天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【イタリアの街】ナポリ:聖ジェンナーロ大聖堂、七つの慈悲の行い

2018年9月27〜28日(六、七日目)

 

私としてはナポリの旅を占める最終日にしたいと思ってはいるんだけど、みんな次第。

 

司教座聖堂サン・ジェンナーロ

 

9月19日の聖ジェンナーロ司教座聖堂

 

美術愛好家、歴史愛好家なら絶対司教座聖堂は外さない。司教座聖堂はその町の歴史と最も深く結びついているし、美術作品の宝庫でもあるから。特にナポリの聖ジェンナーロのように世界的な大スター聖人を祀るのならば。

 

司教が熱狂の中みんなを祝福

 

東京ミッドタウン、マリネネッラ・ナポリでも聖ジェンナーロを祝うんだって

 

聖ジェンナーロのストリート・アート

 

聖ジェンナーロはキリスト教がまだ公認されていなかった頃に殉教した聖人の一人。迫害された人々を救ったり様々な奇跡を起こしていますが、特に彼が他の聖人と違うのは、殉教後見つかった彼の骸骨から滴り落ちたと言われる血が、時を超越し現在も奇跡を起こし続けている点です。その血は小瓶で大切に保管されてきましたが、殉教した9月19日にカピカピの血が溶けるのです。溶けないと大変な事が起こります。ベスビオ火山が噴火したり、ナポレオンが侵攻したり、大地震が起きたりします。たいへんだ〜!(◎_◎;)

 

 

先に紹介した高級カフェ、ガンブリヌスも聖ジェンナーロのお菓子を作ります。溶けた血を表してるんだろうけど、なかなか気持ち悪い見た目。でも美味しいかも。

 

 

ドルチェ・エ・ガッバーナはイタリアの歴史に取材したファッションをよく発表するんだけど、これは聖ジェンナーロ。聖人も!(◎_◎;)の短く豪華な司教服です!

 

Cattedrale di San Gennaro

 

でこれがその建造物。ファサードは両脇の塔が無いゴシック・リヴァイヴァルの聖堂ですが、これまた中に入ると紀元前から初期キリスト教時代、ルネサンス期の信じ難い地下聖堂など絶対行かなくてはならない場所です。

 

聖ジェンナーロの聖遺物に祈り続ける寄進者。実物大の大理石空間は圧巻。

 

キリスト教世界最初の洗礼堂モザイクはあまりにも幻想的な美しさに満ちている

 

 

カラヴァッジョの傑作を訪ねて

 

Pio monte della Misericordia

 

「七つの慈悲の行い」と言う非常に珍しい内容の作品。マタイ福音書の原典とはちょっと違う、この聖堂ならではの内容も興味深い。素晴らしいでき。

 

Le sette opere di Misericordia, Caravaggio

 

ナポリの歴史を実感できる聖ロレンツォ大聖堂

 

San Lorenzo Maggiore

 

この聖堂も外はパッとしませんが、紀元前の古代遺跡、初期キリスト教時代の遺構、中世のフランス人建築家たちのゴシック、それ以降の様々な時代を堪能できます。私はまだ行ってないので、今回ぜひ行きたい場所の一つです。

 

世界で最も美しい図書室の一つジェロラミーニ

 

Gerolamini

 

 

世界で最も美しい図書館リストに必ず高い点でランクインするジェロラミーニ。修道院なので聖堂、回廊、中庭、図書館、病院などの複合施設です。この図書館では、セネカなど素晴らしい写本が、どんどん発見されています。現在の研究者も調べ尽くせない量があるからです。

 

これらの聖堂は皆司教座聖堂付近にあります。宿からも遠く無いし、もちろんナポリの中心だから最終日にしたいと考えています。遠出して万一何かあったら翌日の飛行機が気になったりするでしょ。でも近所なら(こんなすごい近所に住みたい!!)すぐ帰れるし、お買い物もこの日にしたらいいと思う。スーパーでお土産のお菓子を買ってもいいし、日本では買えない服を買ってもいい。ちなみに私は必ずイタリアで服を買って帰ります。靴は服よりも、合わないと無駄になっちゃうからじっくり選んでね。コーヒー、オリーブオイル、薬草系化粧品も必ず買う。

 

Galleria

 

最後にナポリのスーパーヒーロー聖人にご挨拶し、心置きなくお買い物をして、食べたいものを食べたら宿へ。私は重い荷物は送っちゃうけど、みんなにはきっとサイドバックが活躍するでしょう。内容満載の大ナポリとその周辺の旅はこれで終わり。翌朝みんなを空港へ送ったら、いよいよ私の一人旅が始まります(^^)/~~~

 

Napoli sera

 
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