天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【イタリアの街】プーリア州オストゥーニ;白い迷宮の街

 

オストゥーニは、プーリアの栄光の港ブリンディシからアルベロベッロ方面へ少し入った内陸にあり、私は行ったことがありません。しかし観光的にはプーリア州で結構上位に来る有名な街です。ガイドブックやネットにも「プーリア」でいろいろ調べていると、よくオストゥーニの写真が出てきます。英語圏のツアーなど盛んなようです。

 

 

なぜ私が行ったことが無いかといえば簡単で、美術的には後回しになってしまうからです。要するに際立ったロマネスクのモザイクや浮き彫りも無いし、ノルマン王朝のお城もないし、美術館もないし・・・という具合。でもイタリアの歴史ある街には、何にもないと言われながらも素晴らしい見るべきものがあるので、行けばいろいろ楽しめるのは分かっています。一般的には美術を見に行くわけではないので、風景や街の景観や自然の美しさなどが、普通の旅のポイントだから。そういう意味でここは街の眺望が人気を博しています。

 

 

 

 

「白い街」という特徴的な眺望は、南部イタリアの強烈な太陽光線対策の一つとして生まれたと言われています。壁に石灰を塗って、紫外線の経年劣化を緩慢にさせるのですが、土地で取れる石灰の白さが光を反射し、遠方からもキラキラ光るのが美しいのだとか。これは地中海のあちこちで見られる現象ですが、ここは街全体が小高い丘の上にあり、観る場所によっては、背景にアドリア海が覗き絵のようです。

 

 

 

いつものように鳥瞰で見てみます。あまり良い写真が無かったのですが、オストゥーニ市のサイトから借用しています。旧市街は二つの丘に別れて作られています。地図を見ると明確で、小さい方の塊がより古い地区です。市の観光情報も驚くほど少なく、街の規模が知れます。丘に張り付くように、渦を巻きながら小道が、白一色の街中を通り、大聖堂へ続きます。周囲の近代的な街は、対照的に碁盤の目状に整理された道となっています。

 

余談ですが、この一番古い地区の端っこに宿をとりました。すごく可愛い宿がたくさんあるのですが(街の規模に比較しという意味)、どれもダブルベッドで、シングルベッドが3つ以上入る宿を探すのが結構大変でした。いわゆるホテルは旧市街の外にあり、そっちは当然いろいろ選べますが、私はどうしても歴史中央地区に宿りたいのです。

 

 

司教座聖堂とは思えない、可愛い聖堂です。と行っても司教座があるということは昔はそれなりに大きな街だったのでしょう。この聖堂で美術的に最も重要なのは扉で、浮き彫りは聖母の生涯の物語です。宿からすぐなので、堪能できるでしょう。

 

 

こんな通りが特徴的で、街全体を支配しているようです。歴史的には次から次へと、支配者が変わりました。ロンゴバルドやビザンチンレッチェターラント支配下になったり、そんな跡があるのでしょうか?特別見るべき美術もなく、街中の小道を歩き回る、オストゥーニになりそうです。住んでいた頃を思い出します。と言っても、私が住んでいた処にはどこも、博物館や見るべき聖堂がたくさんあったのですが。

 

日本人訪問者のサイトも幾つかありました。たくさん写真を載せているので検索してみてください。

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