天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【イタリアの街】かつてはブルジョワの長期滞在型治療、今はエステの街のモンテカティーニ

マドンナの究極の美容ブランドの源がモンテカティーニ・テルメのものってことで、カタカナで検索するとそんな内容が出てくるけれど、ここはヨーロッパで最も有名な温泉治療地。

f:id:Angeli:20190821115851j:plain

MontecatiniTerme

テルメは温泉という意味なので〇〇テルメという地名はあちこちにあり皆温泉が出る場所。イタリアは火山地帯だからあちこちに〇〇テルメがある。中でもここモンテカティーニ・テルメは460,000m2の敷地面積も療養施設の数も群を抜いていて、古代ローマ時代から有名だった。

f:id:Angeli:20190821114638j:plain

温泉プール

ルネサンスの科学の明星時代15世紀初頭には、水の効用が公式に認定されレオポルド1世時代に大人気となる。絵を見るとなんだかモンテカティーニ・テルメの象徴的な建造物を指差しているみたいに見えてくる。

f:id:Angeli:20190821120504p:plain

Leopoldo

モンテカティーニの中心にある優雅な温泉治療施設に入るとすぐ目に入るのが、この柱廊と泉。円形屋根の下ではピアノ演奏がされて、緑に囲まれながらゆったりくつろぐ場所。周囲の公園をお散歩する人々がいるが、せわしい雰囲気は全く無い。

f:id:Angeli:20190821120621j:plain

MontecatiniTerme

60-80mの地層からくる水は地表に現れるまでに無機塩で細菌が殺されるので処理が必要ない。泥療法、水浴療法、水中マッサージ、温泉プールの運動療法などなど、全ての治療に全く天然のお湯が使われる。

f:id:Angeli:20190821121820j:plain

色んな種類の飲み水

特に飲む療法が基本で、この新古典主義ロココ様式が混ざった全く優雅な廊下には、ずらっと温泉水の蛇口が並んでいる。一つ一つそのお湯がどこから来るかが書いてあって、効能なども記されている。飲み比べると明らかに味が違うのが分かる。

f:id:Angeli:20190821122147j:plain

サロン

建物の中に入るとまた豪華だけれど、王侯貴族のお屋敷にありがちな、これでもかの金ピカとかでは無く、近世のブルジョワを思わせる落ち着いた雰囲気。いちいち家具などが重厚でカッコいい。本、お茶などちょっとしたお土産も売っている。

f:id:Angeli:20190821122433j:plain

木のサロン

こちらは打って変わって現代建築のモダンアートのような素敵な空間。石造建築が基本のイタリアにあって木材で森林空間を表現している読書室。図書館と読書室があるところが、私にはとても印象深かった。日本のただただあそびほうける遊園地的空間とは全く違った、真の大人の施設。遊園地は当然あってしかるべきだ。私だって子供の頃は大好きだった。子供の頃はね。肉体とともに精神と頭脳も成長するべきでしょ。

f:id:Angeli:20190821123702j:plain

街の真ん中の回転木馬

子供で思い出したけど小さな街の真ん中には回転木馬が置かれていて、時々子供が乗っていて可愛い。夜になると灯りが入って高い建物がほとんどない広い空間に活気をつける。他のイタリアの旧市街と違い聖堂や重要建造物が全く無いモンテカティーニ・テルメは、温泉療法に来る人たちの宿だけでできている。空間は開け、真っ直ぐな道が遠方の山へ続いている。

f:id:Angeli:20190821124401j:plain

可愛い登山電車

山の上モンテカティーニ・アルトへは凄く可愛い登山電車かバスで行く。行きは絶対これに乗ろう!窓が開いていて爽快!

f:id:Angeli:20190821124541j:plain

MontecatiniAlto

絶対このモンテカティーニアルトで夕食。ちっちゃーい中央広場には可愛い礼拝堂や劇場もあり、中世の街があったことがわかる。私的には本当はこっちへ泊まりたかったんだけれど、宿も小さくて6人が泊まれなかったの。それもまた良い感じだ。ここからテルメの街を見下ろし、路地の聖母子や子猫に出逢ったのがとても良い思い出です。夜遅くテルメの歴史的ホテルへ戻るにはもう登山電車はないから車。

f:id:Angeli:20190821125044j:plain

MontecatiniTerme

翌日はエステしたい人はエステ、町歩きでお買い物したい人はお買い物にしようかな。安全極まりないところだから。

f:id:Angeli:20190821125200j:plain

エステの殿堂

エステには色んな種類があって当然金額も違う。正直言って、私の経験では日本のエステの方が、頑張って施術してくれる感が強い。イタリアでは基本ほっておかれる。ただ何と言っても泥だらけになったりして、塩の上だろうが生ぬるいバスタブだろうが寝転んでいる空間の広さと豪華さは雲泥の差。不安になるくらい広い空間にポツーンと一人で大理石のバスタブに浸かって、神々に見守られている。どっちが気持ちいいかは人によると思う。

 

 

西洋美術、イタリアの旅、読書が大好きな貴方へ、中世西洋美術研究者SSが思う事いろいろ