天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【イタリアの街】2018年ナポリ、カタコンベ、ピニャテッリ館

9月22日(初日の午後)

 

Catacombe di San Gennaro

 

カポディモンテ+聖エルモ城+聖マルティー修道院+ピニャテッリ館のコンボチケットが二日間有効なので、22、23日に全て回ります。立地と入館時間を考え、お昼はカポディモンテのカフェで済ませます。フォカッチャなども美味しいと地元民が言っています!

 

Pasta

 

なぜなら次は丘から下ったすぐにある聖ジェンナーロのカタコンベに行くので、バス停位置を考えると絶対、大博物館内で食べるのがベスト。下の写真の一階にあります。

 

Capodimonte

 

バスで一駅、もしくは徒歩で9分(とは思わないけど)でカタコンベです。

 

 

catacombe di San Gennaro

 

ここはイタリア1のカタコンベと言われています。ローマに数では負けますが、歴史の古さと巨大さで勝つからです。ということは当然キリスト教世界一です。2世紀に既に存在し、キリスト教徒以外の人々が葬られていたようです。3世紀には最初のナポリ司教と共に拡大し、特に5世紀に、現在のアメリカでも大人気を誇る大聖人ジェンナーロが埋葬されてからは圧倒的な指示を得、その後のナポリ司教は皆ここへ埋葬されるようになります。数少ない初期キリスト教美術の証言であるフレスコも未だ色鮮やかに残っています。(最初の写真は家族のフレスコ)

 

 

最初の司教座聖堂もここに建てられました。今ではその後の度重なる改築で全く違った姿になっていますが、カタコンベの上に建っています。物凄く楽しみです🤗カタコンベとは地下深く掘られたお墓のことですが、夏でもまるで冷蔵庫の中のように冷えるので、羽織りものがあるといいでしょう。ただローマと違いここは、空間が広大なので寒さも和らぎはすると思いますが。

 

カタコンベ見学で異次元の空間を堪能したら、バスに乗ってピニャテッリ館へ。車で8分、丘を降りて港に面した、広大な土地に新古典様式の白亜の建築物がそれです。

 

Villa Pignatelli

 

約二千年前の信仰の空間から19世紀の貴族の豪華な空間へ。1826年にイギリス人のためにピエトロ・ヴァレンテが作り、かの大金持ちロスチャイルド家の手に渡り、最終的にピニャテッリ家から寄贈された館は、ナポリに無数にある見所の内の一つ。

 

 

映画監督ヴィスコンティのイタリア統一前夜を描いた超大作「山猫」の撮影もされました。貴族のアランドロンが成り上がり者の娘クラウディア・カルディナーレに惹かれてゆくのが、時代の移り変わりを象徴しています。最後の最も華やかなシーン。

 

 

当時の貴族たちが実際に着ていた衣装も陳列。庭園は馬車の博物館となっていて、フランスとイタリアで流行したものが中心とか。

 

 

最近は、生活がリアルにわかるようにお風呂も公開されています。大理石のシンプルな新古典様式は素敵だけど、日本人から見るとなんだか寒そう。

 

 

壁は部屋ごとに様々な素材が使われていて、革の打ち出しなど今では絶対できない技法。

 

 

 

このロッジャこそ、あらゆる時代に地中海人が求めて来た正統派の美を物語っていると言う気がします。柱は勿論ビザンチンの東方的な装飾でもなく、中世の混沌とした化物もいない、パッラーディオ風のアカンサスの柱頭でもなく、最も古典的な何も無いシンプルが極まったドーリア式。そこに古典古代の彫像の複製などを並べ、ロッジャの外には噴水、その向こうにはナポリ湾が見える。全くお金持ちって・・・。

 

ま、それでも私たちが現在様々な美術品を堪能できるのは、大いにお金持ちのおかげなんだけどさ。と、思いながら館を出ます。ここは5時までだけど何時かな?

 

宿の方へ、ナポリ湾をゆっくり歩いてゆきます。バスって手もある。

 

Castel dell'Ovo

 

卵城が見えます。遠くにはベスビオ火山の黒い影が。良い写真が撮れますように。

 

元気が残っていたら、道沿いにあるナポリ最大の聖堂を訪問。

 

San Francesco a Paola

 

ナポレオン時代にナポリの町の大改革をした結果生まれた、町で一番広いプレビッシート広場の中心にある、新たなパンテオンです。

 

Castel Nuovo

 

ついに絵のような要塞の威容が目に入ります。今まで見た中で、最も強烈な印象を与えるお城です。怖くて暗くて残酷な感じ。街にどれだけストレスを与えていたのだろうかって考えてします。

 

ナポリの初日はこうして終わります。お夕飯はお惣菜など色々入手し、宿に帰ってみんなでくつろぎながら食べるのはどうでしょう?部屋はとても広くて、清潔だから。

 

ナポリで真のナポレターナ(カンツォーネ)を、間近で聞いてみたいと思っていたので、どこかで1日は必ず夜出かけましょう。サンタ〜ルチ〜ア〜🎵

 

*サンタルチーアはカポディモンテで歌いましたがピニャテッリには行けませんでした。次回!

 

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