近代、チェロのソロがその中間的な時代を代表していて、雰囲気は最高です。

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ミラノのブレラ絵画館で

ハープの女性が派手だからか、友人が多いのか圧倒的に集客率はハープと弦楽器が高かったけれど、私は文句なしにチェロ。子供の頃からバイオリンを習って、ピアノもちょっとは弾いたし、音楽の授業ではリコーダーでいつもソロパート。家でも毎日のように好きでリコーダーを吹いていました。でも本当はチェロが好き💗もし一人で、時間を気にしないでいいのならずっと聞いていたかった。

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ミラノはブレラ絵画館で

ただ上野と違って、ミラノは気軽には行けないので、コンサートするなら素晴らしい中庭やカフェ、回廊があるんだからそこでやってほしかった。せめてもう少しマイナーな作品の前でできなかったでしょうか。だってそれぞれが最も重要な、美術館が誇る作品の真ん前で演奏するので、それを楽しみにして行った者には最悪です!最初に絵画館が所有する、最大の大作、ベッリーニ兄弟の「聖マルコの説教」の前。異教徒を表す被り物や、空想的な建造物などとても魅力的な作品です。次に、大人気のハープと弦楽器の真後ろには、世界屈指のクリベッリの最高傑作が並んでいます。修復後の状態も素晴らしく、何よりもこれに近づけないのは、怒りというか悲しみというか、あっち行けって感じでした。思い切って観客を無視して絵に近づくとブーイング。ここはコンサート会場じゃなく、絵画館だよね?みんな知ってる?って言いたくなった。最後のチェロは、演奏家も気に入ったしチェロが好きだし、何よりここで重要なのは場所です。彼が演奏していたのはフランチェスコ・アイエツの最も有名な作品、の前ではなく二番目くらいに有名な(私はあまり好きではない)作品の前だったので全然平気だった。めちゃくちゃ勝手ですが・・。ちなみに彼の有名な作品は「接吻」という作品で演奏している壁の裏にあります。

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ブレラのサポーター頁の表紙はアイエツの接吻

正直いって、以前と比較し展示スペースと作品数は物凄く減った気がしました。素敵なお土産屋(とてもお土産とは思えない高級品を売っている)で、絵になっている作品が展示されていないので聞いてみると、新しくなってから一度も展示されたことがないという事でした。非常に残念です。

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