天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

【イタリアの街】サルデーニャのヌラーゲ

ヌラーゲって名前だけでなんか怪しくないですか?

 

私がヌラーゲを知ったのは、サルデーニャへ行った後です。イタリアで詳しいガイドを購入したら、そこに図説入りで説明がありました。子供の頃から形や色、さらに不思議なモノに異常に惹かれる私は(美術史をやっていて幸せです)、ヌラーゲの頁で手が止まりました。なんじゃこりゃ〜?なんて不思議なものだろう!なんて魅力的な形なんだろう!

 

ヌラーゲは説明によると、島内に7000ほどあり、紀元前1800-500年(もっと幅を持たせる研究者もいる)頃に隆盛をむかえた文明の跡だそうです。古代ローマ帝国の支配が始まった頃には、まだ存在していたそうで、最も有名な紀元前9−8世紀のSantu Antineのヌラーゲはローマ皇帝コンスタンティヌスに捧げられました。ヌラーゲは本来要塞のようなものだったらしく、最も数も多く単純なものは塔だけですが、複雑になると塔を囲んだ集合体で、それが何か有機体のような謎の生き物のような印象を与えます。

 

 

 

不気味ー!

 

 

これは再現されたヌラーゲです。四角ではなく微妙な三角形をしています。

 

マントを羽織って、杖や剣を持った族長のブロンズ像も幾つも見つかっていて、私好みに原始的な力強さと、どこか笑ってしまう微笑ましさを備えたものがほとんどですが、中にはなかなかの造形感覚を示したものもあって、どんな時代にも芸術家がいたことを示してくれます。

 

 

いい感じです。ハイタッチしようとしているのか、皆の衆に話しかける合図か、祝福を施しているのか、大きな手を挙げています。頭には輪を被っているのか、中世の修道士を思わせます。姿勢は、個々の作品毎に多少違いますが、似ています。

 

さて、実際の旅の話に移りましょう。実は私は5回ほどサルデーニャへ入っているのですが、まだヌラーゲを訪ねていません。次はぜひ、中を見学もできる巨大ヌラーゲを見てみたいものです。結構あちこちにあるので、可能性は高いと思います。

 

サルデーニャにはヌラーゲの他に、ドルメン(眠るという意味で死者、お墓を意味する)の巨石文明もあり、これも広大な大地に屹立しています。どうやって建てたのか、昔の人は、重い物をものともしなかったのを痛感します。現代人は軽さの追求に躍起になっているというのに。

 

 

人がいないので大きさが判りにくいですが、石の下方に空いた穴は大きな門と思ってください。「巨人の墓」と言われるものの入り口です。日本の古墳も巨人の墓かと思いますが、あれは巨石を積んだわけではないので、こっちの方が大変かなーっと。

 

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