「イタリア歴史と美術の旅2018」用に考えている州(モリーゼ、カンパーニア、バジリカータ、プーリャ、サルデーニャ島)中、圧倒的にカンパーニア州が、歴史的、文化遺産的に重要で、巨大です。
中世ヨーロッパで都市と言えるような場所は少なく、パリと人口だけは多かったロンドン以外は、全てイタリアにあります。フィレンツェ、ジェーノヴァ、ヴェネーツィア、ミラーノ、ナーポリは常に人口も多く、真の意味で都市であり続けましたが、ナーポリは圧倒的に巨大でした。古代から栄え、中世にはフランス王と神聖ローマ皇帝の争奪戦の的となったナポリは、近代には音楽の都として繁栄します。要するに常に大都会でした。そして大都会に付き物の問題も存在しました。それは今も変わりません。
「ナポリを見て死ね!」なのか「ナポリを見たら死ぬ」のかは受け取る人次第でしょう。
世界に誇れる堂々とした博物館、美術館、オペラハウス、劇場があり、あっと驚くような聖堂も幾つもあります。一度ナポリを好きになると、他には興味がなくなるほど強烈な個性が、街にはあります。私は、個人的には住みたい街ナンバーワンと思ったことは一度もありませんが、何度でも見たくなる、ゆっくりしたい場所は何か所もあります。考古学博物館は世界一ですが、私には、丘の上のファルネーゼ家の美術コレクションからなる、ブルボン王家の巨大な館 Capodimonte(カポ・ディ・モンテ=山の頭)美術館が最高です。カラヴァッジョは多作ですが、彼の質の良い作品があり、シモーネ・マルティーニの傑作があり、ルネサンス、バロック、ロマン派などの作品もすごいものが揃っています。マニエリスムの大人気画家パルミジャニーノの女性像などもあります。これは数年前に西洋美術館の目玉作品として来日しました。とにかくナポリにいれば一週間はあっという間に過ぎるでしょう。
そうそう、人生最高のピッツァもナポリでした。
カンパーニアにはかの有名な「青の洞窟」のカープリ、カンツォーネ「帰れソレントへ」の港ソレント、18世紀に建てられたヨーロッパ最大の王宮と中世の街を持つカゼルタ、一時は日本映画の舞台にもなったアマルフィ、個人的には、ロンゴバルドとギリシャの色濃いベネヴェント、などなどいくらでも見所があります。