天使たちの西洋美術

美術、イタリア、読書を愛する西洋美術研究者SSの思ったこと

2016年美術旅行の感想:旅に参加するまで

*Googler+からの引越しのため過去の記事を転写

 

私はイタリア美術の旅をやっています。で去年参加してくださったMさんの感想をそのまま貼り付け。

 

📩 「ぜひ、私の旅行に参加してください。」と連絡先のカードを渡してくれたこと、先生は覚えていないかもしれません。放送大学の面接授業で初めてお会いした時、フィレンツェ、サンマルコ寺院のフレスコを見てみたいと感想を述べた私に、現地でしか見られないものがたくさんあると言って渡してくれました。あの時からずっと Saba信者の私は、いつか旅行に参加したいと思い続け、一昨年初めて参加することが出来ました。今回は二回目の参加です。

世界中には、建築やそれと一体となった彫刻、フレスコやモザイク、周りの自然、風景、街並み、教会の雰囲気や光の中でしか感じられないものなど、現地に赴かなければ絶対に出会えないものが数限りなくあり、自分で現地に行って見るだけでも楽しいし感動的です。今回も初めてローマに行き、テレビや写真で見ていたイメージよりもはるかに壮大で懐の深い現地の雰囲気に圧倒されました。ルッカは、中世の雰囲気、街並みやお店のかわいらしさ、滞在したホテルの特別感など、居心地が良くて大好きな街となりました。

しかし、行く前にある程度確認していても、自分で見学するだけでは見逃してしまっているものがたくさんあります。その点、先生の旅では本物を目の前にして話を聞くことができ、本当にありがたいです。更に、あらかじめアレンジしていただいていたSan Cassiano di Controne のボランティアの方や Subiaco の僧侶の方々の説明も聞くことができました。イタリア語を習い始めた私にも少し理解することができ、とても興味深い内容でした。通訳する先生は忙しくて大変ですが、ツアー旅行や個人旅行では絶対に聞くことができないし、先生の人柄と美貌、教養に魅了され、さらに情熱を持って説明して下さっていると思われました。

また、ガイドブックにも載っていない、日本ではほとんど知られていない所で、素晴らしい所がたくさんあるということも実感しました。今回 Pisaの代替案として色々と提案していただいた結果、Barga や San Cassiano di Controne などを訪れたことは大正解だったと思います。ローマやピサなど大観光地は行こうと思えば、自分でもゆっくり巡ることが可能だと思うからです。

個人的には、Jacopo della Quercia の la tomba di Ilaria del Carrettoil を見ることが出来た上に、思いがけず Il San Martino a Cavallo を見ることが出来たのが嬉しかったです。Ponte della Maddalena も写真で見た印象とはまったく違って、実際に橋の上に登るとシャンパーニュからルッカシエナ、ローマにつながるに La via Francigena を通る中世の旅人のような気持ちになれました。

今回も色々な初体験がありました。イタリアの温泉、レンタサイクル、ロストバゲージなどなど。先生、そして一緒に旅行して下さった皆様、本当にお世話になりました。ありがとうございました。おいしいレストランや驚きのB&Bなど楽しい思い出がいっぱいです。次回もぜひ参加したいと思いますが日程が月末月初にかかってしまうと厳しいかなぁ・・・。イタリア語が話せて教養深い人や美人はやっぱりお得だなぁと思い知ったので、美人に生まれ変わることは出来ませんが、せめて少しでもイタリア語が話せるように精進します。 📩

 

(写真は世界で最も美しい石棺として名高い、ヤコポ・デッラ・クエルチャのイラリア・デル・カレット)

 

私から返信

 

まず絶対はっきりさせておかねばならないのは、私が美人のように読めるのは、ありがたいにしても正しくない情報です。授業に来てくださった方が私を認識できないので訂正(汗)。

一息ついて。今まで勝手な研究者の端くれのような私でも、大勢の方が授業に出てくださいました。Mさんはその中で圧倒的な成果を収めている(進行形)生徒です。放送大学の面接授業(短期集中講座)に出てくださったときは「文化に関心のある普通の人」だったのではないでしょうか。それが今では、怒涛のごとく喋るベネディクト会のドンや自然に冗談まじりの会話をするおじさんのイタリア語も時々分かるようになるとは大したものです。美術史の知識に関してはもう普通の人ではなくなってしまいました。仕事や家庭があってもできるようになるという見本のよう。

 

ヤコポ・デッラ・クエルチャは大好きな彫刻家で授業でも取り上げた事がありますが、次はルッカ人マッテーオ・チヴィターリの作品をゆっくり見て欲しいです。真逆なのがサン・カッシアーノで、技の無い自由さというか楽しさを持つロマネスクならではの不思議と謎で一杯の、メディエヴァリスタ内では非常に有名な聖堂に連れて行けたこと、みんなに喜んでもらえたこともとても嬉しく思います。

 

現代日本で、仕事も家庭もある人が大学院に求めるものは「自己探求」。残された半生でどこまで自分はできるのかを試すこと。伸びていると感じるとき、楽しいだけでなく、自信もつくし、余裕ができ視野が広がる。ただ暇つぶしのような人生を送るのとどれほど大きな違いがあるか、と思う。運動より考えることは歳を重ねてもずっとできるし深められるから。一緒に頑張ろう。

 

来年の場所も考え始めてるから興味のある人はチェックしてね💕

 

 

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